小さな箱からド迫力――KEFが放つワイヤレススピーカーの決定版 LS LUXE[道越一郎のカットエッジ]
インターネットに接続することで、単体でのストリーミング再生をサポート。最大24ビット/384kHzのロスレスフォーマットの音源の再生が可能だ。Tidal、Qobuz、Amazon Music、Deezerなどの音楽配信サービスに対応。また、Spotify ConnectやApple AirPlay、Google Castを介して再生もできる。もちろん、有線での接続にも対応。HDMI eARC、アナログAUX入力、光デジタル入力、同軸デジタル入力を備え、外付け機器を接続できる。贅沢なテレビ用のスピーカーとしても活用可能だ。Google Nestデバイスと連携させて、音声によってラジオの再生指示を出す、といった使い方もできる。
特徴的なキャビネットは、素材にBMC(=バルク・モールディング・コンパウンド)と呼ばれるガラス繊維で補強された高強度複合材料を採用した。強度が高く複雑な形状の成形が可能なのが特徴。独特の丸みを帯びた造形を支える。補強材なしでも剛性を維持できるため、コンパクトな筐体で最大限の低音性能を実現。スピーカーユニットからの振動がキャビネットに伝わらない「デカップリングシャーシ」も採用し、クリアな音を実現させた。同社サイトでの直販価格(以下同)は、本体がペアで71万5000円(税込、以下同)、専用のS-LUXEフロアスタンドがペアで14万3000円。7月30日に同社会員向けに先行発売し、一般向けには8月25日に発売する。かなり高額なスピーカーだが、アンプもプレーヤーも兼ねたシステム価格と考えれば、少し見え方も変わるだろう。実際試聴してみたところ、小さなボディーからは想像できない、広がりのある力強い音で驚いた。特に低音にはキレと迫力が感じられた。
発表会でジャック・オクリーブラウンCTOは、アクティブスピーカーの利点について「電子回路と音響を同時に制御することが可能な点だ」と語る。子どもの頃から音楽とスピーカーに強い興味を抱いていたオクリーブラウンCTO。音響工学を学びKEFのインターンシップを経て入社。現在は研究開発部門のトップとして、約15名からなるサウンド技術と音響設計を統括するチームを率いる。その彼からすれば、より自由に音づくりができるアクティブスピーカーはとても魅力的な存在なのだろう。一方で、「必要なすべての電子機器を一つのパッケージに詰め込まなければいけない」難しさも明かす。「発熱問題の制御やアンテナの配置、各種認証の取得など、一般的なスピーカーには存在しない、多くの技術的課題をクリアする必要がある」とも話した。
同社のワイヤレススピーカーには、ペアで12万9800円の「Coda W」などのシリーズもある。2つの箱だけで音楽再生が完結するのは魅力的だ。部屋を手軽にいい音で満たしたい時、こんな新機軸のスピーカーシステムも選択肢の一つに入るだろう。(BCN・道越一郎)

