黒部奥山 秘境の山小屋「阿曽原温泉小屋」 営業再開への歩み
きょうは山の日、富山県内各地の山は夏山シーズンで賑わっていますが、秘境・黒部も今年、大きな節目を迎えています。取材は数家さんです。
能登半島地震の被害を乗り越えて、10月には黒部峡谷鉄道が全線復旧し新たな観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」が一般開放されます。黒部奥山の山小屋では3年ぶりの本格営業再開に向けて準備が進んでいます。その様子を取材しました。
阿曽原温泉小屋は、10月末の営業終了とともに解体し、春になると建て直すという全国的にも珍しい運営を続けています。
昭和15年1月に発生した雪崩で、電源開発工事の作業員が亡くなった事故の教訓からです。
小屋を建てる作業は、全て人の力で行われます。
阿曽原温泉小屋 代表運営 佐々木泉さん
「どっちからか、はい、よいよいよいよい、いや回せ回せ、回せ回せ、はい」
阿曽原温泉小屋を運営する佐々木泉さんです。
建てるのは、およそ30畳のプレハブ小屋合わせて3棟。2棟が宿泊者用、残る1棟が厨房と食堂です。
この山小屋も黒部の大自然の猛威に翻弄されてきました。
阿曽原温泉小屋 代表運営 佐々木泉さん
「あそこの奥鐘山っていうでっかい岩壁なんやけど、緑みどりしとった一角がガサーっと崩れとってさ。やっぱ地震で揺すられてゆるんだがかなって」
おととしの元日に発生した能登半島地震で、黒部峡谷では岩山が崩れ、落ちた岩が黒部峡谷鉄道の鐘釣橋を壊しました。このためトロッコ電車は全線開通を見送っています。
地震から2年半余り。
修復工事にめどがたち、今年10月にはトロッコ電車が全線復旧、そして欅平と黒部ダムを結ぶ新たな観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」が一般開放されます。
秘境に建つ山小屋も、この秋の本格営業再開に向け動き出しています。
阿曽原温泉小屋 代表運営 佐々木泉さん
「こんなオンボロ小屋で、たいした食事も出してあげられないんだけども、朝、出発されるときに玄関で見送っとると、ほとんどの人、『ありがとう』って言ってくれる。こんだけ『ありがとう』って言われる仕事って他あるかなって」
阿曽原温泉小屋の魅力は、キャニオンルートにある高熱隧道から湧き出る湯を利用した温泉です。小屋からおよそ70メートル降りた地点にあります。
「これからお湯を張るんですか?」
「そういうことやね」
ただ、小屋にたどり着くには険しい登山道を通らなければならず、「日本一危険な温泉」とも呼ばれています。
3年ぶりの本格営業に向けて気合も十分。秋には営業再開の予定です。
阿曽原温泉小屋 代表運営 佐々木泉さん
「黒部もすごいけれども、すごい大渓谷やけども、そこに道を作って維持管理しとる人間の凄さ、それを感じていってもらえたらいいんじゃないかな」
KNBは阿曽原温泉小屋の営業再開に向けた準備と、山小屋のメンバーによる登山道整備を密着取材しました。
その様子は、今月15日(土曜日)放送の番組で詳しくお伝えします。午後4時30分からの放送です。

