「ちいかわ」映画大ヒットで東宝に大注目!猛暑を追い風に業績が伸びる予感の5銘柄を専門家が指南
TOPIX採用銘柄のうち2月期決算の企業は、27年2月期第1四半期(26年3-5月)の決算発表がほぼ一巡した。期初計画に対する進捗率が30%を上回る「高進捗企業」は34%を占め、増益率も前四半期から加速している。期初の会社計画がやや慎重に設定されていたとはいえ、進捗率の高さを踏まえれば通期業績の上方修正へ踏み切る企業が今後相次ぐ期待が膨らむ。
2月期および8月期に決算期を迎える企業は小売、外食、サービスなどの消費関連の業態が過半を占めており、消費の底堅さを映した堅調ぶりだったと言えそうだ。物価高を受けて生活防衛や将来への備えに回す意識が強い一方、今夏のボーナスは暮らしの満足度を高めたり、猛暑が常態化する夏を快適に過ごしたりするための消費行動にも期待が広がる。生活防衛と快適性の両立を狙う消費トレンドをとらえた好業績銘柄に注目したい。
東宝<9602>
7月24日終値1446.5円 配当利回り(予)1.52%
真夏の酷暑日には、屋外よりも空調の効いた場所で過ごしたいという消費者心理が働きやすい。映画館は厳しい暑さをしのぐことのできる都会のオアシス空間でもあり、インフレ下での手頃な近郊レジャー需要としても底堅い需要が見込まれる。
2027年2月期第1四半期(3ー5月)決算の連結営業利益は前年同期比28.3%減の139億円と減益となったが、約60億円規模の利益計上が第2四半期(6ー8月)へ後ずれしたことが主因だ。「呪術廻戦」をはじめとする有力アニメの海外動画配信インセンティブ収入が想定を上回るペースで伸長するなど、世界的なアニメ人気の高まりが実質的な収益力を押し上げている基調に変化はない。「長期ビジョン2032」では営業利益750億ー1000億円を見込んでおり、同社が 100%保有するゴジラの IPを活用する戦略でも収益拡大を図る狙いだ。
予想PER(株価収益率)は過去の標準的レンジと比較して割安感のある水準まで調整が進んだ。第2四半期決算に向けた業績回復を可視化できれば、株価再評価の足がかりとなるだろう。カギを握るのは7月24日(金)に公開したばかりの「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」かもしれない。初日の「上映回数」はヒットの兆しを思わせる好調スタートをみせている。
サイゼリヤ<7581>
・7月24日終値7430円 配当利回り(予)0.47%
徹底したコスト管理と高い生産性を強みに、国内およびアジア地域で強力な店舗ネットワークを展開するサイゼリヤは、国内の既存店売上高が客数の増加に支えられて拡大基調を続けている。物価高に直面する消費者の生活防衛志向が強まる中、圧倒的なコスパの良さを維持するサイゼリヤへ集客力が高まった格好だ。
海外市場においても、中国における既存店売上高に底打ち感が確認され、アジア事業全体の収益性が回復軌道に乗ってきた。通期営業利益は会社計画の182億円(前期比17.4%増)の達成が確実視されており、営業最高益の更新が続く見通しだ。
注目すべきは価格戦略の転換だ。これまで国内での値上げに慎重な姿勢を崩していなかった同社だが、原材料価格や人件費の上昇に対応するため、今後は一部商品や店舗特性に応じた価格改定を検討する方針を示している。
都心部店舗での価格設定見直しやメニュー改定を通じた粗利益率の改善が進めば、売上営業利益率(本業の稼ぐ力を示す指標)の回復が期待でき、2027年8月期以降の利益拡大ペースはさらに加速する可能性が高い。アジア事業の持ち直しと国内価格戦略の柔軟化による二重の成長シナリオが描かれており、中長期的な収益成長を重視する投資家にとって魅力的な局面が訪れている。
三陽商会<8011>
7月24日終値4625円 配当利回り(予)3.98%
老舗アパレルメーカーの同社は、「バーバリー」のライセンス撤退以降、自社ブランドの再構築と事業構造改革を推進してきた。最近では猛暑が常態化する気候変化そのものを、新たな衣料カテゴリーを生むビジネスチャンスに転換しようとしている。
