【A4studio】憧れの高級住宅地「田園調布」と「成城」の凋落…もはや富裕層に選ばれなくなった理由

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セレブの街「田園調布」と「成城学園前」の陥落

かつて東京で憧れられていた“セレブの街”が揺らいでいる。

東京都大田区の「田園調布」と東京都世田谷区の「成城学園前」。

なんと今年の「SUUMO住みたい街ランキング」(首都圏版)で田園調布は200位、成城学園前は189位となっており、長年、東京屈指の人気高級住宅地として君臨してきた両エリアが、下位に陥落してしまっているのだ。

10年以上さかのぼると、2012年の「SUUMO住みたい街ランキング」(関東版)で田園調布は25位にランクインしており、2015年の同ランキングでも田園調布は41位、成城学園前は52位。東京近郊の人気エリアがひしめく群雄割拠のランキングのなかで上位に名を連ねていた。

しかし、2017年の同ランキングでは田園調布は95位、成城学園前は100位と大きく順位を落としており、凋落傾向が出ていたことがわかる。

そして田園調布の2018年以降のランキング(首都圏版)を追っていくと、2018年が120位、2019年が137位、2020年が94位、2021年が155位、2022年が150位、2023年が135位、2024年が166位、2025年が142位と推移し、前述したとおり2026年はとうとう200位までダウン。

成城学園前も2018年以降の同ランキングで、2018年が138位、2019年が122位、2020年が145位、2021年が122位、2022年が169位、2023年が157位、2024年が169位、2025年が153位と推移し、2026年は189位まで下がってしまっている状況だ。

憧れの高級住宅地だった街にいま何が起きているのか。今回は不動産評論家の牧野知弘氏に解説していただいた(以下、「」内は牧野氏のコメント)。

“ブランド住宅地”の原点だった

そもそも、田園調布と成城学園前は、なぜこれほどまでに高級住宅地として特別視されてきたのか。牧野氏はまず、両エリアが誕生した時代背景に注目する。

「田園調布も成城学園前も、いわゆる“初期のニュータウン”なんです。大正時代、東京郊外に新たな田園都市を造ろうという発想から東京への人口集中が進むなかで、郊外に良質な住宅地をつくろうという発想から発展した街でした。特に田園調布は東急東横線、成城学園前は小田急線という、当時の人気私鉄沿線に位置していたことも、街のブランディングに大きく影響していました」

富裕層や芸能人が住む街というブランドイメージが強い両エリアだが、もともとは高度経済成長期のサラリーマン層に向けて開発された住宅地だったそうだ。

「田園調布と成城学園前は街の構造もかなり似ています。どちらも歴史ある郊外型高級住宅地で、街並みが整い、閑静で敷地も広い。“成功したら住みたい街”としてブランド化していったんです。特に田園調布は区画が非常に大きく、イギリスの邸宅街を参考にした街づくりも行われていましたし、当時としては最先端の理想的な住宅地でした」

課題にみえる「共通点」

一方で、牧野氏は両エリアが現在抱える課題にも共通点があると指摘する。

「現在、両エリアとも高齢化がかなり進んでおり、かつて憧れの高級住宅地とされた郊外型住宅地では、同じように人気が落ちているケースが少なくありません」

ただし、同じ東京の高級住宅地でも、松濤(渋谷区)、白金(港区)、麻布(港区)のような都心の街とは事情が異なるという。

「松濤や白金、麻布エリアは、都心部に近く、富裕層の需要が途切れにくいんです。一方、田園調布や成城学園前は、“郊外に理想の住宅地をつくる”という時代の価値観のなかで生まれた街だったこともあり、現代のライフスタイルの変化の影響を受けやすいのです」

タワマンが変えた“富裕層の価値観”

では、田園調布や成城学園前の高級住宅地のブランド力の衰えは、いつ頃から見え始めたのだろうか。

「昭和から平成にかけては、特に地方出身の成功者にとって、田園調布や成城学園前のような高級住宅地に広い家を構えることが成功の象徴でした。しかし、バブル崩壊後は共働き世帯の増加などによって価値観が大きく変化し始めます。

そして平成後半にはライフスタイルそのものが変わっており、“広くて静かな郊外生活”よりも“便利で合理的な都心生活”が重視されるようになっていきました。この頃が田園調布や成城学園前のブランド力が下がり始めた転換点だったのでしょう」

その価値観の変化を決定づけたのがタワーマンションの存在なのだとか。

「いまの富裕層は、利便性や合理性を重視し、タワーマンションに価値を感じる傾向があります。私はこれを“現代の天守閣需要”と呼んでいますが、タワマンは建物そのものにステータス性があり、管理も任せられる。防犯性も高く、庭の手入れも必要ありません。つまり、かつて田園調布や成城学園前のような高級住宅地が担っていた“憧れ”や“ステータス”を、いまはタワマンが代替するようになっているのです」

【つづきを読む】高級住宅街「田園調布」「成城」で高齢化が加速…いま「住みたい街」に訪れている変化

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