【ライブレポート】浜田省吾ソロデビュー50周年の節目のツアーを完走!極上のロックンロールショウを振り返る

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2026年4月21日にソロデビュー50周年を迎えた浜田省吾の最新ツアー『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2025-2026 Under The BLUE SKY』が閉幕した。本ツアーは、2025年9月27日~翌2026年1月18日までの“The First Period”、そして今年5月1日~8月7日を“The Second Period”として、一年かけてまわった全国ホールツアーである。

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本稿では、その終盤戦、7月16日の東京・NHKホール公演をレポート。音楽とメッセージを一人ひとりに直接手渡すような温かさと濃密さに満ちた3時間を振り返る。

■“最高級のバンド”は、浜田の歌をさらに感動的なものにし客席へと届ける

終演後、長年、浜田省吾のオフィシャルライターをつとめる音楽評論家・田家秀樹氏に声をかけたら、昂揚した様子で「完璧っ!」とひと言。
この言葉がこの日のライブのすべてを物語っていた。田家氏は後日ブログでも同様のことを綴っている。

オープニングは「旅するソングライター」の弾き語りをバックに、世界各地を浜田が旅をするイメージ映像が流れ、みんなに会いにまた戻ってきた、そんなメッセージだと受け取った。
そしてバンドと浜田が拍手に迎えられステージに登場し、オルガンと疾走感あるギターリフが鳴り響いての1曲目は「MAINSTREET」だ。バックライトに照らされながら、浜田の歌が光となって客席に突き刺さる。

「この夜に乾杯!」は青春の高揚感を歌うライブチューン。《ステージの上 最高級のバンド/全身でビート 感じてくれ》と歌う浜田のバックを支える“最高級のバンド”は、町支寛二(Gu&Back Vocal)、長田進(Gu)、美久月千晴(Ba)、小田原豊(Dr)、古村敏比古(Sax)、佐々木史郎(Trumpet)、河内肇(Piano)、福田裕彦(Key)、中嶋ユキノ(Back Vocal)、竹内宏美(Back Vocal)というおなじみの布陣だ。彼らのバンドアンサンブルは、ツアー終盤戦を迎えさらに強度を増し、より強く成熟した“鳴り”で、浜田の歌をさらに感動的なものにし、客席へと届ける。

浜田が「この夜を良い時間にしたい」と口にしてから「今夜こそ」を披露すると、手拍子と大合唱が起こり、続く「終りなき疾走」のイントロが奏でられるといっそうの歓声が上がり、その手で歌が伝える“蒼い情熱”を掴むようにオーディエンスは両手を高く掲げた。

怒涛のアッパーチューンの連発で、早くもクライマックスを迎えたような熱気が立ちのぼる。

■「そろそろ大都会のど真ん中にある自然豊かな(代々木)公園でライブをやってみたい」

人との繋がりや孤独に寄り添う「誰かどこかで」は、アコギとエレピの音がどこか旅情を誘い、温もりを連れてくる。

浜田にとってここ東京・渋谷は聖地だ。
「大学時代は映画を観るために東急文化会館に足繁く通い、小劇場 渋谷ジァン・ジァンで演奏し、渋谷公会堂(現LINE CUBE SHIBUYA)、そしてNHKホール、代々木第一体育館でライブをやりました。そうなると、そろそろ大都会のど真ん中にある自然豊かな(代々木)公園でライブをやってみたい」と語ると大きな拍手が贈られ、「良い季節のなかで、スローな曲でスタートさせたい。例えばこの曲で」と、ピアノが至極のバラード「愛という名のもとに」が流れてくると、客席からため息のような歓声が上がる。
浜田の人間賛歌は人生の節目ごとに聴きたくなり、その言葉がまた違った響き方をしてくる。

「君の名を呼ぶ」は浜田の優しく繊細な歌が会場を包みこみ、胸がかきむしられるような切なさが迫ってくる。ローズピアノが「もうひとつの土曜日」のイントロを鳴らすと拍手が起こる。
浜田の歌声はソロデビュー50周年を迎えても衰えることを知らず、さらに艶やかさとパワーが増している。“憂い”を深く感じさせてくれる歌声が、この曲をより“深化”させている。
浜田がギターを掻き鳴らし、ハーモニカを吹く「モノクロームの虹」のサビでは客席が腕を突き上げ大合唱し、会場の空気を震わせた。

