新型『日産リーフ・ニスモ』開発者たちが語る深い話 EVでハイパフォーマンスをどう表現する?
駿足と乗り心地という、相反する要素をバランス
7月22日、日産自動車(以下日産)は『リーフ・ニスモ』の発表披露会を、7月25~26日に開催されたフォーミュラEの東京E-Prix記者会見と併せて行った。
【画像】ボディカラーはニスモ・ステルスグレー!フォーミュラEマシンと併せて公開された新型『日産リーフ・ニスモ』 全84枚
当日は、ニスモのチーフプロダクトスペシャリストの饗場貴博氏、カスタマイズデザイン部の森田充儀氏、カスタマイズプロジェクト統括部の成富健一郎氏によるトークセッションが行われた。ここでは彼らのコメントから、リーフ・ニスモを深掘りしたいと思う。

7月22日、『日産リーフ・ニスモ』発表会をフォーミュラE東京E-Prix記者会見と併せて開催。 平井大介
まずは饗場氏。リーフ・ニスモは、フォーミュラEマシンを彷彿とさせる駿足さと、高速でもスッと気持ち良いフラットな乗り心地を目指した。
しかしこの両者は相反する要素。これをうまくバランスさせて生まれたのが、リーフ・ニスモだ。商品コンセプトは『駿足のインテリジェント・スポーツクロスオーバー』とした。
その特徴はいくつか挙げられるが、饗場氏は以下の4つを強調した。
1:ニスモならではのキビキビした走り
2:リーフならではの余裕ある航続距離と、グーグル搭載などの先進装備
3:空力性能を突き詰めたニスモ・デザイン
4:グライダーのような爽快な走行感覚
リーフ・ニスモは、ニスモを含む先代リーフを所有しているコアなファンや、今スポーツカーに乗っていて普段乗り用に家族と使えるスポーティな1台を探している人などに乗ってもらいたいと、饗場氏は語っている。
エアロパーツの中間部分に入れられた『アルテリアマグマ』
続いて森田氏。商品コンセプトを受けたキーワードは『洗練された流れ:爽快な走りを直感させるダイナミックな流れるフォルム』と『知的で高精度:要求される性能を達成するための機能美』だという。
また、ニスモのロードカーは今までレッドアクセントが特徴のひとつだが、これまでのレーシングカー的なエアロパーツから少し考え方を変えて、電動ニスモらしいデザインとして『アルテリアマグマ』を採用した。

左からニスモの饗場貴博氏、カスタマイズデザイン部の森田充儀氏、カスタマイズプロジェクト統括部の成富健一郎氏。 平井大介
アルテリアとは『内側の、内面の』といった意味で、内に秘めたパワーが隙間から覗く、電動ニスモのパフォーマンスのシンボルとした。今まではエアロパーツの裾部分にレッドアクセントが入れられていたが、リーフ・ニスモでは中間部分に細く長く入れることで、低重心なビジュアルとしている。
前後バンパースポイラーも水平の立体構成スタンスとし、中央にはニスモ・エンブレムを配置。フォーミュラEマシンからインスパイアされたニスモ専用のリアフォグランプがテールエンドを引き締める。誰が見てもニスモのロードカーと分かる範囲で、新しいコンセプトの表現に挑戦した形だ。
Cd値を悪化させずにダウンフォースを強化
ニスモは性能向上のための形作りを進めているが、中でもCd値を悪化させずにダウンフォースを強化することを目指している。しかし、SUVやクロスオーバータイプのクルマは車体後方の面積が大きいのでダウンフォース強化は難しい。
そこで今回採用したダックテールスポイラーは、エッジの位置をベース車より約40mm後方に伸ばし、車体後方に発生する渦を後方に飛ばすことでドラッグを低減、ダウンフォースを強化させた。

エッジの位置をベース車より約40mm後方に伸ばしたダックテールスポイラーを採用。 平井大介
さらに、リアバンパー下にボートシェイプアンダースポイラーを装着してリアタイヤ後ろで発生する渦を防ぎ、空気の流れを整流してドラッグの低減とダウンフォースの強化を図っている。細かい工夫だがぜひ注目して欲しいと、森田氏は語る。
あらゆる状況で気持ち良く、速く、安心して楽しめる
そして成富氏。EVは重いバッテリーを床下に積んでいることからそもそも低重心で、しかもモーターゆえ応答が素早い。つまりスポーツカーとしての資質はある。そんなクルマとの一体感を、ドライバーだけでなく助手席や後席の人にも感じてもらいたいとリーフ・ニスモは開発された。
ニスモ・ロードカーの頂点にはレーシングカーがあり、その下にはGT-RやZのようなサーキットも走って楽しめるクルマがある。しかしEVのSUVであるリーフ・ニスモは、ストリートユースで気持ち良く、速く、安心して楽しめるクルマを目指している。

ストリートユースで気持ち良く、速く、安心して楽しめるクルマを目指している。 平井大介
それはつまり、様々なシチュエーションでも4輪にきちんとトラクションをかけて走れるということだ。
ベース車のリーフは新世代の高剛性プラットフォームとパワートレーンを採用。そこへ先に作られたアリア・ニスモからのフィードバック、モータースポーツ由来の経験、匠と呼ばれるチューニングドライバーの感性などを併せ込むことで、『意のままに軽快に走る』リーフ・ニスモが生まれた。
しかし、EVは車両重量が重いため、これに加速度が加わった『力』をいかにコントロールするかが苦労した点でもあった。
座面の角度をミリ単位でチューニング
インテリアを黒基調にしたのは運転に集中しやすい環境とするためで、レカロ製シートは座面の角度をミリ単位でチューニングして、背中と座面に伝わる荷重の分散や脚に加わる力などをバランスさせてクルマとの一体感を図った。そんなこだわりが、各所にあるという。
『より速く』、『気持ち良く』、『安心して』という性能を実現するために、様々な専用部品も開発された。回生用パドルシフトも採用したことで、グライダーのような滑空する走りや、スポーツドライビングにも対応するという。

リーフ・ニスモとフォーミュラEマシンのボディカラーは、いずれも『ニスモ・ステルスグレー』となる。 平井大介
非常にいいクルマに仕上がったのでぜひ多くの人に乗ってもらいたいと、成富氏。彼らのこだわりが詰まったリーフ・ニスモ。その走りを堪能できる日が楽しみだ。
日産リーフB7ニスモのスペック
全長×全幅×全高:4415×1810×1550mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1920kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:160kW
最大トルク:355Nm
バッテリー総電力量:78kWh
WLTCモード航続距離:未発表(ベース車は702km)
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:235/45R19
価格:695万2000円

日産リーフB7ニスモの価格は695万2000円となる。 平井大介

