インドネシア、看板政策の無料給食縮小へ 汚職や食中毒相次ぎ、国民の不満高まる

インドネシアのプラボウォ大統領が掲げる看板政策の無料給食事業が財政難のため縮小を迫られている。高校生以下の子どもら計約8300万人への提供を目指すものの、汚職や食中毒が相次ぎ、国民の不満が高まった。政府は対象者の見直しによる予算削減を検討。給食センターの運営も改善して「量から質」への転換を図る。(共同通信ジャカルタ支局=新里環)
「マクドナルドを超える」―。事業開始から丸1年となった2026年1月のスイスでの国際会議。演説したプラボウォ氏は給食の提供数が近く、同社が世界中で1日に販売する約7千万食を上回る見込みだと誇示した。
新興国のインドネシアは2045年までに世界の五大経済大国入りを目指している。貧困は改善されつつあるが、栄養不足で身長が低い「発育阻害」の子どもが約2割に上る。
給食事業は栄養改善が目的だ。対象は5歳未満の幼児、幼稚園と小中高生、そして妊婦ら。2026年中の全員への提供が目標で、受給者数は5月時点で約6200万人に達した。
だが性急な事業拡大は多くの問題を誘発した。約2万8千カ所の給食センターの運営を民間に委託するが、衛生管理に不備のある事業者が多いことが早々に判明。教育監視ネットワークによると、少なくとも3万7千人が食中毒になった。
東ジャカルタ市の公立小では5月、全校児童約470人のうち77人が食中毒になり、4日間入院したナウファルさん(12)は「給食は家計の助けになるが、また食べるのは怖い」と話す。
給食事業の本年度当初予算は、国家予算の約9%に当たる335兆ルピア(約3兆円)。好意的な声がある一方で同ネットワーク幹部のウバイド・マトラジ氏は「教員給与引き上げや校舎改修などの課題が後回しとなっている」と懸念する。
6月には事業を担当する国家栄養庁の前長官らが汚職の疑いで逮捕された。自身が関係する事業者に給食センターの運営を受注させ、不当に利益を得たとみられている。
中東情勢悪化が国家財政を圧迫、インフレ懸念が高まる中での不祥事に事業停止を求めるデモが続発した。政府は5月に事業予算を268兆ルピアに減額したが、さらなる圧縮を迫られ、高校生を対象から外す案が浮上している。衛生管理の改善も待ったなしで、ウバイド氏は「適切な計画もなく急拡大させたのがそもそも誤りだ」と指摘する。



