“代打”角田裕毅の快走は「驚きじゃない」 天才フェルスタッペンが指摘したF1で僅差が生まれる理由「新マシンは限界を見極めるのが前よりずっと簡単」

写真拡大 (全2枚)

フェルスタッペンは、角田やローソンの好走を淡々と振り返った(C)Getty Images

 昨季の“ラストラン”から約8か月――。チームに生じたアクシデントによって与えられたF1復帰の舞台で、角田裕毅は連日のように好走を見せている。

 今季は開幕からレッドブル、そして姉妹チームのレーシングブルズのリザーブ兼テストドライバーとして奔走。“実戦”からは遠のく空白の日々を過ごしてきた。そんな角田に突然、光が差し込んだ。

【動画】高速レースで見せたドライビング! 角田裕毅の快走シーン

 サマーブレイク明けの初戦となるオランダGPを目前にした現地時間8月18日にレッドブルのアイザック・ハジャー(フランス)が左手首を骨折。レーシングブルズからローソンが緊急昇格し、ローソンの代役として角田が指名されたのだ。

 ギリシャでバカンスを過ごしていた角田は、マネージャーのディエゴ・メンチャカ氏から緊急連絡を受けて、慌ただしくレッドブルの本拠地に帰英。限られた時間内で準備を整えたが、ほとんどぶっつけ本番の状態でオランダGPにスポット参戦していた。

 しかし、角田は「結果」を出している。現地時間8月20日に行われたスプリント予選では、2回目(SQ2)まで食い込むと、翌21日の公式予選ではQ2まで進出。カットラインとなる10番手とはわずか0秒102差で、全体8番手となる1分13秒085で走ったQ1では12番手だったマックス・フェルスタッペン(オランダ)と、14番手の沈んだリアム・ローソン(ニュージーランド)のレッドブル組を超えるタイムを刻んだ。

 公式予選後のF1公式インタビューで「スプリントレースで(マシンへの)理解が深まって、もっと、もっとプッシュできるようになった。プッシュし過ぎるシーンもあったぐらいだった」と振り返った角田。続けざまに「とにかく楽しかった」と充実感も口にした26歳の躍動は、間違いなく周囲に鮮烈なインパクトを植え付けた。

 決して楽なシチュエーションではなかったはずである。初乗りマシンは、ブレーキ感覚、空力負荷、エネルギー消費量も以前までとは全く異なる。その操舵感はシミュレーターで試乗した際に「(これまでの感覚で)ブレーキをかけたら壁にぶつかった」という角田自身が「全く違うマシン。本当にすべてが違う」と強調するほどだ。

 ではなぜ、角田は結果を残せているのか。レッドブルの絶対的エースにして、現F1界のカリスマでもあるフェルスタッペンは、英メディア『The Race』で代役ドライバーがレギュラー陣との差を埋めている理由について、電動出力への依存度が大幅に増している新型ハイブリッドエンジンが導入されているマシンの変化を指摘した。

「特に予選を走る場合は、今のマシンなら限界値を見極めるのが前よりずっと簡単になったと思う。バッテリー残量が少し減っている状況でも走る場面は多いから、ラップをまとめること自体は少し簡単になる。今週末はそれがかなりよく表れていたと思う。僕にとっては別に驚くことじゃない」

 もっとも、約8か月の空白期間を経て挑んだF1の舞台で上位陣に食らいついた角田の好走は評価されるべきではある。それ自体はフェルスタッペンが言うほど「簡単」ではないはずである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]