日本のインフラはどんな問題に直面しているのか…老朽化が深刻な「道路の行方」

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日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?

注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。

(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)

鉄道構造物の建設の変遷と現状

道路橋以外のインフラの現状として、鉄道と下水道に焦点を当てて、掘り下げてみてみましょう。

鉄道整備の歴史は道路より古く、明治政府の殖産興業政策の一環として進められました。新橋〜横浜間が1872年に開業したことに端を発しますので、150年以上の歴史があります。

土木学会の鉄道事業者を対象としたアンケート調査結果によると、2020年時点の営業線の長さは2万4425キロメートルに上っています。また、鉄道橋梁数は約10万橋あるとされています。

建設年代別の橋梁数を見てみると、鉄道橋は今から100年以上前の1920年以前にすでに1万4000橋もかけられていることがわかります(図表1-6)。その後、戦時下で徐々に建設数は減りますが、戦後とともに急増し、1960年代から1970年代の高度経済成長期に再び建設のピークを迎えることになります。その後、現在に至るまで徐々に建設数は減ってきています。

鉄道の場合は、戦前と戦後に二つの山があることが特徴です。この点が高度経済成長期に急速にネットワークが整備された道路など他のインフラとの大きな違いです。

この傾向について、見方を変えると鉄道橋の経年数と橋の数で整理することができます(図表1-7)。鉄道橋はすでに80年以上経過したものが多数あり、120年を超えるものも存在する。鉄道事業者はこうした構造物を地道なメンテナンスにより支えてきた歴史があるのです。

一方、もう一つのピークは、経年50年から59年の高度経済成長期に架けられた橋です。全体として平均経年は64.6年で、コンクリート構造物の寿命の目安である「50年」を大きく超えている。ただ、あちこちで老朽化に伴う不具合が生じているかと言えばそうでもありません。

このあたりの実績からも、適切にメンテナンスすることで構造物の寿命を50年から100年へと延命化させることは可能と言えます。老朽化が問題となっている道路などのインフラは、鉄道に学ぶことが多いのです。

鉄道構造物の多くは長らく日本国有鉄道(国鉄)によって管理されていましたが、1987年に分割民営化されました。この点も国や都道府県、市区町村が管理している道路との大きな違いです。

現在、鉄道構造物の維持管理については、2007年に「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編)」が制定され、これに基づいて管理がなされています。これによって、2年に1回の周期で、鉄道の橋梁、トンネルその他の構造物に対する通常全般検査がおこなわれることになりました。道路構造物の定期点検の周期は5年に1回ですから、大きく異なります。

さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。

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