築古のアパート経営において、修繕費の見積もりが想定をはるかに超えてしまう瞬間ほど不安なものはない。空室が続いている物件であればなおさら、外壁や階段の劣化を前にして、どこまで手を入れるべきか判断がつかなくなる大家は決して少なくないはずだ。修繕という言葉を耳にしただけで、頭を抱えたくなる経営者も多いだろう。しかも見積もりの中身を細かく見る機会は意外と少ない。
 
不動産投資アドバイザーの木村洸士氏は、新潟県にある築40年のアパートを題材に、こうした高額修繕の局面をどう乗り越えるかについて語っている。外壁や階段の鉄部が傷み、不動産会社からは相応の重さを持つ修繕見積もりが提示された事例だ。木村氏はこうした状況が決して珍しいものではないと前置きしたうえで、実際の物件写真を見せながら話を進めていく。見積もりを受け取った瞬間の心境にも触れており、経営者としての葛藤が伝わってくる。
 
注目すべきは、提示された見積もりをそのまま受け入れるのではなく、どこに手を入れどこを見送るかという判断軸を持つ姿勢である。木村氏は、業者選びや相見積もりの取り方次第で費用の重みが大きく変わってくる点、そして不動産会社を通した提案には利益が上乗せされやすい構造がある点にも触れている。全面的な改修に踏み切るのではなく、部分的な補修で仕上げるという発想が、この事例を語るうえでの核になっているようだ。色の使い方ひとつで建物全体の印象が変わるという指摘もあり、単なる節約とは違う視点が示されている。
 
対談の後半では、実際にかかった費用の内訳や、規格外だったドアをどのように安く収めたのかという裏話にも話が及ぶ。長らく空室が続いていた部屋が短期間で満室に転じた経緯や、物件名や看板といった見た目の印象づくりまで、木村氏は雑談を交えながら具体的に掘り下げている。業者によって同じ工事でも金額に倍近い差が出ることがあるという話や、ネーミング一つで物件の見え方が変わるという裏話も飛び出しており、数字の変化以上に判断の積み重ねが結果を左右したことがうかがえる内容になっている。

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