こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡で観測した散光星雲「M17(Messier 17)」。いて座の方向、地球から約5500光年先にあります。


【▲ ESOのラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡で観測した散光星雲「M17(Messier 17)」(Credit: ESO)】

画像の幅は、満月の見かけの直径よりもやや大きいくらいです(視野は35.44×33.12分角)。ここは新たな星を生み出す星形成領域であり、ガスと塵(ダスト)が集まった赤い濃淡の雲、その中央付近にはまだ若い星々が集まっています。


たくさんの呼び名を持つ星雲

M17とは、18世紀にフランスの天文学者Charles Messier(シャルル・メシエ)が星雲や星団をまとめた「メシエカタログ」における名前ですが、この星雲には多くの別名が存在します。


たとえば、星雲の中に浮かぶ帯状の構造がギリシャ文字の「Ω(オメガ)」に似ていることから付けられた「オメガ星雲」や、湖に浮かぶ白鳥のようにも見えることから付けられた「白鳥星雲」。他にも、チェックマーク(レ点)に見立てた「チェックマーク星雲」や、馬の蹄の形に見立てた「馬蹄形星雲」、はさみを広げたロブスターを思わせるとして付けられた「ロブスター星雲」という呼び名もあります。


さながら“大喜利”のようですが、この星雲が多くの人々に愛されてきたことの証だと言えるでしょう。


新たな星が次々と生まれる“星のゆりかご”

この画像は、MPG/ESO 2.2m望遠鏡の広い視野を捉えることができる観測装置「WFI(Wide Field Imager)」で取得したデータを使って作成されました。


星雲を彩る赤色は、電離した水素ガスが放つ光によるものです。M17で誕生した若く高温の星々は強い紫外線を放射しており、周囲のガスを電離させて明るく輝かせています。ESOによると、中心部分が白っぽく見えるのは、最も高温のガスが放つ光と塵が反射し星々の光が混ざり合った結果だといいます。


35個の星が集まった散開星団「NGC 6618」をはじめ、星雲の中心部には約800個の星々が存在します。星雲を構成するガスの総質量は太陽の3万倍以上と推定されており、外側部分では新たな星が形成され続けているとみられています。


冒頭の画像はESOから2015年9月23日付で公開されたもので、ESOの公式SNSアカウントが2026年8月13日に改めて紹介しています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


関連記事輝線星雲「タランチュラ星雲」の多波長画像 ハッブル・ウェッブ・チャンドラが観測まるで凛々しい百獣の王 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 2392」「イータカリーナ星雲」に浮かぶ“宝箱” ウェッブ宇宙望遠鏡が観測参考文献・出典ESO - A Cosmic Rose With Many Names