交代によって生まれた新たな右サイドのユニットが、オランダ守備陣に継続的な負荷を与え続けたのだ。

 日本の勢いを受け、オランダも対抗策を講じた。81分、ロナルド・クーマン監督は左利きCBのネイサン・アケーを投入。4-3-3から5-4-1へとシステムを変更し、日本のサイド攻撃を抑え込もうとした。

 これは、日本の2トップ気味の形に加えて、右サイドが脅威になっていたことの裏返しでもある。だが、それでも日本の流れは止まらなかった。

 84分に投入された塩貝健人は「負けている状況で流れを変えてやろうという気持ちで入った。チームのために走ろうと思った」と語り、「前からの守備が自分の役割。それができなかったら、出ている意味がない」と力強く話した。短い出場時間ながらも、その献身的な守備は日本が最後まで押し込まれずに戦う助けとなった。
 
 日本の攻撃の圧力はさらに強まり、オランダ陣内でプレーする時間が増えていく。森保監督は「攻撃のギアが上がって、得点に結びつけた。圧力を上げていけた」と振り返る。その言葉通りの展開となった。

 オランダは疲労の見える左ウイングのコディ・ガクポに代えて、重量級FWのブライアン・ブロビーを投入。これに伴い前線の中央で途中出場していたメンフィス・デパイをガクポのいた左に回したが、同サイドの守備強度はさらに下がり、日本のサイドアタックが活性化した。

 そして迎えた88分。日本は右サイドの攻撃からCKを獲得。伊東のCKから小川が得意のヘッドで合わせたボールは鎌田大地の頭をかすめてゴールに吸い込まれた。

 決定的な仕事に絡んだ伊東も「途中から出る選手は重要。短い時間でどれだけ結果を出せるかが大事」と語っている。
 
 森保監督の“三枚替え”は、単に疲労した選手を入れ替えるためのものではなかった。右サイドに新たな推進力を与え、攻撃の矢印を前へ向け、オランダに守備変更を強いるほどの圧力を生み出した。その圧力がCKを呼び込み、同点ゴールへとつながった。

 試合の流れを作ったスタートのメンバーの働きや、二度、追いついた粘り強さはもちろん称賛に値するが、この試合を振り返る時、勝点1を引き寄せた最大の分岐点として記憶されるのは森保監督の決断であり、ゲームチェンジャーとして期待に応えた交代選手たちの働きだった。

取材・文●河治良幸

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