【増田 剛】東芝が「軍事ドローン」生産で”完全復活”の兆し…!小泉進次郎が後押しした、スタートアップ企業との「新たな防衛戦略」とは
日本の安全保障環境「戦後最も厳しく複雑」
日本の防衛戦略における「不可逆的なパラダイムシフト」が、ついに公式な文書として国内外に示された。
2026年8月4日に日本政府が閣議了承し、公表した2026年版「日本の防衛」(防衛白書)である。過去最多となる598ページに及ぶこの白書は、日本を取り巻く安全保障環境を「戦後最も厳しく複雑」と断じ、特に人工知能(AI)やドローンを活用した「新しい戦い方」への対応を最重要課題として前面に押し出した。
時計の針を少し戻せば、7月15日には小泉進次郎防衛大臣の主導のもと、「迎撃ドローン早期取得プログラム」の受託企業(日本のスタートアップ・テラドローンなど)が発表され、同時に金融界のトップを集めた異例の「意見交換会」が開催された。さらに2週間後の7月31日には、国内電機最大手の東芝が、新興企業のプロドローンと提携し、国産「迎撃ドローン」の開発に乗り出すことを発表している。
高市早苗政権下で進む抜本的な防衛力強化と、小泉大臣の実行力が両輪となり、かつて「防衛後進国」と揶揄された日本が今、これまでの常識を覆すスピードで「新しい戦い方」に適応しようとしている。 本稿では、最新の防衛白書が突きつけた冷徹な現実と、東芝の参入に象徴される「スタートアップ×大企業」による国産ドローン戦略の最前線、そして、日本の国防のあり方を根本から変える多層的沿岸防衛構想「SHIELD(シールド)」の全貌について、余すところなく解説したい。
「非対称戦」の衝撃と、防衛白書が明記した「新しい戦い方」
なぜ今、日本政府は、これほどまでにドローンの国産化と新興企業支援に執着するのか。その背景には、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が世界に見せつけた、現代戦の劇的な変化がある。
ウクライナの戦場では、安価なドローンが数百万機の規模で投入され、偵察、監視、攻撃、さらには自爆攻撃に至るまであらゆる任務をこなしている。この戦争で決定的に証明されたのが「非対称戦」の有効性だ。
従来の常識:一両あたり数億円から数十億円もする最新鋭の戦車や戦闘機、ミサイルなどの大型兵器が戦場を支配する
現代の現実:一機あたり数十万円から数百万円程度の安価で構造がシンプルなドローンが、高価な大型兵器をいとも簡単に破壊し、敵の戦力を消耗させる
無人化により攻撃側の人命リスクをゼロに抑えつつ、大量生産・大量消費による「飽和攻撃」を仕掛ける。ウクライナ戦争では、両軍の死傷者の実に7〜8割がドローンによるものだとされている。
今回の防衛白書は、こうした現実を直視し、「新しい戦い方をめぐる動向」という独立した章を新設した。従来の高性能な単体装備への依存から脱却し、「無人アセットとAIの活用」を軸とした「多次元統合防衛力」への完全な移行が必要であると指摘している。AIを活用した作戦立案や意思決定の迅速化、有人機を支援しリスクの高い領域へと進入するAI協調型無人機の研究開発など、戦域のデジタル化はもはや待ったなしの状況だ。
中国の脅威と「費用対効果」の限界を打破する東芝の参入
日本が直面している現実は、さらに過酷である。最大の懸念材料は、世界最大のドローン大国・中国の存在だ。民生分野のドローン市場において、中国製は世界シェアの7割、日本国内に至っては90%を占有している。台湾有事が現実味を帯びるなか、中国が大量の無人機を使った飽和攻撃を仕掛けてきた場合、日本はどうやって国を守るのか。
有事において、最も重要なのは、戦闘を継続する力、すなわち「継戦能力」である。消耗戦が前提となるドローンを海外のサプライチェーンに依存していれば、供給網が絶たれた瞬間に日本は戦う術を失う。
さらに深刻なのが、「費用対効果」の問題である。安価に大量投入される攻撃ドローンに対し、一発数億円から数十億円もする高価な防空ミサイルで撃ち落とし続けることなど、予算的にも物理的にも不可能だ。
この絶望的な非対称性を打破する「切り札」として、日本企業がついに本格的な動きを見せた。7月31日、東芝が、スタートアップの「プロドローン」(名古屋市)と連携し、敵のドローンに直接ぶつかって爆発・破壊する「国産迎撃用ドローン」の開発を発表したのである。
