「結婚はせず不動産収入で自立」今年家賃の値上げに成功した70歳超の女性オーナーが明かす“東京の大化けエリア”
令和バブルの終焉、金利上昇、戦争による資材高騰……。先が見通せない時代でも、不動産投資で儲ける強欲な「勝ち組」はいる。いつ、どんな物件に投資すればいいのか。彼らへの取材で分かった“必勝法”を紹介する。
【画像】70歳超の女性オーナーが明かす“東京の大化けする場所”は…
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タワマン1部屋の区分投資を
(3)大化け地域を探せ
70歳をゆうに超えているらしいが、ヴィトンのバッグは常に新作で、胸元、指、耳たぶにはいつも大きな真珠が上品に輝く女性がいる。都内の高級タワーマンション7部屋を持つオーナーだ。白金、高輪、広尾、六本木などどれも一等地ばかりだ。不動産投資のキャリアは50年を超える。結婚はせず、不動産収入で自立してきた。
この4月、彼女は家賃の値上げに成功した。前入居者の退去を機に、55万円から85万円へ、一気に30万円も上げたのだ。それでも新しい入居者はすぐについた。「赤坂タワーレジデンスTop of the Hill」の一室である。
この部屋を購入したのは2008年、新築時だった。赤坂タワーレジデンスといえば東京・港区を代表するタワマンだが、当時は抽選もなく、欲しい部屋が買えたと話す。
「12歳から通っていた日本舞踊のお師匠さんの家がすぐ近くにあって、土地勘があったの。その頃は赤坂といってもまだまだ発展途上で、自動車教習所があったり、ゴルフの打ちっぱなしがあったりしたのよ」
しかしいずれ大化けすると彼女は見込んだ。当時の価格は1.4億円だが、キャッシュで購入。今の相場は4億円になっている。
投資エリアは自分の目が届き、地の利がある場所だけ。街の変化をじっと観察していると、その先がどうなるか予測できるという。
手元には、昭和48年の東京都内の住宅地図を置く。新しいタワマンが建つと昔どんな建物が建っていたかを見て投資するかしないかを判断する。
「メッキ工場跡地はダメね、汚染されてて土壌改良に余計な費用がかかるから」
アパート1棟を買って投資した時期もあったが、今はタワマンの1部屋を買う区分投資にこだわる。
「アパート1棟だと、屋根、左右の壁、表面・裏面、地盤の6面を考えなきゃならないでしょう。区分ならお部屋の中のことだけ考えておけばいいから楽なのよ」
私は、これから先の東京にも大化けする場所は残っているのかを聞いてみた。
「東京の街は、これからもどんどん変わります。私が子供の頃は東京の建物の高さは平均1.7階で、2階建てが珍しかったのよ。今は、高層化が止まりませんね。あえていうならもっとわびさびを感じる建物を建てて欲しいけれどね」
(4)安い時に買え
2月に拙著『強欲不動産』(文春新書)を出版してからというもの、不動産投資を始めるにはいつがいいのかとよく聞かれる。ありとあらゆる投資がそうであるように、王道は、「安い時に買う」だ。

「令和バブル」の深層に迫った著書『強欲不動産 令和バブルの熱源に迫る』(文春新書)
これだけ不動産価格の高騰が叫ばれている中で「安い時なんてあるのか」と思われるかもしれないが、過去には、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など不動産暴落の局面があった。そうしたときに買えた人たちが現在の投資市場の主役になっている。
08年のリーマンショック後、日経平均は7000円台まで下がった。1ドル87円という嘘みたいな時代だ。その時にハワイの不動産を買った投資家を何人も知っている。彼らはその後の不動産の値上がりと、強いドルで入ってくる家賃収入という2つの恩恵を受けている。口座に毎月貯まっていくドルの金利収入だけで、年数回のハワイ旅行代をまかなえている。
