既存政党による政治の停滞感や、選挙公約が守られない現状に対する不満があるとして、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏と元明石市長で参議院議員の泉房穂氏による新たな政治団体「ひろゆき&いずみ新党(仮)」の設立が明らかとなった。従来の政党手法とは異なるこの取り組みの真意や狙い、地方行政の変革の可能性について、『ABEMA Prime』でひろゆき氏本人が語り、それをめぐって、出演者からさまざまな意見や質問が出た。

【映像】ひろゆき氏が語る新党の構想

■「国政では社会は変わらない」首長狙いと出馬拒否の真意

 ひろゆき氏は、「まだいろいろ決めなければいけないことがあるので、あまり話せることがないし、決まってもいない」と前置きをしたうえで、新党設立の理由について「選挙で『こんなことします』という人たちに投票しても結果は変わらない。国会の場合は投票した人が決めるわけではなく、偉い人たちが『これに投票しろ』と決めて賛成するだけだ。結局、誰に投票しても社会は変わらない」と既存の国政政党の構造に苦言を呈した。

 一方で、「地方自治体の首長に関しては決める権限がある。しかし現状、知事や市長になって公約を掲げても、結局できていなくても何の問題もない社会だ」と指摘。そのうえで、「公約を決めて守らなかったら罰則がある構造にしないと、公約を守る社会にならない」と語り、決定権を持つ首長(市長・区長・知事)選挙に特化して候補者を擁立する戦略を明かした。

 ひろゆき氏自身が出馬する可能性については、「自分が出馬する必要はないと思っている。地域に詳しい人、私よりまともな人で公約を守れる人がやった方がいい。私や泉さんが表に出て戦った時点でもう負け戦だ」と否定。「政党交付金をもらう気はないし、議員からお金を取る気もない。地域で公約をやる人を支援する団体を作るのであり、私が出る必要はない」と、あくまで支援団体としての立ち位置を強調した。また、今回の新党設立について、パートナーのゆかさんに事前に相談していなかったことで反発を受けたことについては、「法人を作るのと同じ感覚だった。まだ何も決まっていないから説明することは特にないという認識だった」と釈明した。

 新党が掲げる最大の特長は、公約違反に対する独自の罰則規定だ。ひろゆき氏は、法的な確認を進めている前提で、「この区や市から出たいという人に、『公約を破ったらお金を取る』という公正証書を作り、我々が応援する。何年以内に必ずやってください、やらなかったらお金を取りますという仕組みだ。取ったお金はその自治体に配る」と説明した。

 具体的には、「公約を守らなかったら1000万円取りますという公正証書を作る。市長などは給料をもらえるが、その給料を差し押さえに行く。できなかったら無給になる」と明言。「受かった人は死に物狂いでやると思う。今は当たり前にもらっている給料を成果報酬にして、できなかったら党として回収し市民に返す形にしたい」と語った。

 新党の具体的な狙いとしては、「少子化」を大きなテーマに据えるという。「子どもが増えないと日本経済は悪くなる。人口をどうやって増やすか。明石市は子育て政策がうまくいっている」とし、その他にも「学校の先生に残業代を出した方がいい」「外国人の固定資産税を上げる」「町の広場になっている神社やお寺の修繕費に町の予算を出すべきではないか」など、独自のアプローチを挙げた。「大まかな部分は我々が決め、地域ごとで候補者が決めるプラスアルファの公約もある」と柔軟な姿勢も示した。

■これまでの新党との共通点・相違点は?

 番組には、他の新党関係者もゲストとして出演し、それぞれの立場から評価を行った。前彦根市長で、「再生の道」代表代行の和田裕行氏は、「少子化などに取り組む中で、地方からしか変えられない部分がある。いきなり首長を取りに行くアイデアは非常に面白いし、有効な取り組みだ」と賛同する。

 また、人材を政治に送るプラットフォーム型である「再生の道」との違いについては、「我々は特定の政策を打ち出していないが、ひろゆき氏のところは公約を絶対守ることを義務付ける、いわばフランチャイズ型だ」と指摘した。

 これに対しひろゆき氏は、「公約が守れないなら連絡してこなくて結構だ。嘘をつかない人たちの団体もないといけない」と主張し、落選議員の救済の場になることは否定し、「できれば候補者は、民間人ベースでやりたい」と語った。

 元NHK党で、「日本自由党」を立ち上げた前参議院議員の浜田聡氏は、「お二人がトップになれば候補者がすぐ集まるだろう」と評価。「日本自由党も同じ力があれば首長を狙いたいが、今はまだその段階ではない」と現状を明かした。

 候補者の選定基準について、文筆家・佐々木俊尚氏から問われると、ひろゆき氏は「公約を守るだけだ」としつつ、「審査委員会のようなものを民間人で作ろうと思う。知名度のある民間人に入ってもらい、その人が推せるかどうかで決めてもらう」との構想を明かした。

■来春の統一地方選に向けた展望と今後の課題

 新党は、来年の統一地方選で行われる東京都内11区の区長選をはじめ、政令市長選や道府県知事選への候補者擁立を見据えている。ひろゆき氏は、「地域で勝てそうな人が連絡してくれて、『この公約でやりたい』と言えばお願いすることになる。広く呼びかけて、泉氏のところに連絡してくれれば会いに行く手はずになっている」と今後の展開を説明した。

 近畿大学 情報学研究所 所長・夏野剛氏は、「今までの政治家に必要とされる能力は利害調整だったが、今回はアジェンダを設定し、それを実行できるかどうかを問うものだ。少子化など社会全体にとって重要な問題に焦点が当たるのは良いことだ」と期待を寄せた。

 ひろゆき氏は最後に「候補者の選択肢が増えることは市民にとって良いことだ。喜んでほしい」と自信を見せた。また、自らが直接政治に関わることの意義について、「文句を言っているだけよりも、ちゃんと関わろうとして、ダメだったら間違っていましたと謝る。やろうとしてみてダメだったと納得して死んだ方がいい」と心境を語った。
(『ABEMA Prime』より)