■言うべきことを映像と言葉で強く訴えることができる唯一無二のアーティスト

町支のギターと心臓の鼓動のような太いリズムを刻むドラムを合図に「愛の世代の前に」が披露される。
映像では戦争で廃墟になった町に佇む、クマのぬいぐるみを持った少年が映し出されると、やがてぬいぐるみだけが残され、理不尽な戦争の愚かさを訴える。そして長崎、広島・原爆ドームがクローズアップされる。

ここまではっきりと、今言うべきことを鮮やかすぎる映像と言葉で強く訴えることができるアーティストは他にいるだろうか。浜田は伝えるべきことは伝えるという姿勢を、長年ライブで示し続けてきた。それは今もまったく変わらない。

前半ラストを飾ったのは「ON THE ROAD」。初年度からの『ON THE ROAD』のロゴをペイントした歴代のツアートラックが次々と走り抜けていく映像が映し出される。オーディエンスは浜田と同じ時代を生き、ともに歩み続けているのだということを改めて誇りに思う瞬間でもある。
旅を続けるミュージシャンとしての生き様を歌い、旅の途中で出会った仲間たち=オーディエンスと大合唱で、両者が魂を燃やした。

インターバルは『The Moon Light Cats Radio Show』。
そのなかの一曲「Period of Blue 1990」は、2024年9月から2025年1月にかけて行われたファンクラブツアーの準備を進めるなかで発見された未発表曲を2025年にシングル化したもので、1990年の浜田の歌声はそのままに、当時アレンジを担当した梁邦彦がリアレンジし、さらに2025年の浜田省吾がバッキングボーカルを重ねるという奇跡のコラボレーションが実現した作品だ。

■あえて披露された“歌っていただかなくて結構ソング”

後半は「光の糸」からスタート。重厚なドラムとギターのイントロから、スタンドマイクを手に浜田がシャウトし、軽快ながら“静かな熱さ”が突き上げてくるロックンロールだ。

ここで浜田が「ライブで聴きたい曲のランキングアンケートを取った。200曲以上あって、10年前の結果と並べてみたらワースト5の内の4曲が同じ曲だった」と語ると、客席から驚きの声があがる。そして「この“歌っていただかなくて結構ソング”(笑)をあえてやろうと思います。皆さんにも参加してもらいます」と、全員で足と手でリズムを取り、初期の名曲「悲しみ深すぎて」へ。透明感のあるメロディと伸びのある歌を目の当たりにし、改めてこの曲の魅力を痛感。次のアンケートではランキングを上げそうだ。

この流れで1985年当時、町支が声を幾重にも重ね作った「町支くんのすごさがわかる」(浜田)と述べた、アカペラソング「Champagne Night」を町支が歌った。

■「MONEY」からの「J.BOY」は圧倒的なカタルシスを連れてくる

ともに時を重ねてきたパートナーへの感謝を綴った、温かなバラード「君と歩いた道」を聴いていると、改めてその歌声から“誠実さ”が伝わってくる。自分の人生と重ね合わせ、浜田の誠実な言葉と歌声に涙を流しているオーディエンスも。

「紫陽花のうた」はフルートとトランペット、マンドリン、そしてアジサイの映像が重なり、情緒を感じさせてくれる。哀愁を含んだロックナンバーの「ラストショー」では、浜田はタンバリンを手にステージを上手(かみて)、下手(しもて)へと動き客席を煽り、オーディエンスは手を左右に振り一体感が生まれる。父親たちへの応援歌「I am a Father」は、世代を超えて愛される一曲で、この日何度目かの大合唱が起きる。

そして町支のギターが一閃、「MONEY」だ。もちろん客席は大合唱である。欲望と金、成功への渇望をリアルに打ち出した80年代を代表する一曲が持つ“爆発力”は、時代を経てますます威力が増しているように感じる。そして、トリプルギターとサックスが「J.BOY」のイントロを奏でると、大歓声とともに拳を揚げ大合唱する客席。

「MONEY」からの「J.BOY」という流れは、圧倒的なカタルシスを連れてくる。リアルな言葉を突きつけられ、それを一緒に叫び、汗をかき、心がどこか浄化されるような感覚になる。演奏し終えたあとの客席からのものすごい歓声の大きさが、それを物語っていた。

