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愛するペットとの悲しい別れ。きちんと弔ってあげたいと思っても、火葬するお金がなく、埋葬できる庭もない。そんなとき、遺体はどうすればいいのでしょうか。

「亡くなったハムスターを可燃ゴミとして出してしまったのですが、罪に問われるのでしょうか」

弁護士ドットコムに、こんな切実な相談が寄せられています。

相談者によると、大切に飼っていたハムスターが亡くなったそうです。本来であれば、ペット火葬業者に依頼してきちんと弔ってあげたいと考えていましたが、金銭的な事情から、どうしても費用を捻出できませんでした。

自宅には、遺体を埋葬できるような庭もありません。

近くの公園の土に還してあげることも考えましたが、「公園に埋めるのは違法になる」と聞いたことがあり、それも断念しました。

行き場を失い、悩み抜いた末に、相談者は遺体を箱に納め、泣く泣く「可燃ゴミ」として集積所に出したといいます。

亡くなったペットを弔うためであっても、公園に埋めることは違法なのでしょうか。また、可燃ごみとして出すことに法的な問題はないのでしょうか。

ペットをめぐる問題にくわしい渋谷寛弁護士に聞きました。

●公園への埋葬、違反すれば「10万円以下の過料」も

──亡くなったハムスターなどのペットを、家の近くの公園に埋めることは違法ですか。

自分の土地ではなく、他人の土地にペットを埋めて葬ることは、違法になると考えられます。

まず、公園に埋葬する場合を考えてみます。

公園は自分の私有地ではないので、勝手に穴を掘ることはできません。

都市公園法では、「都市公園を損傷し、又は汚損する」「土石を堆積する」または「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定める」ものを禁じています(同法11条)。

この政令で定めるものとしては、「土石の採取その他の土地の形質の変更をすること。」があげられます(同法施行令第18条)。

これらの規定からすると、公園の土地を掘り返し、ハムスターの遺体を置き、その上から土をかけて埋める行為は禁止されていると考えられます。

これらの規定に違反した場合、10万円以下の過料が科されることもあります(同法42条)。

これは全国を念頭においた法律の規定ですが、自治体が条例などで同様の規制を設けていることもあります。

たとえば、東京都立公園条例では、「都市公園の原状を変更しまたは用途外に使用する」「都市公園内の土地または物件を損壊する」「ごみその他の汚物をすてる」「都市公園の管理に支障がある行為をする」ことなどを禁じています(同条例16条)。

違反行為については、5万円以下の過料が科されることがあります(同条例25条)。

●近くの「林」なら?損害賠償の可能性も

──では、自宅近くの林に埋める場合はどうなりますか。

林も他人の所有地であれば、土地所有者の承諾なく勝手に土地を掘り返してペットの遺体を埋める行為は、不法行為となり、土地の原状回復費用や汚損による損害などについて、賠償責任が生じることがあります。

また、「廃棄物の処理」という点でも問題があります。

家庭で飼育されていたハムスターの遺体は、原則として「動物の死体」に該当し、「廃棄物」として扱われます(廃棄物処理法2条)。

同法16条は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています。この規定に違反した場合、5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります。

公園にペットを埋葬することは、「廃棄物をみだりに捨てる行為」にもあたりますから、この点からも違法となる可能性があります。

●昔はよく見かけた?「少なくとも50年以上前から違法」

──亡くなったペットを公園などに埋める行為は、昔はよくおこなわれていた気がします。昔からダメだったのでしょうか。それとも最近になってダメになったのでしょうか。

少なくとも50年以上前から違法でした。

廃棄物処理法は1970年(昭和45年)に、都市公園法は1956年(昭和31年)に成立しています。

当時は現在ほど監視体制が厳格ではなく、実際には問題視されないことも多かったと考えられます。

しかし、公園は公共の施設であり、ペットを埋葬する場所として使用されることを前提としていないという考え方が広がってきました。

さらに、ペットの火葬・埋葬を取り扱う業者が増えたことや、自治体がペットの火葬について特別な扱いをするようになったことなど、さまざまな事情の変化によって、公園に小動物を埋葬することが違法だという認識が広まってきたのだと思います。

●火葬するお金も庭もない…「可燃ゴミ」は?

──では、可燃ゴミとして出してよいのでしょうか。

家庭で飼育されていたハムスターであれば、廃棄物の中でも「産業廃棄物」ではなく、「一般廃棄物」として処理されることになります。

自治体が可燃ごみとしての処理を認めている場合、そのルールに従って出すことは問題ありません。

ただ、ハムスターの遺体だとわからないように新聞紙などで包んだり、袋に入れたりすることを求めるところもあるようです。

詳しくは、お住まいの自治体の清掃事務所などに問い合わせるのがよいでしょう。

自治体によっては、通常の可燃ごみとは別に、有料で「動物の死体」として特別に扱ってくれるところもあるようです。

また、野生動物にかまれるなど、異常な死に方をした場合には、感染症の疑いがないか、獣医師に相談する必要もあるでしょう。

──ほかにペットを弔う方法はありますか。

いくつかの方法が考えられます。

まず、今回の相談者は費用面から断念していますが、ペット専門の火葬業者に依頼する方法があります。最近は、ペットの火葬を専門に扱う業者が増えています。

有料にはなりますが、個別に火葬してもらったり、遺骨を返してもらったりすることもできます。火葬の形態としては、個別火葬、合同火葬、移動火葬などがあります。

また、自宅の庭に埋葬する方法もあります。

自分が所有する土地があり、庭としてある程度の面積があるのであれば、そこに埋葬することも可能です。

ただし、他の動物などに掘り返されないように深く(30センチ程度)埋めるほか、近所に悪臭が広がったり、虫が発生したりしないよう配慮する必要があります。

【取材協力弁護士】
渋谷 寛(しぶや・ひろし)弁護士
1997年に渋谷総合法律事務所開設。ペットに関する訴訟事件について多く取り扱う。ペット・動物法学会理事も務める。
事務所名:渋谷総合法律事務所
事務所URL:http://www.s-lawoffice.jp/contents_01.html