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 ◇新体操 世界選手権第4日(2026年8月15日 ドイツ・フランクフルト)

 28年ロサンゼルス五輪予選を兼ねて団体総合が行われ、日本が2種目合計56・700点で2位に入り、3位までの五輪枠を獲得。全競技を通じ、日本勢で五輪決定の第1号となった。前半のフープ・クラブで全体3位の28・550点、後半のボールでは全体2位の28・150点をマークした。主将の田口久乃(19=東女体大)を中心に平均年齢18歳と若返った「フェアリージャパン」が同調性の高い演技を見せ、表彰台に立った。

 若き妖精たちが「忍者」の世界観を完璧に表現した。団体総合前半で暫定3位につけ、迎えた勝負のボール。5人が縦横に交錯し、世界的にも評価が高い同調性の高さで芸術点を稼ぐと、今季チーム最高の合計得点で五輪切符をつかんだ。田口主将は「実感が湧かない。頼りない私にみんなが付いてきてくれた」。膝から崩れ落ち、感極まった。

 勝負の演技は間の取り方や呼吸など細部までこだわった。誰かを思う気持ち、慈しむ気持ちを演技に加えるため、時代劇や韓国ドラマまで見て情感の豊かさを研究。日本舞踊やすり足の技術についても動画やAIを駆使して「演技へ落とし込んだ」と田口。ボールのみに出場した団体メンバー最年少の16歳・真鍋も「気持ちの強さを全員が出せた」と安堵(あんど)した。

 平均年齢18歳。頂点に立った昨年の初優勝後に主軸2人が引退し、新たなチームづくりが始まった。若い分、伸びしろは十分。1日に演技を通す練習回数は3倍の30本に増え、昨年より高難度な構成に磨きをかけた。一年のほとんどが共同生活。定期的に開催される恒例の「フェアリー会」で田口は「話しやすい環境づくりをした」と振り返る。

 7月上旬には東京・亀戸の神社で必勝祈願。今回の五輪出場を願った帰りには、隅田公園でピクニックをした。大好きなパンなど食べ物を持ち寄り、1枚の大きなレジャーシートの上で息抜き。練習場では言えない素直な気持ちを打ち明け、絆を深めた。

 主将の田口と西本副将はパリ五輪出場を逃したメンバーだけに喜びもひとしお。「全力でやり続けたことを2年後にしっかりつなげたい」と田口が言えば、西本も「小さい頃からの夢がずっと五輪で金メダルを獲ること」と視線を上げた。妖精たちの夢にはまだまだ続きがある。

 ≪テーマ重視の育成方針変更≫日本体操協会の村田由香里強化本部長は、正確な手具操作や同調性を武器に「日本らしさ」で勝負する発想は継続し、選手たちの育て方は変えた。初優勝した昨年、沖縄の「島唄」を使ったリボンの演技が高い芸術点につながったことで「こういう演技なら競り勝てると分かった」と振り返る。小柄でスピード感のある選手たちにマッチする「忍者」という明確なテーマを重視した。採点傾向を踏まえて難度や構成も見直した。

 一方、行き過ぎた指導は問題となり「見直すべきところがあった」という。医科学プロジェクトチームを発足し、疲労度を測定し故障リスクを管理しながら練習量を引き上げた。若い選手がそろったからこそ1日30本という演技の通し練習が可能となった。経験不足からミスを重ね、国際大会での表彰台が遠かったが、大一番で成果が出た。経験の浅い選手を鍛え「体制を変えたからこそ、強化のスピードは速かった」と語った。

 ▽新体操の団体総合 1チーム5人で構成され、「全員が同じ手具」と「2種類の手具を3人と2人」での2種目の合計点で争う。今年からロス五輪まで全員がボールを使う種目と、3個のフープ、2つのクラブを使う種目の組み合わせで実施。パリ五輪はフープとリボン&ボール、21年東京五輪はボールとフープ&クラブだった。フェアリージャパンは新体操日本代表の愛称。

 ◇真鍋 凜(まなべ・りん)2009年(平21)12月10日生まれ、香川県出身の16歳。所属先は香川・観音寺総合高、観音寺RG。1メートル66。

 ◇花村 夏実(はなむら・なつみ)2008年(平20)7月12日生まれ、長野県出身の18歳。所属先は長野・松本国際高、WingまつもとRG。1メートル69。

 ◇西本 愛実(にしもと・めぐみ)2007年(平19)9月26日生まれ、愛媛県出身の18歳。所属先は国士舘大、Estella RG。1メートル62。

 ◇田口 久乃(たぐち・ひさの)2006年(平18)9月15日生まれ、千葉県出身の19歳。所属先は東女体大、安達ク。1メートル65。

 ◇田中 友菜(たなか・ゆうな)2009年(平21)3月9日生まれ、兵庫県出身の17歳。所属先はS高、宝塚サニーク。1メートル68。

 ◇田辺 観世埜(たなべ・かせの)2006年(平18)7月18日生まれ、東京都出身の20歳。所属先は日女体大、世田谷RG。1メートル65。