難しすぎるご当地検定、「合格者なし」の年もありSNSで話題…合格すれば謎のクラブに入会可能
宮城には超難関といわれる試験があるのをご存じだろうか。
ご当地検定の「宮城マスター検定」で、県関係のマニアックな問題が出題される。過去には合格者が0人の年もあり、SNSで話題に。合格すると謎のクラブに入会できるという。11月実施の検定の申し込み中だと聞き、その魅力について調べてみた。(江坂直希)
「合格者は出ませんでした」。2024年度の結果が今も県のホームページ(HP)に残る。この結果は大きな反響を呼び、関連したX(旧ツイッター)のポストは「いいね」が5・4万件(9日時点)ついた。それでも25年度も269人が受験し、合格者が出たがわずか5人で、合格率は1・9%だった。
検定は選択式と記述式で計50問が出題され、40問以上の正解で合格だ。HPに過去問が掲載されているので、記者も昨年分を解いてみた。時事問題や地域の話題に触れる仕事柄、ある程度は解けると思って臨んだが、本当に難しい。
「大阪・関西万博で披露された気仙沼市浪板地区に伝わる伝統芸能は――」「主力品種は『土垂(どだれ)』と言い、10月に収穫まつりが開かれるこの作物は――」。その地域に住んでいなければ分からないような問いが目立つ。正答は12問(12点)で、受験者平均点(22・6点)に遠く及ばなかった。
県富県宮城推進室に取材すると、問題は、いずれも県職員らの手作りだという。毎年5月から、県観光戦略課や食産業振興課など10を超える部署が候補となる問題を作成。商工会議所や観光連盟などで構成される同検定推進会議で難易度を調整しつつ、最終的に同室が厳選するという。10月には完成させる。
検定は07年度に始まった。以前は1〜3級があったが、東日本大震災での休止を経て14年度に復活した際、1級のみになった。その分、難しさが際立つようになってしまったという。
通算で1級に合格した人は58人。特典は、県美術館などの公共施設の割引が適用される「合格者カード」。さらに、知事や「脳トレ」で知られる東北大加齢医学研究所の川島隆太教授と懇談する機会が得られる。
さらに、合格者で構成されるクラブ「いっきゅう会」なるものに招待される。メンバーは、県職員とともに問題を制作するほか、県のトリビアをまとめるブログを執筆している。知識を生かして県の魅力度アップに貢献できるのだという。
同室に勉強方法を尋ねると、出題は、県などが発行する観光ガイドなど参考資料からの出題が多いという。参考資料は県庁の総合案内などでもらえるほか、検定のHPから閲覧できる。
現在、検定の申し込みが始まっている。試験は11月に県庁で行われ、誰でも受験できる。受験料は無料で、インターネットのほか、郵送やメールでも応募が可能だ。県の担当者は「検定の勉強を通じて、県内各地の歴史や文化に触れ、知識を深めてほしい」と呼びかけている。記者も合格するまで異動せず、宮城にとどまるつもりだ。
合格者「地域の隠れた魅力伝えたい」
2025年度合格した仙台市宮城野区の会社員、礒崎稔さん(48)に話を聞いた。
小学生の頃、NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」をきっかけに歴史好きになったという礒崎さん。県政だよりを見て検定を知り、腕試しのつもりで受験を決めた。県からパンフレットを受け取り、気の向くままにマーカーを引いて勉強したが、24年度検定では不合格だった。
「こんなに難しい検定があるのか。生半可ではだめだ」と痛感。地元紙や地域情報誌で気になったことがあればメモ帳にスクラップし、行政のHPなどを活用して徹底的に調べた。県内の歴史上の人物の活躍をまとめた資料集も熟読した。
努力が実を結び、25年度検定で無事合格。「地域の隠れた魅力を伝えたい」との思いも生まれ、礒崎さんは合格者で構成される「いっきゅう会」のメンバーとして、県のトリビアを紹介するブログ記事の執筆を行っている。
合格後、気になった遺跡などに足を運ぶようになったという礒崎さん。「宮城のことを知るほどに、県のことを応援したくなった」と笑顔で話した。

