本稿で紹介している個別銘柄:精工技研(6834)


 3,000円台後半で全部売った株が、その後3万8,000円に…。資産2億円を築いた投資家にも、そんな悔しい売りがあります。


文房具店主として働きながら30年相場に向き合ってきた「名古屋の長期投資家」ことなごちょうさんに、リーマン・ショックの年に買って18年持った株、7年持って今年利確した三菱商事、そして手放して後悔した銘柄などを明かしてもらいました。インタビュー連載全2回の最終回。




好決算でも下がったサムスンを振り返る



――7月末から8月の決算シーズンですが、ゲームチェンジの契機となるでしょうか。



 ゲームチェンジと言うにはまだ少し早いかもしれません。今回、半導体関連の決算自体は良いと思いますが、好決算なのに市場の期待に届かず急落する銘柄がそれなりに出てくると考えています。



生成AI関連と言われる株から資金が抜けるきっかけの一つにはなると思います。とはいえまだ少ししか抜けず、好業績自体は続くでしょうから、AIに偏った相場はまだ続くと見ています。



――好決算でも下がる、というのは難しいところですね。



 先日のサムスンの決算がまさにそうでした。売上の伸びが鈍化するどころか加速していて、これは文句なしだと思ったのに、下がりました。



 その前に上げすぎていたんですね。織り込み済みで予想通りなら下がる、予想以上でないと上がらない。今のハイテク株は上がりすぎているところが多いので、8月のお盆前の決算発表シーズンは要注意です。



――その急落したタイミングは、買い場、いわばバーゲンセールと考えて良いのでしょうか。



 いいえ、ハイテク株に関しては以前のPER水準までに戻らない銘柄のほうが多いと思います。私は、あまり狙い目ではないという判断ですね。



 次に「暴落」という局面がきたときは、成長している会社が評価し直されるタイミングと見ているので、個人的にはそういう銘柄を買ったほうが良い気がしています。



――金利が高くインフレが続く局面で避けるべきセクターはどこでしょうか。



 やはり不動産は買いづらいと思っています。東京でもマンション価格が頭打ちになってきているという話が出ていますし、投資用マンションの賃貸利回りは10年前と比べて大幅に低下しています。



 期待リターンで考えると、それこそ10年物国債を買ったほうが良いという話になりかねません。金利負担に加えて資材価格の高騰もありますから、特に投資用不動産は怖い。今年に入ってから建設を含めて軟調だったのは、市場もそこを警戒しているからだと思います。



――今年上半期はキオクシアさえ買っておけば良いという空気もありましたが、改めて振り返って、どう見ていますか?



「キオクシアは、11万円近辺から一気に6万円台まで落ちた銘柄です。再び、あの乱高下は起こり得ますし、少しでも業績に陰りが見えたら、本当に5万円以下まで一気に叩き売られることもあるかもしれません」



 キオクシアが11万円を超えていた日は、2日間しかありませんでしたが、そこで高値掴みしてしまった人もいます。高値で買ってしまった人の中には、普段の自分のルールとは違う戦い方をしてしまったという人もいるでしょう。隣の芝生は青く見えるかもしれませんが、無理に波に乗ろうとすると痛手を負うこともあるということだと思います。





住友金属鉱山、買い増すならいつ?



――住友金属鉱山を保有していらっしゃいますよね。出口戦略を教えてください。



「平均取得単価は3,227円で400株を持っていましたが、1万500円前後で半分利確しました。さすがに短期間で上がりすぎですよね。十分すぎるリターンだと思います」



 残りの200株はしばらくというより、ずっと持つつもりです。今の株価は高いと思っているものの、俯瞰してこの会社の価値を考えたら、長期的に見れば1万円でもまだ安いと思っているんです。



――その根拠は銅ですか。



 そうです。銅は今、国際価格がポンド建てで過去最高値圏にあります。データセンター、電気自動車、発電所の発電機にはモーターとコイルが必要です。そしてコイルというのは銅の塊のようなものですから、銅の需要はこれからも増え続けるはずです。需給で考えれば、過去最高値も当たり前だと思います。



 金や銀を見ると、金は過去最高値からだいぶ下の水準で、円建てなら1万円ほど下がっています。それでも銅は最高値。この違いは大きいと思います。




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