【木田 トウセイ】『VIVANT』は「見どころがない」とバッサリ…高視聴率も、業界人のホンネは
続編の初回は18%超えをマークしたものの
“勧善懲悪”という明確で王道のテーマを定め、重厚なテイストの脚本や美しい映像で、多くの視聴者を魅了してきたTBSの『日曜劇場』枠。
その中でも、特に異端な存在感で社会現象を起こしたドラマがある――。
2023年に放送された、堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)だ。
堺以外にも阿部寛、二階堂ふみ、役所広司、松坂桃李、二宮和也、濱田岳といった大物キャストがズラリと集結した同作は、堺演じる商社マン・乃木が誤送金された巨額資金を追って海外へ向かうところから始まり、最終的には警視庁公安部の諜報戦に発展する、過去に類を見ない壮大なアドベンチャードラマだった。
複雑に張り巡らされた伏線や謎が話を追うごとに注目され、最終回では19.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯視聴率)というハイレベルな視聴率をマークし、見逃し配信でも反響を呼んだ。
そんな『VIVANT』の続編がこの夏、2クール連続放送で帰ってきた。
TBSも社運を賭けて莫大な製作費を費やし、1話(表記上では11話)は驚異的な18.8%という高視聴率を記録。
また、2日にオンエアされた第2話(12話)も16.4%と数字的にはやや落ち込んだものの、Xのトレンドワードで2週連続世界1位を獲得するなど、その存在感を見せつけている。
ここまでの情報だけを見ると、今後も盛り上がっていくことは確実だと思えるが、業界関係者たちの間では「失敗する可能性も十分ある」「盛り上がりがどこまで続くのか」といった心配の声が漏れ聞こえてきている。
その理由とは一体何なのか? 赤裸々な意見を集めた。
情報量の多さと速いテンポにライト層が困惑
「初回を見て、このままだと視聴率は下降するだろうなと思いました」
そう語るのは、民放キー局で連続ドラマのプロデュースを手掛けてきた社員・A氏だ。
「前作が面白かったのは見せ場となる衝撃シーンのタイミングとスピーディな展開が絶妙なバランスを保っており、見ていて心地がよかったから。視聴者も前向きな気持ちで『置いていかれたくない』と毎週見続けていたり、見逃し配信をチェックしたりしていた。
ところが今回は2クール分の尺があるせいか、1話あたりの密度が明らかに薄い。今回の1話(11話)には、前作のような分かりやすい見せ場がほとんどなかった。ひたすら状況説明と新しいキャラクターの紹介に終始していて、退屈に感じる時間も多かった。
しかも、その割に展開だけはスピーディで、頭の中を整理しようとしているうちにシーンが変わることが多かった。
また、序盤にダイジェスト的な構成もなく、いきなり地続きで物語が始まった。さすがに、これはライトなファンや新規視聴者への配慮が欠けていたと思います。
大作ならではの強気なやり口だとは思いますが、SNSでは『ライト層を無視しすぎでは?』『分かる人だけ楽しめというスタンスに興ざめした』といった、視聴離脱した人々のコメントも目立ちました」
『AIハヤト』『チョッキー』…魅力に欠ける新しいキャラクターたち
さらにA氏は続ける。
「もう一つ気になったのが新しいキャラクターたちが魅力に欠ける点です。
まずは、11話で登場した『AIハヤト』という近未来的の対話型AIシステム。膨大な情報や推測を説明させるナレーションの代役を務めるための都合の良い装置にしか思えなかった。
もちろん、乃木とコミカルな掛け合いをする人間味のあるキャラクターにするなど、演出の工夫は感じ取れましたが、これまでSF映画などにあったロボットと同じような設定なので、あまり魅力を感じませんでした。それに、今後『AIハヤト』が乃木を裏切ったり、周囲に誤情報を流したりする“敵”になっても特に驚かない。ワクワクが削がれてしまいましたね。
また、12話で登場したクセの強いタイの実業家・チョッキーもインパクトこそあるものの、平凡なキャラクターに思えました。おネェ口調で愛嬌たっぷりに見えて、部下には厳しく怒鳴りつけるというギャップも『こういうキャラクターっているよな……』と萎えてしまった。
『VIVANT』に関してはすべてにおいてハードルが上がっているだけに、同作のマスコットキャラクター・ドラムのような斬新な登場人物を求めてしまっていたのですが……残念です」
新しい衝撃を与え続けてきた新世代ドラマの続編だけに、新キャラへの期待も高まっていたが、業界人が感心するようなキャラ作りができていない点も視聴離れの一因になりそうだ。
前作よりも謎の究明や考察要素が弱い
「つまらなくはないが、今のところ見どころを見つけられていない」
このような辛辣な意見を放ったのは、雑誌やウェブでドラマライターとして活動するB氏だ。
「前作は“別班”という組織が何なのかという最大級の見どころがあった。しかしながら、前作でその実態がある程度明かされてしまったため、続編となる同作は何にワクワクして見ていったらよいかという物語の推進力が弱い。
小日向文世さん演じる専務・長野が何者だったのかという疑問も12話で早々に判明してしまい、考察的要素が今回はトーンダウンしているように感じます。
これは続編もののドラマが抱えるジレンマではありますが、『VIVANT』の場合はそれが特に顕著。今後も、新庄がなぜベキの脱獄を手引きしていたのか、拉致された別班はどうしているのかなど、残されていた謎が明らかになっていくのでしょうが、大きな謎なのかというとそうでもない……。前作よりも考察ファンの熱量が低いのは明らかです」
2クールという長いシーズンにおいて、考察ファンを喜ばせるような“重大な謎”が再び出てくるのかどうかもカギを握りそうだ。
後編記事『「パワハラ騒動でスタッフは疲弊」「ウチの俳優の見せ場を増やして」…『VIVANT』の制作現場で起きていたこと』では、豪華キャストが揃う同作ならではのキャスト事情や、演出家のパワハラ騒動で疲弊する制作陣の裏側を、引き続き業界関係者に語ってもらう。
【つづきを読む】「パワハラ騒動でスタッフは疲弊」「ウチの俳優の見せ場を増やして」…『VIVANT』の制作現場で起きていたこと

