佐藤輝明の一発は見事ではあったが…(C)日刊ゲンダイ

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【権藤博の「奔放主義」】

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 思わず、テレビのスイッチを切りかけた。

 今年のオールスター、あれでファンは満足したのだろうか。最後まで見た人はどれくらいいただろうか。心配になるくらい、つまらなかった。

 28日の初戦は28安打、5本塁打が乱れ飛んだ。初回に右翼スタンドに放り込んだ阪神・佐藤輝明の打球は凄まじかった。同じく阪神の大山悠輔が八回に放った左翼への一発も見事ではあった。

 感心しつつも、腹立たしかったのは、投手のピッチングだ。打たれた5本塁打はすべてストレート。4打数4安打2打点でMVPに選出された日本ハムの万波中正は、本塁打が出ればサイクルヒットという活躍だったが、打ったのは3打席目まですべて直球系の球だった。4打席目のみスライダー。相手の投手は阪神のドリスだった。ドリスは万波に対して、1球もストレートを投げなかった。これが本来のあるべき姿で、余計に日本人投手の“お遊びモード”が際立った。

 球宴は「お祭り」には違いない。だが、「お遊び」とは違う。目の色を変えて勝ちに行け、とは言わないが、選ばれた選手は自分の持ち味を最大限に発揮するのが使命だろう。ファンもそれぞれの選手の技と味を期待しているのではないか。

 にもかかわらず、ここ数年の球宴では、投手はほとんど真っすぐしか投げない。打たせるのが仕事の打撃投手じゃあるまいし、これでは打たれるのは当たり前だ。

 あなたは、シーズンでもそんなピッチングをしているんですか?

 なんとかの一つ覚えみたいに真っすぐ勝負をして、抑えられると思っているんですか?

 そう問いたくなる。29日の第2戦も両軍合わせて36安打、5本塁打の大乱打戦。お祭りとお遊びをはき違えたピッチングを延々と見せられて、ファンをバカにするな! 投手のプライドはどこへ行った! と頭に来てしまった。

 横浜で監督を務めていた1999年と2000年にオールスターの全セ監督、コーチをやったことがあるが、当時から華やかなお祭りムードはあったものの、試合が始まればまだまだ真剣味があった。その後、05年に交流戦が導入され、セ・パ対決が“日常”となったことも関係しているのかもしれない。だからといって、勝負は交流戦、オールスターは余興でいいわけがない。

 これは、オールスターの権威にも影響する。メジャーのオールスターには重みがある。選出された選手はたとえ試合に出場できなくても、その場にいられることを大きな名誉と受け止める。

 私はペナントレースの価値をおとしめ、日本シリーズの権威を傷つけるクライマックスシリーズに反対しているが、こんな試合が続くようなら、オールスターは1試合で十分、という気分になっている。

(権藤博/野球評論家)