「上裸だとめちゃくちゃ見られる」10年ぶりのプールで感じた“異変” 男性も“肌を隠す”のが当たり前の時代に?
時代とともに、さまざまなものがアップデートされていく。かつては女性のものというイメージも強かった日傘も、いまでは夏の街中で男性がさしている姿も珍しくない。厳しさを増す夏の暑さとともに、日差しから身を守ることへの意識や“夏の常識”そのものが変化している。
男性も上半身は隠すのがプールの主流に?
先日、SNSで話題になったのは、約10年ぶりに家族でプールを訪れたという男性の投稿。久々のプールで男性が驚いたのは、周囲の男性客の服装だった。
上半身裸の男性はかなり少なく、多くの人が黒い長袖のようなものを着ていたという。男性はそこで「ラッシュガード」の存在を知り、上半身裸でいることを恥ずかしく感じ、その後、急いで購入したそうだ。
男性によれば、ラッシュガードの着用が「マナーなのか」と思ってしまうほど、そのプールでは多くの男性が着用していたという。
この投稿には、「マナーというより日焼け対策かな」「ラッシュガードつけてると、直接日差し浴びるより疲れがだいぶマシになりますよ」「紫外線予防だと思う。10年前に比べたら日差しが強すぎて、火傷状態になりやすいからだと思う」といった、ラッシュガードの実用面を指摘する声が多く寄せられた。
実際、気象庁の長期観測では、国内の観測地点の地表に届く紫外線量は1990年以降、統計的に増加傾向が確認されている。男性の日傘が珍しくなくなったのと同じように、強い日差しをできるだけ直接浴びないための対策として、プールでラッシュガードを着ることも定番になりつつあるようだ。
ただ、着用する理由は暑さや紫外線対策だけではない。
「最近は小学生男子でも『上が裸なんて恥ずかしいから嫌だー』と言いますね」
「上裸少なくてめちゃくちゃ見られるから段々と見せてるのが恥ずかしくなってくる」
「太った醜い身体を隠せるから重宝します」
「ラッシュガードを着てないと、子どもから『あの人裸だよー』って言われて恥ずかしくなった」
など、太陽光ではなく、人目を気にして着用しているという声も少なくなかった。
いつの間に、男性がプールでラッシュガードを着ることは、これほど当たり前になったのだろうか。
スポーツやアウトドア領域を中心に事業を展開する株式会社ゴールドウインは2026年6月、過去2年以内に屋外プールや海水浴場、川、湖などを訪れた10~50代の男性501人を対象に、「男性の水辺での装いと意識に関する調査」を実施している。
ラッシュガードの売上は数年で数倍以上の統計も
その結果、水着に加えて、上半身にラッシュガードやTシャツを着用すると答えた男性は62.8%。すでに6割を超えていた。また、「上半身の露出が気になる」と答えた男性は80.8%にのぼった。
露出を気にする理由としては、「日焼け(紫外線)を防ぎたい」が57.8%、「体型、身体のラインを見せたくない」が53.1%、「水辺だけでなく、そのまま移動や街歩きでも着回したい」が40.5%だった。
では、実際の販売状況はどう変化しているのか。ゴールドウインの担当者に聞いた。
同社によると、メンズラッシュガードは「2024年から2025年にかけて、売上が前年比約1.6倍に伸長した」という。
さらに長いスパンで見ると、その伸びはより大きい。
「男性向けを含む数字ですが、ユニセックスのラッシュガード商品は、2022年と比較して2026年の現時点までの実績で、販売数量が約4.4倍まで伸長しております。また、2026年は特にメンズラッシュガードの販売が大きく伸びています」
なかでも好調なのが、身体にぴったりと密着するタイプではなく、身体のラインを拾いにくく、濡れても肌に張り付きにくいよう適度な厚みを持たせたラッシュガードTシャツだという。
紫外線を防ぐだけでなく、体型をカバーしたいというニーズも、ラッシュガードを選ぶ大きな理由になっていることがうかがえる。
では、着用する男性が増えたことで、逆に「上半身裸」の男性が目立つようになったのだろうか。
この点について担当者は、
「『目立ちやすくなっている』というよりも、近年はUV対策や快適性への意識が高まっていることから、その分、上半身裸で過ごす方が減ってきているのではないかという印象です。普段のアパレルと同様に、水辺での服装についても、個人のスタイルや利用シーンに合わせて選択肢が広がり、より多様になってきています」
と答える。
もちろん、上半身裸でプールに入ることがマナー違反になったわけではない。
ただ、男性も日傘をさして街を歩くようになったように、夏の強い日差しを避けることは、ごく自然な選択になった。そこに体型を隠したい、人前で肌を露出したくないといった理由も重なり、男性のプールでの服装は大きく変わってきているようだ。
取材・文/集英社オンライン編集部

