「目立ちたがりで騒ぐけど、“一軍女子”の目を気にして…」同級生が証言した川村葉音被告の“本性”と、法廷で問われた″いじめ被害″の実際《江別・大学生集団暴行死》
6月25日、知人の八木原亜麻被告らとともに、当時大学生だったXさんに暴行を加えて死亡させたうえ、現金やカードを奪うなどした罪に問われた川村葉音被告(21)に懲役30年の有罪判決が言い渡された。
【写真を見る】川村葉音被告と八木原亜麻被告の高校時代の卒アル写真。亡くなったXさんの卒アル写真や、卒業文集で綴られた直筆なども
弁護側は裁判を通じて、川村被告はあくまで主犯格とされる川口侑斗被告に同調しただけと主張。一方で札幌地裁の高杉昌希裁判長は「主導したとは言えないが犯行をけん引していた」と指摘し、断罪した。
"集団心理"や同調圧力が生んだとされる惨劇。しかし、事件の要因は本当にそれだけだったのか。後編の記事では、同級生らの証言をもとに川村被告の人物像を振り返る。【前後編の後編。前編から読む】
川村被告は事件前、江別市の私立大学に通い教員を目指していた。高校の同級生Aさんによれば、川村被告は高校2年生か3年生の時に学級委員長に立候補したという。
「誰もやりたくない中、1人だけ立候補していました。多分、立場上はクラスの上に立てるからでしょう。本当に目立ちたいという承認欲求が強い人でした。
先生にたてついたり、悪ぶっていたのも注目されたい一心でやっていたのだと思います。実際、周りは冷めていたけど……。
たとえば、いわゆる"一軍女子"がいないと自分の立場が上になるから教室で騒いだり大声を出したりする。でもその子たちがいると、とたんに静かになるんです。自分のポジションをはっきりさせる人なんですよね」
Aさんが続ける。
「リーダーのような立場」
「2〜3人、つるんでいる女性がいましたけど、彼女が騒いだり暴言を吐いている時はその子たちの顔がいつも引きつっていた。そのなかではリーダーみたいな感じで、上か下を気にしている様子でした。物言いもけっこう上からで、かわいそうだった」
この証言は、事件の川村被告の人物像とも重なる。これまで報じたとおり、川村被告は事件当夜、暴行の場に共犯者5人を集める"仕切り役"のような立場で、知人の八木原被告以外はみな年下の少年だった。リーダーのような立場への自負が、川村被告に優越感を抱かせ、犯行を助長したとも考えられる。
"目立ちたがり"だったという証言がある一方、公判で川村被告の弁護側は「高校でいじめにあっていた」と主張した。証言によれば被告は知人から靴を隠されたり、机やノートに「死ね」などと書かれたことで、父親に自殺をほのめかしたこともあったという。
川村被告の父親は情状尋問で、「(娘には)殴られたら殴り返せと教えた」と述べている。娘がいじめ被害を訴えていたことを信じたうえで、流されないように気持ちを強くもってほしい--父親の言葉にはそういった意図があったとされる。
しかし、前編で高校3年間を被告とともに過ごしたAさんとBさんが証言しているように、高校時代の"いじめ被害"は校内において周知の事実ではなかったようだ。Bさんは「全てが被害妄想だとは言い切れませんが……」と言葉を選びながらこう語る。
「たとえば階段から突き落とされたりとか、暴力行為があったとしたら、絶対に校内で噂が回ってるし。彼女はそういうのにも巻き込まれてないし、少なくとも校内では暴力行為を見たことがないです。自己中心的なスタンスで、感情を抑えきれていないようなことが多かったので、周りから避けられていると解釈してしまったのかもしれません」
検察官からの問いかけには無言で…
検察官も公判で、"いじめ被害"が被告に与えた影響について言及している。事件当日、Xさんへの暴行が始まって数分後にはXさんはすでにうずくまって動けない状態だった。川村被告はこれについて、「今なら心配な状態だとわかる」と述べたが、検察官に厳しく追及された。
検察官「事件のときと今と、何が違うんですか」(被告人質問より、以下同)
川村被告「考えるようになりました。事件のときは、深く考えることがあまりなくて」
検察官「場の空気を読まずにいじめられていた高校の経験から、(物事をよく)考えるようになっていたのでは」
川村被告「……」
検察官「高校のときから、人からどう思われるかを気にしていたのではないですか」
川村被告「人目は気にするようになっていました」
今年の10月で事件から2年を迎える。取材班は判決前、被害者のXさんの幼なじみの女性にも話を聞いた。女性が過去を振り返って話す。
「小学生なのにめっちゃ字がきれいだったのが印象的です。『字が綺麗だね』って言ったら、『ありがとう』って照れながら笑っていたのを覚えています。シャイであまり喋らなかったんですよね。本当にみんなから尊敬されていました。とにかく何でも出来るイメージ。頭良いだけじゃなくて運動もできる人でした。私も『天才じゃん』って思っていました。
(被告たちには)無期懲役や死刑を与えてほしい。長時間、暴行を受けて亡くなったと知って、かわいそうだし、苦しかったんだろうなって。もう会えないのがすごく寂しい。天国でゆっくり休んでほしいです」
6月25日、高杉裁判長は判決言い渡しの後、川村被告らに向けてこう語りかけた。
「君たちがやったことは被害者、被害者遺族の人生を一変させる、とんでもないことをしました。答えのない質問かもしれませんが、生涯かけてずっと、逃げずに問いかけてください」
Xさんの命を弄び、死に追いやった川村被告ら。法廷で問われたことに対する、自分なりの"答え"が出たとしても、罪そのものが消えることはない。
(了。前編から読む)
