元ギャル・黒田実緒/建設業を本気で良くする株式会社社長に聞く HPで人手不足の建設業を次世代へつなぐ
HPはツールで人間関係をつくる入り口
「うちはHP屋じゃない」と言い切る黒田実緒。ほとんどがこれまでHPを作ってきたクライアントからの紹介という同社だが、その信頼と強みとは何か。
建設業の会社は、企業理念がないところがほとんどです。でも話を聞いていくと、「世の中にこういうものを提供したい」「社員にはこうなってほしい」などの願いがあります。何度もインタビューを重ねていると「本当はこういうことが伝えたかった」というものが出てきます。
私がやりたいのは、そうした思いを、建設業界外の人たちにも伝わるように翻訳し表現することです。HPはそのためのツールで、会社とお客さんとの深い人間関係を築くための入口です。それをミッション、ビジョン、バリューとして言語化し、それを軸にHPに落とし込んでいく。このプロセスを一緒に進めると、社長自身も「自分がやりたかったことはこれだ」と腹落ちしていく。その瞬間がいちばん面白いと感じています。
作業着で現場へ――職人の心を開くために
HPをつくるために取材にうかがうときは作業着で現場に行くんですよ。泥だらけになってもいいというつもりで。
建設業のコンテンツを作るのに、スーツとヒールで乗り込んでいったら、相手は心を開いてくれないと思うんですね。自分がお客さんの立場だったら、そういう格好の人が自分たちのことを本当に理解してくれるとは思えない。作業着で現場に密着し続けているからこそ、相手も「この人は自分たちの世界をわかってくれている」と受け取ってくれる。
それと女性スタッフが多いという特徴も、弊社の強みです。職人さんたちも話しやすいということもあると思いますが、かしこまらず、素でいられるそういう空気の中で話を聞くので、普段は口の重い職人さんでも、本音や仕事へのプライドがじわじわと出てきます。
ギャル校出身、学校には行かずバイト漬け――異色の青春時代
通っていた高校はギャルがいっぱいの"ギャル校"でした。当時は『egg』や『小悪魔ageha』といったギャル雑誌が全盛期で、おしゃれもしたいしお金もほしいということで、友人もみんなバイトしていました。私はバイト先で大人と話すのが面白くなってしまって抜け出せなかった。地元宇都宮の飲み屋街、ど真ん中にある焼き鳥屋さんで働いていました。ほとんど学校にも行かず、よく卒業できたなという感じです(笑)。
お店はビジネスマンや経営者の人たちが同伴で使うようなお店で(笑)、知らない世界をどんどん教えてもらえる、その刺激が忘れられなくて、卒業後、宇都宮で有名なママの下で働き、その後は派遣で働いて上京しました。
上京後は六本木の高級クラブ、ユニクロの社員、下北沢でのバイトを掛け持ち。20代前半の黒田は「好きなことを仕事にしたい」という焦りの中で、自分の居場所をひたすら模索し続けた。
20代前半は「本当に好きなことを仕事にしたい」「自分は何者なんだろう」ということばかりが強く、何をしたらよいかを模索しながら苦しみ、答えがわからず動き回っていたという感じです。
学歴コンプレックスがあったので、英語ぐらい喋れればと、学生ビザでオーストラリアに1年半ほど語学留学しました。
向こうではワーキングホリデーで来ている日本人たちが口々に「日本の働き方が合わない」と言うんですね。でも、自分は日本でしっかりと「働く」ことに向き合ってなかった。そのままぬくぬくとオーストラリアに居続けてもと思って25歳で帰国して、そこで初めてちゃんとした就職活動をしました。
「誰のために働くか」がその答えのヒント
帰国後の就職活動で、初めて自分の過去と向き合った黒田。「誰のために働くか」を問い直したとき、浮かんだのは、休日も作業着を着ていた父親の姿だった。
初めて就職活動をした時、「誰のために仕事の時間を使いたいのか」という角度で自分の過去を見直してみました。そのときに思い浮かんだのが中学生のころ、休日も関係なく作業着でいた父の姿でした。その当時は父とデパートに行くなんて絶対イヤだって思っていた。スーツを着た男性と結婚するんだ、なんて勝手に思っていました(笑)。
そんな過去を振り返った時、こんなに身近にいる私が知らず知らずのうちに職業に偏見を持っていたことに気がついたんです。それが衝撃で、悲しくなって……。父のことを尊敬しているし、父のような誠実でプライドを持った人がたくさんいる建設業界のことを、もっと多くの人に知ってほしいと思ったのです。
建設事業者が集まる飲み会にいきなり参加
思い立ったら即行動。ネットで見つけた建設業の飲み会に一人で飛び込んだ。コネも実績も、何一つない状態からのスタートだった。
ネットを見ていたら「建設職人甲子園」という団体を見つけ、その団体の飲み会の告知があったので申し込みました。あとで聞くと、この飲み会に一般の人が飛び込みで入ってくることはなかったらしくて、20代の女の子がいきなり現れたものだから、みんな物珍しさで声をかけてもらいました。そこから人脈がどんどんつながっていきました。
ウェブのスキルは、飲食店で働いていたころに縁のあったHP制作会社の社長さんから「建設業に貢献したいなら、うちで一緒にやってみないか」と声をかけてもらって、そこに入社させてもらいました。
建設関連会社はWEBマーケティングは苦手だったので、私がやりたかった建設業とデジタルの組み合わせがマッチしたというのは、偶然の産物だったと思います。
外せないルール――思いつきで話すお客に引きずられない
そこで実績を積み技術を身につけ、独立。今もHP制作にあたって、絶対に外せないルールがあるという。
インスタや、動画を作るにしても「これは何の目的で、誰に向けて作っているのか」を常に軸にする。お客さんは思いつきで、あれもこれも入れたいと言ってきます。
もちろん、それも取り入れますが、最初の目的からずらさないこと。そのことをこちらがしっかりグリップしないとダメです。そこで流されてしまうと、誰にも刺さらないコンテンツができあがってしまいます。
そこで必要なことは目的から逆算して、ターゲットに対してどんな訴求をすれば興味を持ってもらえるかを徹底的に考えることです。
建設業を次の世代へ――「見える化」が紡ぐ、会社の未来
これまで「人手不足」と「事業承継」という2つの課題を「見える化」によって、多くの建設会社を支援してきた黒田。建設業を本気で良くする株式会社が目指すものとは何か。
私たちのミッションは、建設業を次の世代につなぐことです。人材採用は、つまりは会社を継続させることが目的です。今、事業承継が業界全体の深刻な問題になっていますが、その課題解決で私たちが一番価値を発揮できると思っています。
思いを言葉、映像にして、見える化することで次の世代につないでいく。言葉になっているから認識できる、信じられる。思いが伝わるから共感が生まれ、応援したくなる。
言語化されていない技術や思いを掴み、届けたい相手に届ける。これからもそれをずっとやり続けていきたいと思っています。
建設業を本気で良くする株式会社:https://kensetsu-yokusuru.com/
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