【村井 美則】相続してから手を打つのでは「負動産」一直線へ…お盆は親と「実家空き家」対策会議を開こう

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空き家問題は誰しも他人事でなく、今後自分の身に起こり得る切実な問題となります。なぜなら以下のような大きなリスクが潜んでいるからです。

管理不全空家の認定で土地の固定資産税が最大6倍になる

親の認知症で実家の売却が進まなくなる

空き家の3,000万円特別控除の期限や条件を満たせない

買い手・借り手がつきにくい

思い出の品や大量の家財が片付かず前に進めない

兄弟姉妹で意見がまとまらず長期化する

維持費だけが毎月膨らみ続ける

解体費用が高額になる

このうち「認知症」「3,000万円控除の期限や条件」「兄弟姉妹の意思相違」は、実は実家をどうするかを決める以前の問題です。判断や話し合いが遅れるほど、選べる選択肢そのものが狭まってしまいます。

ここではまず、実家をどうするかに直結する固定資産税と解体費用の実態から見ていきましょう。

【前編を読む】固定資産税6倍、親の認知症、特別控除の期限、意見対立で膠着…実家の空き家が「負動産」になる落とし穴

解体費用が高額になる理由

管理不全空家の認定はすぐにされるわけではありません。市町村の担当者が調査を行い、屋根や外壁などの補修、周りの清掃、立木の手入れなどを確認し、必要に応じ所有者の許可を得て敷地内・屋内にも調査が及びます。そして、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば周辺に悪影響をもたらす可能性がある場合は指導となり、改善されなければ勧告を受け、固定資産税の軽減措置が受けられなくなります。

また、更地にすべく建物の解体を依頼するも、見積もりだけでも驚く金額になる場合もあります。

狭小地や細い道路の廃棄物の搬送難、屋内の家財の処分、アスベストなどの危険物質の除去など、付加費用がかかるケースがあるからです。昨今の人手不足で人件費も上がっていますから、「繁忙期を避ける」「天候が安定しているシーズンを選ぶ」「自治体の補助金を確認する」など少しでも費用を抑える工夫も検討してみてください。

では、実家が空き家になりそうなご家庭に知っていただきたい、4つの対処策についてお伝えします。

選択肢はシンプルに4つ

1つ目は「売却」です。

実家を手放すことで、固定資産税や保険料、管理の手間から解放され、まとまった資金も手に入ります。相続した家を売る際は、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、税負担を抑えながら売却できる可能性があります。売主が取り壊しや耐震改修をおこなってから売却するのが基本ですが、運よく古い家のまま買主が見つかった場合でも、買主が期限内に取り壊しや耐震改修をおこなえば特例が使えます。

ただし、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければならず、期限内に買い手がつかないと控除は使えません。また、ほかにも控除を受けるための条件があるため「売ったのに控除が使えなかった……」とならないよう、実家が該当しうるか、あらかじめ確認が必要です。

2つ目は「空き家バンクへの登録」です。

地域に空き家が多い、交通の便が悪い等で通常の市場では買い手・借り手がつきにくい物件の場合は、自治体が運営するマッチング制度「空家バンク」に登録する方法があります。

移住希望者や地域おこしに関心のある方々に届く可能性があり、国土交通省も自治体の情報を横断検索できるポータルサイトを整備しています。

登録された空き家の改修費用に補助金を出す自治体もありますので、ぜひチェックしてみてください。

ただし、登録したからといってすぐに買い手・借り手が見つかるとは限らないため、後述する「空き家管理サービス」と並行して活用するのが現実的です。

3つ目は「空き家管理サービス」の活用です。

「当面は売らないが、自分では管理しきれない」という場合に有効です。月額3,000円から1万5,000円程度で、外観の確認や通水、庭の手入れなどを業者に委託できます。

ただし、あくまで現状維持のための費用であり、固定資産税や保険料・修繕費は別途かかり続けます。長期的な活用予定がないなら、売却やバンク活用を早めに検討したほうが経済的には合理的でしょう。

4つ目は「賃貸活用」です。

「思い出のある実家をすぐには手放せない」という方にはこちらが向いています。入居者が家を使い、管理してくれることで、管理不全空家に認定されるリスクは大きく下がります。家賃収入があれば、固定資産税や修繕費の一部も賄えます。また、リフォームを施し民泊を経営する方法もあります。

ただし、リフォーム費用や管理の手間がかかったわりに、借り手が見つからないという課題に直面する可能性もあるため、需要の見極めが欠かせません。

さらに、賃借人や民泊の宿泊者が問題を起こしたりすれば、空き家以上に近隣に問題視される場合もありますから、周辺地域の方々の理解を得るなど慎重な対応が必要です。

まずは親が答えやすい質問から

いずれの選択肢も、判断が早いほど自由度は高くなります。先延ばしにするほど、選べる道は狭くなり、金銭的な負担だけが膨らんでいきます。Nさんのケースのように、家族の意見がまとまらないまま時間が過ぎれば、そのあいだも維持費は確実に積み上がり続けます。

実家をどうするかという話題は、親を目の前にすると、なかなか切り出しにくいものです。「縁起でもない」と思われるのではないかと、遠慮してしまう方も多いでしょう。まずは「サポートしてほしい?」など、答えやすい質問を親に投げかけてみてください。

親が元気なうちに家族全員で話し合っておくことこそが、税金の話以上に、家族全員にとって一番の安心材料になります。

お金の話は、突き詰めれば家族の気持ちの話でもあります。実家という場所への思いを、税金や登記の手続きだけで終わらせないためにも、小さな一歩を踏み出してみてください。

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