国際的に活躍する現代美術作家・笹本晃 思考や感情が行き交う生きた展示が鑑賞者に語り掛けるものは
国内外で活躍する現代美術作家・笹本晃(ささもと・あき)の初期から近年までの作品を集めた大規模な個展が、国立国際美術館(大阪市北区)で開催されている。2026年11月3日(火・祝)まで。

笹本は、糸や管、日用品、音、言葉など、いろいろな要素を組み合わせて空間を構成し、思考や感情が行き交う回路のようなインスタレーションを作り上げる。さらに自身がその中に入り込み、語りや動きを交えたパフォーマンスを行うことで、鑑賞者は作品が生まれるまでの過程を目撃することができる。そしてその作品はその場限りの出来事となる。

今展のタイトルは「ラボラトリー=実験室」。完成した結果を提示するのではなく、そのプロセスを観客と共有する。
会場に並ぶ作品=オブジェクトは、舞台装置であり、「出来事(=パフォーマンス)」を引き起こすきっかけとなる。出来事の一部は映像作品で見ることができるほか、会期終盤には、笹本本人によるパフォーマンスも予定されている。

取材に訪れた日、笹本によるパフォーマンスが行われた。赤い糸を張り巡らしたり、赤と緑のペンを使ってドローイングをしたり、シャドウボクシングなど、言葉を交えながら空間の中を、動いていく。この日のパフォーマンスについて笹本は「何をするかは決めていなかった。その場で空間を読み解いていく。音楽でいうと楽譜を読み解く作業に近い。ジャズのリフのようなものかな?曲=枠は決まっているけど中は自由みたいな。それが楽しい。基本的には自分が楽しみたい」と話した。

これからのさらなる活躍が期待されている笹本。笹本自身がその場にいなくても、作品の中でどんなことが繰り広げられるのか、想像しながら作品の世界に浸るという楽しみ方もある。
同時開催のコレクション展は、同館が2027年に開館50周年を迎えるのを前に企画されたもので、今年度は2回予定されている。同館は国立の美術館の中で唯一現代美術を収集しており、今回の第1弾は開館した1977年までの美術の動向とその背景を作品で振り返る。最も古い1890年のポール・セザンヌの作品から1960年代半ばまでの80を超える作家の作品、約140点を紹介する。



