新星16歳は「当時から1人だけ違った」 中学先輩も衝撃…受けた刺激「俺も頑張らないと」
前橋育英の結城快成「彼からかなり刺激を受けました。俺も頑張らないといけない」
いよいよ開幕したJ1リーグ。
秋春制を敷いた最初のシーズンとなるこのリーグの開幕戦で、16歳の新星が度肝を抜く活躍を見せた。
横浜F・マリノスのMF三井寺眞は鹿島アントラーズとの開幕戦で、いきなりJデビューをスタメンで飾ると、開始早々の前半7分に先制点をマーク。このゴールは記念すべきシーズン移行後のリーグ第1号となり、16歳4か月5日という森本貴幸に次ぐ歴代2位のJ1年少ゴール記録を叩き出した。その後もスピードに乗ったドリブルで鹿島を翻弄し、横浜FMの3ゴールすべてに絡む活躍を見せた。
この衝撃的な試合を遠く石川県で、画面を通じて見ていた選手がいた。和倉ユースサッカー大会に出場している前橋育英の左サイドバック・結城快成は、中学時代(FCフォーリクラッセ仙台U-15)の後輩が見せた圧巻のプレーに驚きを隠せなかったという。
「まず高校1年生でJ1開幕スタメンが凄まじいことですし、そこでゴールを決めちゃうなんて、ちょっとすごすぎますよね。2点目につながった、後ろから来たロングボールを左足ヒールで浮かせて相手をかわすプレーなんかはもう凄まじかった。当時から1人だけレベルが違ったけど、『プロの世界でこれだけできるんだ』と衝撃でした」
結城が中学3年生のとき、1年生として三井寺がクラブにやってきた。当時からずば抜けたスピードと高度なテクニックを持っており、「とんでもない選手が入ってきたな」と感じたという。
「スピードのなかにテクニックがあって、簡単に相手を抜いちゃうんです。キックフェイントがものすごくうまくて、なかなかボールを奪えなかった。中学最後の大会(高円宮杯JFA U-15サッカー選手権東北大会)で一緒にプレーしたのですが、中1とは思えないほど堂々とプレーしていましたから」
東北大会では準決勝でJFAアカデミー福島U-15に0-1で敗れ、全国大会には出られなかった。結城は水戸ホーリーホックユースへの加入を希望していたが、セレクションで落選。次に尚志高への入学を目指したが、ここでもセレクションで不合格となった。大きな挫折を味わったが、180センチのサイズと左利きのボランチというポテンシャルを高く評価した前橋育英だけが、熱心に誘ってくれた。
「最初は考えていなかったのですが、本当に熱心に声をかけていただきました。中学2年生のときに選手権を見て、ボランチの徳永涼(筑波大)選手に憧れていたので、ここで力を磨こうと思って決めました」
その熱意に心を動かされて前橋育英に入ったが、チームで一番うまく、影響力のある選手が務める花形ポジションの競争は激しかった。高校2年生の春、コーチから左サイドへの転向を告げられた
「正直、ボランチでなかなか芽が出なくて、追い出される形でした。でも、コーチからは『スピードがあるし、面白いんじゃないか』と言われてやってみたら、自分でも驚くくらいに手応えがあったんです」
当時、プリンスリーグ関東2部を戦っていた前橋育英Bは3-4-3を採用しており、結城は左ウイングバックとしてレギュラーに定着。182センチまで伸びたサイズを生かしたストライドの大きなスプリントと左足のキックを武器に、大きな躍動を見せた。
最高学年となった今年は、プレミアリーグEASTを戦うトップチームで4-4-2の左サイドバックを務め、第2節のベガルタ仙台ユース戦で途中出場し、プレミアデビューを飾った。第6節の青森山田戦で初スタメンをつかむと、そこからレギュラー争いに食い込んだ。インターハイにも出場し、和倉ユースではプレミアEAST後期、そして選手権に向けてその地位を不動のものにするべく、左サイドでアップダウンを繰り返している。
衝撃の開幕戦翌日にはプレミアWESTの大津高と対戦。「彼(三井寺)からかなり刺激を受けました。俺も頑張らないといけないと思った」と昂った気持ちをプレーで表現し、相手に強力な攻撃陣を無失点に抑えた。攻撃でもタイミングの良いオーバーラップとインナーラップでアクセントを加え、2-0の勝利に貢献した。
卒業後は関東の強豪大学への進学が決まっている。大学を経由してプロの世界へ。後輩が駆け足で階段を登っていくなか、結城はその姿から刺激を受けながら、自分のペースで一歩ずつ、着実に階段を登っていく。(安藤隆人 / Takahito Ando)

