「見えないドローン」をアメリカ・ノースウェスタン大学の研究グループが開発しました。「ファントム・ツイスト(Phantom Twist)」と名付けられたこのドローンは、高速回転する扇風機の羽根やプロペラの形状が見えにくくなる「モーションブラー」を利用して姿を隠します。

New spinning drone hides in plain sight - Northwestern Now

https://news.northwestern.edu/stories/2026/07/new-spinning-drone-hides-in-plain-sight

「目に見えないドローンやロボット」の実現を目指して、これまでに迷彩柄や透明な素材、光を曲げる光学システムなどさまざまなものを用いた研究が行われてきましたが、ノースウェスタン大学の研究グループは、高速回転するファンが見えなくなる「モーションブラー」を利用して姿を消すドローンを開発しました。グループはこのドローンを「ファントム・ツイスト」と名付けています。

実際にファントム・ツイストがどのように姿を隠すのかは以下のデモンストレーション映像を見るとよくわかります。

New drone nearly disappears in flight - YouTube

発射台にセットされたファントム・ツイスト



回転開始



モーションブラーにより姿が見えにくくなり、フォーカス対象から外れてしまってカメラのピントが後ろの壁に合っている間に離陸。回転しながら下方に飛び出すので、ベイブレードがシュートされているような感じです。



回転しながら飛行中



引いた映像になるとファントム・ツイストがどこにいるのかちょっとわかりにくいのは確かです



ファントム・ツイストはオーストラリアのシドニーで開催された「Robotics: Science and Systems 2026」の講演内で披露されました。

Computational Design of a Low-Visibility UAV Using a Human-Aligned Perceptual Metric · Robotics: Science and Systems

https://roboticsconference.org/program/papers/196/

研究を主導したマイケル・ルーベンスタイン氏は「ドローンカモフラージュしようとする試みの多くは、周囲の環境に溶け込ませることに重点を置いています。それに対して我々は『人間が動きをどのように知覚するか』という観点からドローンを設計できないか考えました。連続運動によって視認性を下げるというアイデアは、これまでほとんど研究されてこなかったものです」と語っています。

ファントム・ツイストの特徴は、多くのドローンが4つの独立したローターを備えたクアッドコプターなのに対して、1つのモーターと1つのプロペラで構成されている点です。プロペラが1方向に回転する一方で、残りの部分は反対方向に回転します。ルーベンスタイン氏によると、クアッドコプター型ドローンは「本体は静止していてプロペラが回転する」構造なので本体が見えるのですが、ファントム・ツイストは全体が回転していて静止している部分がないため見えなくなるとのこと。



ファントム・ツイストは視認性が従来のドローンに比べて10分の1ほどにまで下がっていますが、プロペラからの音が発生するほか、配線や構造材がまだまだ目立つとのことで、グループではさらに透明性の高い素材や静音性の高い推進システムを採用した改良型を開発し、視認性を低減させる予定です。

営巣中の鳥の監視や湿地調査、老朽化したインフラの点検など、ドローンが人や動物に気付かれることで行動に影響を与えて観測結果が変わることがあるため、ファントム・ツイストのように周囲に溶け込みつつ任務を果たせるドローンの登場が期待されています。