実に3度目の賠償命令となった。1993年、山形県新庄市の旧明倫中学校1年生の児玉有平さん(当時13歳)が、体育用マットの中で窒息死しているのが見つかった事件。学校内のいじめが背景にあり、事件に関与したとして生徒7人が傷害や監禁致死の容疑で逮捕・補導された。遺族は損害賠償を求めて民事訴訟を起こしていたが、今年7月15日、山形地裁は3人の被告らに遅延損害金を含め、総額約1億1260万円の支払いを命じたのだ。

【画像】「ある種異様な雰囲気でした」2004年の控訴審判決後に会見する昭平さん


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賠償命令が確定も、誰も支払いに応じていない

「元々7人全員が事件に関与したと認められ、2005年の最高裁判決で総額約5760万円の賠償命令が確定した。ただ、誰も支払いに応じていない。判決で確定した権利は10年で消滅するため、遺族は差し押さえる財産が把握できなかった元生徒3人について15年と25年に再度提訴していた」(司法担当記者)

 事件の捜査段階では、7人とも有平さんへのいじめ行為を認めていた。だがその後は「その場にはいなかった」「被害者は自分からマットに入ったのでは」などと主張し、否認に転じた。今回の裁判でも、元生徒側は無実を主張したが、裁判所は「事件への関与についてはすでに認定されている」として退けている。

「父親の児玉昭平さんは80歳近くと高齢で、度重なる訴訟費用の負担も大きい。『30年以上が経っても傷は癒されない』と終わらぬ裁判を闘い続けてきましたが、判決が出ても従わないのは、あまりに不誠実で理不尽だという思いを強くしています」(市政関係者)

別の地域出身だった児玉さん一家に対する誹謗中傷

 事件の加害者に対する損害賠償請求の場合、判決が確定しても支払われないことは少なくない。

「相手に支払う意思がないケースでは、勤務先を調べて給与を差し押さえるにも相当な手間や費用がかかるし、被害を受けたほうが最終的に泣き寝入りすることも珍しくない。国が立て替えて賠償金を支払うなどの制度も必要でしょう」(被害者支援に詳しい弁護士)

 今回の事件では、遺族に対する誹謗中傷もあった。

「古い家が多く、土地柄もあってか、当時は別の地域出身だった児玉さん一家に対してよく思わない人もいた。『被害者が悪い』『逮捕された方がかわいそうだ』と露骨に言ったり、有平さんの兄や妹に心無い暴言を吐いたりする者までいた。ある種異様な雰囲気でした」(前出・市政関係者)

 元生徒らは既に40代になっている。だが、これまで遺族のもとに謝罪に訪れることはなく、今回の判決を受けても賠償金を払うそぶりは見せていないという。

 漫画やアニメの仕事に就くのが夢だった有平さんを、誰よりもかわいがっていた父の、「判決をきちんと受け止めて事件に向き合ってほしい」という無念の叫びは届くのだろうか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年7月30日号)