これまで敵機を網で捕まえる軍民両用(デュアルユース)ドローンを製造していた東芝の高度な「レーダー技術」と、2015年設立で、自律飛行制御や設計技術に強みを持ち、主要部品を国内調達できるプロドローンの「開発ノウハウ」。大企業の資本・先端技術と、新興企業の機動力・純国産サプライチェーンが見事に融合するのだ。
さる7月15日には、防衛省の「迎撃ドローン早期取得プログラム」の、実証試験受託企業として、ウクライナでの実戦経験を持つ日本のスタートアップ「テラドローン」が、海外の軍需企業と並んで採択されたばかりだ。防衛装備を「実績のある海外の老舗軍需企業」に頼るという従来の常識は完全に崩れ去り、国内のスタートアップと大企業がタッグを組んで、国防の一翼を担う時代へと突入したのである。
小泉防衛相がぶっ壊した「資金の壁」と、かつてない防衛予算
こうした防衛産業の地殻変動は、政府の強力なバックアップなしには語れない。2026年版防衛白書は、高市政権下で初めて発表されたものであり、「骨太方針2026」に示された防衛力変革のロードマップと高度に符合している。
実際、2026年度の防衛費は前年度比9.4%増の9兆4億円と過去最高を記録。NATO基準に換算すると10兆6千億円(対GDP比1.5%)に達する。今後5年間の事業費として、無人アセット防衛能力に約1兆円、領域横断作戦能力(宇宙、サイバー、電磁波)にそれぞれ約1兆円が計上されるなど、本気度は桁違いだ。白書では初めて「防衛生産・技術基盤の強化」が「第4部」として独立し、スタートアップの新規参入促進が国家戦略として掲げられた。
だが、どれだけ政府が旗を振ったとしても、乗り越えなければならない「岩盤規制」があった。それが、戦後日本に根づく「軍事を極端に避ける慣行」と、それに起因する金融機関の「資金の壁」である。
このタブーを打ち破ったのが、小泉防衛大臣だ。小泉氏は5月の国会で日本政策投資銀行(DBJ)などの消極姿勢を痛烈に批判し、投融資ルールを見直させた。さらに7月15日には、全国銀行協会や政府系金融機関のトップを防衛省に招集。対面の意見交換会を開き、「防衛分野で事業を継続し、成長していくためには、投資や融資を適切なタイミングで受けられることが不可欠だ」と直談判を行ったのだ。
政府は「スタートアップ総力創出パッケージ」で2027年度までに新興企業への投資額を10兆円規模とする目標を掲げている。防衛事業へのタブー視が砕け散り、巨大な資金が「国産ドローンエコシステム」へと流れ込もうとしている。
日本の知略が光る!多層的沿岸防衛構想「SHIELD」の全貌
迎撃ドローンの配備と国内生産基盤の確立は、日本政府が打ち出した新たな防衛構想=多層的沿岸防衛構想「SHIELD(シールド)」の重要なピースである。
SHIELD構想とは、無人機を大量に活用して多層的に沿岸防衛を強化する構想だ。日本に侵攻しようとする敵の艦艇や上陸部隊を沿岸部で阻止することを狙う。政府は2027年度までに、陸海空の自衛隊であわせて10種類の無人機を配備する計画だ。
しかし、日本の戦略は単なる防御にとどまらない。攻守両面で無人機を「要」と位置づける。現在、防衛省は、長射程のスタンド・オフ・ミサイルと、長距離飛行が可能な攻撃型ドローンを組み合わせた「複合攻撃」の態勢構築に入っている。航続距離1000キロを超えるアメリカ製の自爆型無人機「LUCAS(ルーカス)」の導入が有力だ。発射したミサイルに、これらのドローンを同時飛行させて敵の防空網を飽和・撹乱し、本命のミサイルの命中率を劇的に高めるという、合理的で高度な戦術だ。
「徹底した無人化、省人化、自動化を、トッププライオリティーで進めていけるかが重要だ」
小泉防衛大臣が名古屋のプロドローン本社を視察した際に語った通り、時代は劇的に動いている。ウクライナの悲劇と中国の脅威を前に、日本は「覚醒」すべき時が来ている。
2026年版防衛白書が示した「新しい戦い方」への決意。テラドローンやプロドローンといったスタートアップの台頭と、東芝に代表される大企業の参入。そして、それらを強力に後押しする高市政権の予算措置と小泉防衛大臣のトップセールス。
緻密なモノづくりを得意とする日本の技術力が、デュアルユースという形で国防に結集しつつある。安価で高性能な「純国産ドローン」が日本の空と海を守り抜き、さらに世界の防衛市場を席巻する未来は近い。新たな「防衛技術大国・日本」の幕開けを、私たちは今、目の当たりにしている。
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