■浜田省吾の人生最高のディナーは、家族と囲んだ無言の食卓で食べた母親の料理

歴代のマネージャーが50周年のお祝いに食事を誘ってくれたという話の流れで、「人生最高のディナーってなんだろう? って考えた」という、誰もが気になる話題へ。
浜田は10代のとき家出をし、でも途中で体調を崩し家に戻り、何も言わず迎え入れてくれた家族と囲んだ、無言の食卓で食べた母親の料理、と教えてくれた。客席の一人ひとりの頭と心の中に映像が浮かんでいたはずだ。そして「生まれたところを遠く離れて」の一節を弾き語りで披露し、それがサントラになった。

本編ラストは「とらわれの貧しい心で」。まるで「MONEY」「J.BOY」で爆発した感情を包み込んで着地させてくれるような、深く慈悲に満ちた楽曲と歌が、東京の夕暮れから夜景、朝の訪れを映し出す映像とともに、客席に溶けていく。

浜田がギターを片手で掲げステージを去っていった。

■アンコールでは、静かで深い余韻を残しながら一人ひとりと再会の約束をする

鳴りやまないアンコールの声と拍手に迎えられ、浜田とバンドメンバーが再びステージに登場し、「初恋」からスタート。《オレの初恋はRock’n’ Roll/そして今も夢中で追いかけてる》という歌詞が、浜田の現在と過去を結びつける。
誰もが心の奥に秘め持つ、“原風景”を見つめることができるこの曲を演奏するバンドサウンドは、ヴィンテージ感を感じさせてくれながらもどこまでも瑞々しい。そして、そのバンドと全国を巡る旅路を描いた、まさに“ON THE ROAD”ツアーのドキュメンタリー的な「演奏旅行」は、《このショーも もうすぐフィナーレ》という歌詞のとおり、客席はライブの終わりを“覚悟”すると同時に“次の街へ行くよ”というメッセージを受け取る。

ここではライブのステージ設営をしているスタッフにスポットを当てた映像が映し出された。浜田からのすべてのスタッフへの感謝の気持ちが溢れていて、温かな気持ちになるとともに、このステージにはこんなにも多くの人の想いが込められているんだと、グッとくる瞬間だった。
「コンサートスタッフに大きな拍手を」という浜田が言うと、まさに割れんばかりの拍手が客席から全スタッフに贈られた。

ダブルアンコールは「こんなにたくさんの人に集まっていただいて嬉しいです」と、ラストナンバーの「君が人生の時…」を披露。ミラーボールが回り、光を隅々にまで届ける。

静かで深い余韻を残しながら、一人ひとりと再会の約束をする。誰もが「また会いたい」と思うエンディングだ。浜田は感慨深げにホールの隅々まで見渡し、見上げながらステージから去っていった。

■誰もが抱く願いを代弁し、可視化し、一人ひとりの心に光を当ててくれる

歌も音も大人の色気と存在感を感じさせてくれ、なにより年齢を重ねてますます説得力が増し、“誠実”さがまっすぐに伝わってくるその歌声は、キャリアが醸成させた唯一無二のものだ。

そしてオーディエンスとの距離感の近さ、そこから生まれる一体感は心が震える。親子、夫婦、恋人同士、仲間の絆の大切さを伝える歌とMC。そして今回のライブ映像は、より鮮やかなものになっていた。反戦、平和への強いメッセージを歌と映像でより“直接的”に、リアルに伝えていた。それは誰もが抱く願いを代弁し、可視化し、一人ひとりの心に光を当ててくれる。

セットリスト、MC、演出、構成…すべてが有機的に重なりひとつになった極上のロックンロールショウは、冒頭の田家秀樹氏の言葉とおり、「完璧っ!」だった。

熱気はますます増していく…この夢のような時間が永遠に続けばと思う。

TEXT BY 田中久勝
PHOTO BY 内藤順司

■セットリスト

『SHOGO HAMADA ON THE ROAD 2025-2026 Under The BLUE SKY』
2026.7.16@東京・NHKホール

01.MAINSTREET
02.この夜に乾杯!
03.今夜こそ
04.終りなき疾走
05.誰かどこかで
06.愛という名のもとに
07.君の名を呼ぶ
08.もうひとつの土曜日
09.モノクロームの虹
10.愛の世代の前に
11.ON THE ROAD
12.光の糸
13.君と歩いた道
14.紫陽花のうた
15.ラストショー
16.I am a Father
17.MONEY
18.J.BOY
19.とらわれの貧しい心で

[ENCORE]
01.初恋
02.演奏旅行

[DOUBLE ENCORE]
01.君が人生の時…

■リリース情報

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