非難されることもある子ども用ハーネス ※画像はイメージです(ぷー気分/photoAC)

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30代女性のAさんは、2歳になる息子の子育てに奮闘している。息子は活発な性格で、道路へ突然飛び出したり、人混みで急に手を振り払って走り出したりしてしまう。何度もヒヤリとする場面を経験したAさんは、「次は事故につながるかもしれない」と不安を抱くようになった。

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そして悩んだ末、Aさんは息子の命を守るために子ども用ハーネスを使い始めた。しかし、ある日外出先で通りすがりの人から、「犬じゃないんだから」「かわいそう」と言われてしまう。

子どもを守りたい一心で選んだことなのに、自分の子育てまで否定されたような気持ちになったAさん。それ以来、ハーネスをバッグに入れて外出しても、人目が気になって使えないでいる。

では周囲の人がいうように、子ども用ハーネスを使うことは「かわいそう」なのだろうか。また、ハーネス以外で子どもの安全を守るための工夫はあるのだろうか。臨床心理士・公認心理師・保育士の鎌田怜那さんに話を聞いた。

ー子どもにハーネスを使用することは「かわいそう」なのでしょうか?

まったくかわいそうではありません。むしろ子どもの命を最優先に考えた正しい行動といえます。

ただ、Aさんに声をかけた方には、ハーネスを使うことで子どもを拘束したり、子どもを力で操作するように見えた可能性があります。また、ハーネスが一般的でなかった時代に子育てをされた方にとっては、その必要性が実感しにくいのかもしれません。

欧米でもハーネスへの賛否はありますが、育児をサポートする道具として広く受け入れられている国も多いです。そのため、今後ハーネスの認知がさらに広がれば、このような声は少なくなっていくでしょう。

ーハーネス以外に子どもの安全を守るために家庭でできる工夫や考え方があれば教えてください。

実行しやすい手段でいうと、出かける前に子どもの欲求を満たしておくことです。運動不足・疲れ・眠気・空腹などの不満を解消しておくと、問題行動を起こしにくくなります。

また日常での遊びとして、電車ごっこや信号ごっこに「ストップ&ゴー」を取り入れるのもよいでしょう。子どもは「止まりたくない」のではなく、急には止まれないのです。遊びの中で止まる練習を重ね、できたら褒めることで、危険な場面で反応しやすくなります。

さらに、絵本やアニメを通して交通ルールを話題にしてみましょう。「教え込む」というより、「ちゃんと止まってるね」「お手て繋いで歩いてるね」と、実況中継するように言葉にするのがおすすめです。

ー安全対策をしても子どもの行動に不安が続く場合、どのようなタイミングで周囲や専門機関に相談するとよいのでしょうか。

行動の度合いを考慮する必要はありません。少しでも気になったら相談することをおすすめします。保育園・幼稚園の先生や専門機関、相談窓口など、専門的な視点を借りる機会を持ってみてください。

子どもの命を守るのは、社会全体の役目でもあります。Aさんが1人だけでがんばらないといけないわけではないのです。いろいろな助けを借りながら、子どもにとって安全で安心な環境を一緒に広げていきましょう。

◆鎌田怜那(かまだ・れいな) 一般社団法人マミリア代表
臨床心理士・公認心理師・保育士・小学校教諭免許を持ち、児童養護施設でのトラウマケア、スクールカウンセラー、精神科クリニック、保健所での発達支援など多岐にわたる現場を経験。自身も3児の母として日々育児に向き合いながら、「知識だけでは乗り越えられない子育ての壁」を痛感してきた経験をもとに、子育て世代に寄り添うカウンセリング・講演・研修を展開。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)