国が抱え込んだ相続土地「負動産」を最大9割引でたたき売り
相続放棄の件数は年々増加しており、過去最多を更新し続けている。地方過疎地の場合、売却や活用が難しく固定資産税などの負担だけが残る「負動産(空き家や利用予定のない土地)」になりがちだからだ。相続放棄された不動産は、清算手続きなどを経て国庫に帰属する。
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そして、土地を相続したものの持て余してしまい、「相続土地国庫帰属制度」を使って、国に土地を引き渡すケースも増えている。これは2023年4月に始まった制度で、順調に件数を伸ばし、今年6月時点で2885件の土地が国のものになった。しかし、その引き取った土地を国が民間に売ろうとしても、買い手がつかない。一般競争入札にかけても売却実績は3年間でゼロだった。
当然といえば当然だ。国民が「いらない」と判断して手放した土地を、国があらためて売りに出しても、やはり売れないものは売れないのである。しかし、国は引き取れば引き取るほど、売れない土地を抱え込み、その維持管理のコストだけがかさんでいく状況に陥っていた。
そこで財務省は、それら国が引き取った「負動産」の評価額を最大93%まで引き下げて売却する施策をスタートしている。値下げして売るのは民間では当たり前の発想だが、行政としては、なかなか思い切った策である。
まず3割下げ、それでも売れなければ3カ月ごとにさらに1割ずつ下げ、最終的には当初の評価額の7%、つまり93%引きまで下げられるようにする。また、一般競争入札だけでなく、相手を決めて直接売る「随意契約」を導入し、測量や地下埋設物の調査を手がけない「現状有姿売買」も採用する。
例えば、地方の使いにくい土地でも、その土地に隣接する人や、地元で農地を集約したい農家、特定の用途で土地を探している事業者にとっては、購入を検討する機会になるかもしれない。一般競争入札では、そのような「この土地が欲しい特定の人」とピンポイントで取引することが難しかった。随意契約を可能にすることで、こうした隠れた需要を拾い上げ、実際の売却につなげやすくなるかもしれない。
通常、国が土地を売る際には、境界を確定するための測量を行い、地下に廃棄物や障害物がないかを調べてから売り出すのだが、手間もコストもかかるため、その手続きを省いて売りに出そうというのが「現状有姿売買」だ。
相続土地国庫帰属制度はスタートから5年後、すなわち2028年に見直しが入ることになっている。漏れ伝わる話によれば、国は制度を厳格化して、できる限り土地を引き取らない方向にかじを切るのではないかともいわれる。
目先の問題も重要だが、所有者不明土地や相続登記の義務化、負動産、地方の過疎など、日本の土地が抱える構造的な問題を根本から考える必要がある。
文/横山渉 内外タイムス