東京都庁が今年4月に新クールビズでハーフパンツ着用を解禁するなど、猛暑対応のビジネスウエアの需要拡大に追い風が吹きつつある。26年4月投入の男性用ハーフパンツセットアップは、6月末時点で販売計画を2割上回るペースで推移している。また、「猛暑」を独立季節と位置づける「五季」展開のもと、女性用半袖ジャケットも前年比約9倍に増産する計画であり、猛暑を消費機会に変える動きが事業戦略として定着してきた。
需給面では、米国の資産運用会社サファイアテラ・キャピタルによる保有割合が7.04%から8.12%へ上昇したことが判明した。アクティビスト(モノ言う株主)や海外機関投資家からの株主還元強化の要求が高まる中、会社側も株主還元姿勢を明確に打ち出している。2026年9月1日を効力発生日とする1株から3株への株式分割を予定しており、高配当利回り銘柄を好む投資家層の拡大と流動性の向上が見込めそうだ。
U-NEXT HOLDINGS<9418>
・7月24日終値1651円 配当利回り(予)1.03%
動画配信サービス「U-NEXT」を展開するコンテンツライツ事業に加え、店舗向け音楽配信やPOSレジ、通信インフラなどを提供する店舗サービス事業を擁する複合エンターテインメント・IT企業だ。2026年8月期第3四半期累計決算では、主力の動画配信事業の有料会員数が順調に積み上がり、過去最高益の水準を更新した。
猛暑の常態化に伴い、夏の休日に自宅など屋内で快適にエンターテインメントを楽しむ「巣ごもり消費」の定着が同社にとって追い風となっている。他社サービスとの差別化に向けた独占配信コンテンツの拡充や、スポーツ・ライブ配信の強化が会員あたりの平均収入(ARPU)向上につながっている。TBSとの資本業務提携によるコンテンツ調達力の強化にも期待だ。7月からは人気ドラマ「VIVANT」第2シーズン(2クール分連続放送)を独占配信しており、今クールでも会員数増加に貢献してくれそうだ。
飲食・小売店舗の省人化ニーズを捕獲した自動精算機や店舗ITソリューションの販売も高粗利を維持しており、全体的な利益率を引き上げている。動画配信と店舗ソリューションという異質の成長エンジンを二基搭載することで、継続的に安定した収入が得られるストック型ビジネスの割合を高めている。
良品計画<7453>
7月24日終値4202円 配当利回り(予)0.76%
「無印良品」を展開し、衣服・生活雑貨・食品まで多角的なライフスタイル提案を世界展開している。シンプルで機能的なデザインと適切な価格設定により、国内外で絶大なブランド支持を集めている。迷ったら“無印”で買いそろえれば、イイ感じの部屋づくりが成立するとの声も多い。
2026年8月期第3四半期累計(2025年9月ー2026年5月)決算では、営業利益が前年同期比36.0%増(808億円)の大幅増益を達成し、通期計画を従来の890億円から980億円(前期比32.7%増)に引き上げた。3期連続の最高益更新が視野に入るだけでなく、依然として慎重な通期業績計画に対する上振れ着地も濃厚だ。
今夏は、速乾性や冷感機能を備えた夏用衣料や、家庭内で酷暑を快適に過ごすための生活雑貨・調理食品のラインナップを拡充した。客数と客単価の双方を押し上げる効果が期待される。国内店舗の収益力強化だけでなく、利益の4割を稼ぐ海外店舗(特に東南アジアや中国)の店舗網拡大と収益性の改善も貢献している。構造改革によるサプライチェーン(供給網)の効率化や不採算商品の見直しが加速しており、グローバルで成長軌道を取り戻しつつある。
日経平均株価は半導体関連銘柄を中心としたスピード調整が警戒される局面にあるが、2月期・8月期決算企業で見られた利益計画に対する高進捗、ビジネス展開の変革を紐解くと日本企業の力強く稼ぐ姿を確認できる。生活防衛と消費拡大が併存する時代を勝ち抜く企業に注目したい。
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