SpaceXの公式Xより

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イーロン・マスク氏率いるスペースXは、6月12日に株式上場(IPO)して初めての決算発表を行ったが、4~6月は5億4100万ドル(約850億円)の最終赤字だった。

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調達額は857億ドル(約13.6兆円)に達し、史上最大のIPO案件として大きな注目を集めたものの、事業は発展途上にあることを印象づけた。それでも、マスク氏は決算説明会で「1年後には1日1回以上の頻度でスターシップを飛ばす。来年末には有人飛行の安全レベルを達成する」と語った。

さらに、「月面に工場を建設する。SF映画のようだが現実の話」とし、ロケットで月に資材などを運び製造用ロボットを稼働させる計画を話した。また、宇宙事業以外では、最先端AIの年内投入を宣言し、年間売上高1兆ドル(約157兆円)を2030年に達成する目標を掲げた。

「スターシップ」は同社が開発を進める世界最大のロケットで、衛星など積載できる荷物は100トン以上、将来的に一度に100人を運ぶことを想定している。

ただ、現在のところ、利益が出ているのは「スターリンク」として展開する低軌道衛星インターネットの通信事業のみ(16億5000万ドルの黒字)。宇宙事業とAI事業は赤字だ。ロケット開発やデータセンターへの巨額投資が原因とされる。

アメリカのアナリストたちからは、マスク氏が描く成長計画に疑問の声が多い。6月の上場直後は株価が上昇したものの、下落に転じて最近は公開価格を下回る展開が続いている。

短期的には今後も株価が乱高下するだろうが、問題は中長期でこの会社をどう見るか。多くの投資家はマスク氏の夢とロマンに賭けている。例えば、スターリンクは宇宙AIデータセンターへと発展させる。AIチップ・大型太陽光パネル・衛星間レーザーリンクを搭載した衛星群を軌道上に展開し、AIコンピュートを宇宙で完結させるとのこと。地上では解決が難しい電力・冷却コストを根本から回避できるのが最大の特徴だ。マスク氏は「宇宙では太陽光が軌道上で常時降り注ぎ、真空が排熱を処理できる」とインタビューで語っている。

EVメーカーのテスラを立ち上げたときから「持続可能なエネルギー社会のインフラ構築」という大きなミッションを掲げていたマスク氏。現在、スペースXで掲げているのは「地球の災害や資源枯渇から人類を守るため、火星に自立した都市を作り、多惑星種にすること」という壮大なものであり、常人の想像力を超えている。目先の株価に一喜一憂しているタイプではないのである。

文/横山渉 内外タイムス