記事のポイント
ブランド各社は、政治的分断が続くなかでもアメリカ建国250周年を成長機会と捉え、限定商品や愛国的キャンペーンを展開している。
調査では、アメリカを打ち出したブランディングは約半数の消費者に支持され、特にワークウエアや歴史あるブランドとの親和性が高いことが示された。
一方で消費者は、星条旗を使った広告よりも国内雇用や製造業への投資を重視しており、実態を伴うブランド姿勢が求められている。


アメリカ建国250周年を迎えるいま、ブランドにとって愛国心を打ち出すのは難しい時期だ。250周年やサッカーアメリカ男子代表のワールドカップ・ラウンド16進出といった前向きな節目がある一方で、警戒すべき理由も同じだけ存在する。

関税、急速なインフレ、そして度重なる偽りの停戦にもかかわらず続く支持されていない紛争のあいだで、消費者にはいま、あまり愛国的な気分になれない理由がいくつも思い当たるだろう。

だがファッションブランドは、それでもこの記念日に力を入れている。愛国的なマーケティング表現がいまも有効であることを示すデータが、その後押しとなっている。

アメリカ製を打ち出すウルヴァリン



たとえば、米国のワークウエアブランドであるウルヴァリン(Wolverine)は7月初旬、製品がアメリカ製であることを前面に打ち出した「アメリカ250(America 250)」コレクションを発売した。

ブーツとワークウエアからなるこのコレクションは、「アメリカン・ドリーム(American Dream)」と題したキャンペーンとともに立ち上げられ、全50州の労働者や職人にブーツを無料で贈った。

ウルヴァリンのグローバルブランドGMを務めるマイク・マロニー氏は、同ブランドが250周年コレクションとマーケティング戦略の準備を1年半以上前から進めてきたと述べた。同氏は、米国製品には本物の市場が存在し、それが250周年によってさらに拡大していると考えているという。

「消費者、とくに我々の顧客は、アメリカのヘリテージブランドを強く求めている。我々はそれに対して、より多くのストーリーテリングで応え、250周年のあらゆるテーマをこの瞬間に織り込めるようにしたかった」とマロニー氏は言う。

マロニー氏は、靴底に13本のストライプが配置されていることや、かかと部分に赤、白、青のステッチが施されていることなど、愛国心のある層にアピールするための細かな工夫を挙げた。また、この製品がアメリカ製であることも、マーケティングキャンペーンの重要な要素となる。

愛国的ブランディングに好意的な消費者は約半数



消費者がアメリカを打ち出したブランディングに好意的に反応するという感触は、消費者センチメントインサイト企業のザッピ(Zappi)のデータによって裏付けられている。

6月のデータによれば、アメリカを打ち出した製品ブランディングは依然として国民の約半数に響いており、否定的な連想を抱く人は16%にとどまる。

愛国的ブランディングへの好意的な感情は、18〜25歳の層と55歳超の層とを比べると2倍に増える。

250周年記念にもっとも力を入れているのは、ワークウエアブランドや、もともとアメリカの歴史と結びつきのあるブランドだ。

たとえばウエスタン用品小売のブートバーン(Boot Barn)は、この記念日にちなんだウエスタン調の新コレクションを展開しているほか、アメリカの創意工夫をテーマにした複数のマーケティングキャンペーンも実施している。

「当社の「250ストロング(250 Strong)」シリーズでは、NFLからプロロデオまで、さまざまなスポーツのアメリカのプロアスリートを複数取り上げ、250年にわたりアメリカを形づくってきた精神をたたえる」と、ブートバーンでマーケティング&メディア担当バイスプレジデントを務めるスティーブン・ロスコ氏は述べた。

「このシリーズは、これらのエリートアスリートがそれぞれの競技で卓越するために必要な再起力、決意、そして絶え間ない忍耐力を紹介するものだ」。

ほぼすべてのアメリカ大統領に服を提供してきたブランドであるブルックス ブラザーズ(Brooks Brothers)も「アメリカ250」コレクションを発売する。ニットウエアブランドのリンガフランカ(Lingua Franca)やデニムブランドのラングラー(Wrangler)も同様だ。

ブライトリング(Breitling)などの時計ブランドも、この記念日にちなんだ記念モデルの腕時計を発売している。

求められるのはブランディングより雇用への投資



一方、ザッピの調査は、単なるブランディングやマーケティングだけでは不十分であることも示している。

ザッピの調査回答者の63%が、企業がアメリカの雇用と価値観に投資することのほうが、単なる星条旗を使ったブランディングよりも重要だと答えた。

マロニー氏によれば、ここにウルヴァリンのような企業の強みがあるという。一方で同氏は、アメリカの製造業を取り巻く状況の変化にも言及した。

米連邦準備制度理事会(FRB)の報告によれば、アメリカの製造業生産は4月に約1%増加し、5月は横ばいだった。

「現在、アメリカには過去に比べて生産に使えるリソースが豊富にある。アメリカで製品を製造する方向へ、多くの投資が集まっている」とマロニー氏は述べた。

[原文:For America 250, customers want positive actions more than patriotic branding]

Danny Parisi(翻訳、編集:藏西隆介)