【MotoGP】後半戦のスタートとなる第12戦イギリスGPがシルバーストーンで開幕 注目の小椋藍の2勝目に期待
小椋藍選手が世界最高峰のMotoGPクラスで日本勢22年ぶりの優勝。現在チェコ・オランダ・ドイツと3戦連続決勝レースで表彰台にあがっています。年間チャンピオン候補にも急浮上し注目される小椋選手の情報を中心にライターの遠藤智が紹介します。10月にはもてぎでの日本グランプリも開催される後半戦のスタートです。
オートバイレースの世界一決定戦「ロードレース世界選手権MotoGP2026年シーズン第12戦イギリスGP」が、7日、「シルバーストーン」で開幕します。シルバーストーンは、ロンドンからおよそ100km。クルマで1時間半前後の距離にあります。「シルバーストーン」は世界的に有名なサーキットのひとつで、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
1949年に始まったMotoGP世界選手権の歴史の中でも、イギリスGPは伝統ある大会です。古くは「マン島」で行われ、その後、シルバーストーン、ドニントンパークなどを経て、2010年から再びシルバーストーンがイギリスGPの舞台となりました。
シルバーストーンの特徴は、シーズンを通してもっとも長い一周5.9kmのロングコースで行われることです。中高速コーナーが連続するハイスピードサーキットで、MotoGPマシンの速さと迫力を存分に感じさせてくれます。昨年の大会では、ファビオ・クアルタラロ選手(ヤマハ)が、予選で1分57秒233、平均時速で181.1km/hを記録しました。
オートバイレースの最高峰「MotoGPクラス」は、排気量1000cc、4気筒のエンジンで競われています。現在、日本のホンダとヤマハ、イタリアのドゥカティとアプリリア、オーストリアのKTMの5メーカーが参戦しており、各メーカーのファクトリー(直接運営する)チームが「5」、それぞれのメーカーのサテライトチームがあり(現在ドゥカティだけサテライトチームが「2」)合計11チーム、22人で競われています。
その中で注目は、なんといっても、シーズン前半の11戦を終えて総合2位につける日本の小椋藍選手です。2024年には、MotoGPクラスより排気量が小さいMoto2クラス(765cc)で日本勢としては7人目の世界チャンピオンに輝き、2025年にアプリリアのサテライトチーム「SuperFile Trackhouse MotoGP Team」から参戦を開始しました。今年は2年目のシーズンを迎えています。
MotoGPクラスは、土曜日にスプリント(通常の周回数の半分で競われるスプリントレース)と日曜日に決勝レース(110km〜115km前後の距離)が行われ、イギリスGPはスプリント10周、決勝レース20周で行われます。
小椋選手は、シーズン前半戦の第5戦フランスGPで3位になり初表彰台を獲得。第9戦チェコGPでは、初ポールポジションを獲得し、スプリント2位、決勝2位、第10戦オランダGPでは、スプリント2位、決勝では初優勝を達成、シーズン前半を締めくくる第11戦ドイツGPでもスプリント4位、決勝2位と破竹の快進撃で総合2位に浮上しました。総合首位のホルヘ・マルティン選手はアプリリアのファクトリーライダーで、その差14点。過去、最高峰クラスで世界チャンピオンになった日本人選手はおらず、日本人として初の最高峰クラスの世界チャンピオンの期待が寄せられています。
開幕前日の6日には、ロンドン市内で5人の選手が出席してプレスカンファレンスが行われました。会見に出席した小椋選手は、シーズン後半戦のスタートとなる大会に向けて、こう語っています。
「シーズン前半戦は僕たちにとって本当に良いものでした。後半戦も同じような結果を目指すことが目標になります。昨年はベズ(会見に出席したアプリリアファクトリーチームのマルコ・ベッツェッキ選手)が勝っているので、今年もコースとの相性が良く、アプリリアのマシンが競争力を発揮できることを願っています」と語り、「決勝レースの目標は?」という質問には「トップ6」と、いまもっとも勢いのある小椋選手としては控えめな数字を掲げていました。
昨年は5月下旬の開催でした。小椋選手は、初日のフリー走行で転倒し、右膝を負傷して大会を欠場しました。低い気温、低い路面温度に足をすくわれての転倒でしたが、今年は8月上旬の開催となり、気温が低い大会を苦手とする小椋選手にとっては追い風となっています。
今週は、ウイークを通じて晴れ、最高気温も25℃前後の予報で、決勝日も28℃の最高気温が予想されており、タイヤのパフォーマンスをキープするのが誰よりも上手な小椋選手だけに、気温と路面温度が上がり、タイヤに厳しいレースになればなるほど小椋選手には有利な戦いとなります。
小椋選手は「(イギリスGPは)いつも寒いコンディションで苦戦するので、今年もチャレンジングな週末になると思います」とコメントしていましたが、天候に恵まれそうな今大会の小椋選手には、スプリントで3回目のトップ3フィニッシュ。決勝レースでは、今季2勝目と4戦連続5回目の表彰台が期待されます。

前半戦最後のドイツGPを終えて3週間の夏休みの間、帰国した小椋選手は、2週間近くをバイクトレーニングに費やしました。ロードバイクでサーキットを走り、モトクロスとダートトラックでの走り込み。子供のころからバイクトレーニングを欠かさず、才能を開花させてきましたが、それは今も変わりません。今年は、最高峰クラスでは、日本人選手としては史上最年少PP記録(2002年の加藤大治郎さんの記録を更新)、22年ぶりの最高峰クラス優勝(04年の玉田誠さん以来)など、常に大きな話題を提供してきました。
シルバーストーンは、これまで不安定な天候になることが多く、加えて、ハイスピードコースのためスリップストリーム(前車の後ろに入って空気抵抗を減らす)の使い合いとなり、過去11大会で優勝者が異なるという、勝つのが難しい大会。今年も厳しい戦いが予想されます。
イギリスに到着した小椋選手は、開口一番「今週は天気が良さそうです」とほっとした表情を浮かべました。現在の小椋選手にとって最大の敵でもある天候をまずはクリアした格好ですが、初日の走りに注目です。
