テニス用語ではなく、ビジネスにおける「壁打ち」とは……勅使川原真衣がその是非を問う

フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。7月22日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、今世間で使われている「壁打ち」という言葉の意味や、有効な使い方などについて分析した。
勅使川原真衣「『壁打ち』って言葉、耳にすることはありますか?」
武田砂鉄「ないですね。『壁打ち』って、あのテニスの練習ですか?」
勅使川原「そうそう、部活ではね。そっち派ですよね(笑)。
いや、これSNSでちょっと話題になっていたんですよ、先週。
国際基督教大学の准教授の橋本直子さんが
『若い人が目上の人に「壁打ちの機会をいただきたい」と申し出るのは
失礼なんじゃないか。壁打ちなら一人でやってください』という
投稿をなさって話題になっていました」
武田「へえー」
勅使川原「確かにね、分かるところもあるなと思ったんです。
額面通りに受け取れば随分なお願いじゃないですか。
人間なのに人間に向かって『壁だと思って話させてください』って
言うわけですから。言いたいことも若干分かるなと思いました。
今、武田さんがおっしゃった通り、そもそも壁打ちという言葉は
テニスなどの一人練習を指す言葉です。
で、SNSでは派生して、誰との交流も想定してない
『独り問答』みたいなものを壁打ちと呼ぶようになって、
ビジネスの場でも、誰かに話を聞いてもらいながら考えを整理する行為として
ちゃんと辞書にも載ってるんですよ、ここまでは。
ただ、広辞苑の第七版にはないんですけど、
『大辞泉』には載るようになってきた。第三の意味として昨今は
『生成AIとの問答、これも壁打ちって言うんだよ』というのが
載り始めてるんですよね」
武田「全然知らなかったです。テニスの壁打ちしか頭になかったですね」
勅使川原「本当ですか? 言う人いないんですね、まわりにね。
私、結構聞くなと思って。言われることもあるなと思って」
武田「『壁打ちお願いします!』って?」
勅使川原「お問い合わせフォームとかに入ってくる時あります。
『勅使川原さんと壁打ちさせてください』って。
まあ、生成AIという『壁』なら、全然話は変わってくると思うんです。
別に相手が疲れていようが忙しかろうが気にする必要もないし、
話がまとまってなくてもAIは怒ることもないので。
ただ、相手が人間となると、やっぱり時間は取られますし、
知識を無償で差し出さなきゃいけなかったり、仕事に集中してる時に
間に挟み込まれちゃったり。
限られたリソースなのにあたかも無尽蔵に使われちゃうというのは、
『ちょっと警戒しちゃうよね』っていうのを、たぶん橋本先生は
おっしゃりたかったのかなと思いました」
武田「勅使川原さんのところに『壁打ちお願いします』っていうふうに来たら
『おととい来やがれ!』みたいな感じで返すんですか?(笑)」
勅使川原「ああ、ちょっと言うとまずかったかな……(笑)。
そっと閉じていますね。応じきれないのでね。
一方で、今回の投稿については反論もたくさん広がっていました。
多かったのは『うちは壁打ち文化のある会社で働いている』という声。
『何が失礼なのか分からない』という言い方も広がっていました。
どっちがいいかということじゃなくて、私は『なるほど』と思ったんですよ。
ある職場では『壁打ちしようは普通に気軽なやり取りじゃん』って言えるし、
別の組織では相手を道具扱いする言葉に聞こえると、おっしゃってる方も
いるわけですよね。
なので『壁打ち』って、たぶんちょっとした『マジックワード』に
なりかけているんじゃないかなと思いまして……『知ってる』ってちょっと
言って欲しかったですね、砂鉄さんに(笑)」
武田「知ってますよ、壁打ちね(笑)」
