首都圏のマンション価格が高騰を続けるなか、住宅ローンの組み方に大きな異変が起きています。現在、首都圏でマンションを購入する人の「3人に1人」が、従来の常識であった35年を超える「超長期ローン」を利用しているというのです。最長で50年という商品も登場するなか、安易な利用には大きな落とし穴も潜んでいます。

今回は、らくだ不動産株式会社の代表取締役社長の山本直彌さんと、エグゼクティブ エージェントの村田洋一さんの2名が、超長期ローンの実態と、賢い活用法やリスク回避のポイントについて徹底解説します。

◾️なぜ「35年超」のローンが急増しているのか?
これまで住宅ローンといえば「最長35年」が一般的でしたが、近年では40年、最長で50年というローンを提供する金融機関が増加しています。

山本さんは、その背景に「物件価格の異常な高騰」があると指摘します。

「現在の首都圏の新築・中古マンションは、一般的な会社員の収入に対して価格が高くなりすぎています。35年ローンでは毎月の返済額が膨らみすぎて銀行の審査に通らないため、返済期間を40年や50年に延ばすことで毎月の支払額を下げ、なんとか審査を通過させているのが実態です」。

◾️月々の負担は減るが…超長期ローン「最大のメリット」
返済期間を延ばすことによる最大のメリットは、間違いなく「月々の返済額(キャッシュフロー)を抑えられること」です。

村田さんは次のように語ります。

「毎月の支払いを抑えられるため、これまで手が出なかった好立地・高品質な物件を購入できるチャンスが広がります。将来的に収入が上がったタイミングで繰り上げ返済を行ったり、教育費がかかる一定期間だけ支払いを抑えたいといったライフプランに合わせた戦略が取れるのは、明確なメリットと言えます」。

◾️プロが警告する「残債が減らない」という恐怖の落とし穴
しかし、メリットの裏には非常に大きなリスクが隠されています。それは「元金(残債)が減るスピードが極端に遅い」ということです。

山本さんは、超長期ローンのリスクをこう警告します。

「50年ローンを組んだ場合、最初の数年間は支払いの大半が『利息』に消え、元金がほとんど減りません。もし数年後に転勤や家族構成の変化で『家を売却したい』となった時、物件の市場価格よりもローンの残債が上回る『オーバーローン(債務超過)』に陥る危険性が跳ね上がります。残債を一括返済できず、自己資金を持ち出さなければ家が売れないという事態になりかねないのです」。