『お好み焼き居酒屋 源亀(げんき)』千切りにしたキャベツがふんわり食感の決め手!

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関西風を担当した編集武内、広島風を担当したライター岡本、編集荒川の3名による、お好み焼き談義。両者はどう違うのか、各店舗が個性をどうやって演出しているのか……似ているようで結構違う、お好み焼きの世界について語ってみます。

同じく見えても違いあり!違いを生み出すポイントとは

武:実は日本のお好み焼きって、明治・大正時代、小麦粉を水で溶いて薄く焼いたものにネギやソースを乗せた「一銭洋食」から始まったとされるって知ってました?

岡:私、調べました!その「一銭洋食」をベースに、関西ではキャベツや肉、魚介を混ぜ焼きするスタイルに、広島では麺とキャベツを重ねて焼くスタイルにと変わっていったんですよね。

武:そんなお好み焼きを今回は特集するにあたって僕は関西風、おふたりは広島風を食べまくったわけですが。

岡:広島風のお好み焼きを毎日のように食べましたからね。おかげで店によって微妙に味が違うことも確認できたかな。

武:確かに。連日食べ比べているとより違いがわかりますよね。関西風は生地に山芋や長芋、さらにダシを加えるのはどこも共通。ただ主役?のキャベツの大きさが店によって微妙に違う。ざっくり切っているように見えて、5ミリから1センチくらいの大きさにカットしてるんです。

岡:どうしてその大きさなの?

武:生地と絡みやすいし、大きく混ぜ合わせることで生地間、キャベツ間に空気も入りやすく、ふんわり軽やかに焼き上がるんです。それに完成品を切った時に崩れにくいし、軽快な噛み心地だし。そこまで計算してるんですよね。ただ『源亀』のように長めの千切りにするところも。キャベツ同士が絡み合うことで焼いたときにつぶれづらく、約5センチっていう厚みを実現させてる店も。

『お好み焼き居酒屋 源亀(げんき)』千切りにしたキャベツがふんわり食感の決め手!

岡:千切りキャベツは広島風だけだと思ってた。

荒:広島風の場合は丸く伸ばした生地にのせたキャベツに、つなぎ的な意味合いの生地をかけるかどうかが店によって違いました。『八昌』は、上からもかける派。ひっくり返したらヘラでギュッと押すことでキャベツ間の空気が抜け、一体感が生まれるうえ、崩れづらくもなるのでキレイに食べられるんです。

『八昌』つなぎの生地でとプレスで一体感&食べやすさUP!

岡:反対に『ぶち旨屋』では生地をかけないし、強くプレスもしないのよね。一体感もわかるけど、キャベツの甘み、肉の旨みをダイレクトに味わってほしいというのがその理由だそう。

『ぶち旨屋』つなぎを入れないからこそ素材の味わいが際立つ

武:そうそう、あとキャベツは使う前日に切っておきザルなどにあけて放置。キャベツの水分を抜いて使うという店が多かったな。焼いているうちにキャベツから水分が出ると、べちゃっとしたものになってしまうってことで。

荒:逆に広島風はキャベツからの水分で蒸らし甘みを引き出すのが特徴なので、乾燥させるなんて一度も聞きませんでした。広島風では焼きそばへのこだわりも店によって違うんです。

武:関西風はモダン焼きと頼むと焼きそば、うどんが入るけど、広島はほぼデフォルトだもんね。

荒:麺はラードで焼く。それくらいしか意識したことがなかったんですが、茹で麺、生麺、蒸し麺と3種類あって、パリッと仕上げる店もあれば、柔らかい麺の食感を残すところもありました。

岡:素材はほぼ同じなのに完成品に求めるものが関西風はいかに軽やかな食感にするか、広島風は一体感や素材の味を楽しませるかと大きく違うんですね。

醍醐味のひとつ、鉄板で作るツマミで一杯

荒:ところでお好み焼きが焼き上がるまで、少し時間がかかるじゃないですか。広島風だと15分くらい。その間ってどう過ごしてました?

武:広島だとおでんがあったりして、それをつまみにのんびりビールを飲んで焼き上がりを待ってたけど、東京にはおでんがある店があまりなくて。僕はウインナーとか、ぼっかけに使うすじ煮込みとかをつまみにしてました。とんぺい焼きも捨てがたいけど、お好み焼きと味の方向が似てるので、ちょっと躊躇しちゃうんですよね。

荒:だし巻きや広島ではポピュラーなコウネ(牛の肩の部位)の塩焼き、イカのバター焼き……鉄板で調理してくれる様子も楽しくて、それらをつまみにして焼き上がりを待ちました。

岡:おいしそうってつまみを頼みすぎちゃうとお好み焼きが……ってことが何回か(笑)。あれ、気をつけないとダメだよね。

荒:僕も何回かやってしまいました(笑)。

武:ただ飲みたかっただけでしょ!(笑)

【コラム】東京風お好み焼、それは今いずこ?

東京風お好み焼きって、今ほとんどないんですよね。ただ、戦前戦後に下町を中心に屋台で食べられていた『どんどん焼』の流れを汲む料理は東京風といえるだろう。水で溶いたメリケン粉に長ネギ(重要)や天カスを入れて鉄板で焼いた、大阪のお好み焼に比べると、具材的にはずいぶん質素な料理で「○○天」という名称なのも特徴。

(左)ねぎ天、(右)しゅうまい天

となると、浅草の『染太郎』の「ねぎ天」なんかは完全にこの系譜。あと。行田の『フライ』も、名前はともかく内容は完全にどんどん焼なので、これらこそ、今に残る東京お好み焼きだろう。

さらに!お好み焼きの”お好み”は、客が自由に焼いたことからの命名らしく、『染太郎』の「しゅうまい天」や、今も八王子に残る『パンカツ』など、いわゆるお好み焼きとの共通点はメリケン粉を使って鉄板で焼くという点のみだが、こんなお好み自由な料理があるか、これも隠れたもうひとつの東京風お好み焼といえるかもしれない。

文/編集部、カーツさとう(コラム)、撮影/鵜澤昭彦(源亀、ぶち旨屋)、浅沼ノア(八昌)

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