タワマンを約30室持つコレクターがいるが、彼の座右の銘は、「悲観は友、陶酔は敵」。人々が絶望し、悲観している時こそが買い時だと教えている。
今だってよく見れば、安い物件、安い地域、安いタイミングはある。例えばこういう投資家がいる。
戸建ての建売業者が抱える売れ残り物件ばかりを買う人だ。売れ残り物件は「在庫」として決算前に叩き売られることがある。そのタイミングを狙って買うのだ。戸建て住宅は、賃貸住宅業界では希少性が高く、家賃も高くとれる。大型犬を飼っている人やどうしても1戸建てに住みたい人、家で仕事をする人が借り手候補だ。仮に3000万円程で買えて月々の家賃が25万円もとれたら上出来。そんな物件をいくつも持っていくのだ。
冒頭で紹介したLINEグループの1人が、今、ベトナム・フーコック島に家族旅行をしている。彼から送られてくる現地の写真を見て驚いた。
「APECをやる予定であっちこっちの原野が開発されています。空港のまわりではものすごい数のクレーンが動いてますよ」
27年にフーコック島では、APEC首脳会議が計画されている。フーコック空港は国際空港として拡張され、VIPターミナルも建設される。そうなれば土地高騰の成金が生まれ、そのマネーは世界中で行き先を探し始めるだろう。
視点を変えればチャンスは無限
不動産投資である程度成功すると、時間的な自由を手に入れられるのが最大の武器だ。そのため私の周りの投資家たちはよく旅行し、現地でしか得られない情報を持ち帰る。そして海外から見た日本の価値や投資妙味、グローバルな金の流れを実感して帰ってくる。
「安い時」とは、誰からの目線なのか、どの時期からの比較なのか、で変わる。「高い、高い」と言われる東京の不動産も、世界から見たら、あるいは未来から見たら、実は激安なのかもしれない。
(5)親からもらえ
「親から相続したくないものランキング」調査(株式会社AlbaLink)の1位は不動産で、約54%が「相続したくない」と回答している。実際に取材をしていても、世代交代のタイミングで、不動産を手放すという事例は「あるある」だ。子供から「現金で欲しい」と言われたから売るという親も多い。これはもったいなさすぎる。
まず、これだけ建築費や資材が上がって、戦争の影響でユニットバスが調達できないような状況下において、すでに不動産を所有していることがいかに恵まれているかを認識すべきだ。
広島でアパートを20棟建ててきた元農家の高齢男性はこう言った。
「将来、孫に全て相続しようと思って頑張ってきました。20歳の誕生日に伝えると『つーか、いらねえし』と言われました。東京で生まれ育った孫からしたら縁のない田舎で不動産を持つのはリスクなんでしょうな」
それなら私にくれ、と言いたい。
仮に現金でもらったとしても、今の1000万円が来年も同じ価値である保証はどこにもない。毎月継続的に家賃が入ってくる安心感は、株式投資を圧倒する。もちろん、リフォーム代や修繕費用がかさんだり、入居者からクレームを受けてしまったりすることもある。「給湯器が壊れて風呂に入れないじゃないかあ」と呼び出されることは日常茶飯事だ。
所有する部屋数が増えれば、ボヤ、騒音、隣人トラブル、孤独死、なんてことも起こり得る。私の周囲の投資家で、フェラーリを乗り回し、ロレックスを何十個も持っている人でも日常的にこうしたことに対応している。しかし、金や株式投資と違い自分でコントロールでき、「小さな事業」として成り立つ。今のようなインフレの時代には、借金を目減りさせながら、不動産の時価は上がるというメリットも受けられる。
不動産投資は視点を変えればチャンスはいくらでもあるのだ。
(よしまつこころ/大学卒業後、業界紙「週刊全国賃貸住宅新聞」に入社し、全国の賃貸管理会社などを取材。取締役を最後に退職し、2015年、不動産業界向け通信社「Hello News」を設立。)
(吉松 こころ/週刊文春 2026年7月16日号)
