「親を責めるつもりはないが…」年収400万円・28歳サラリーマンの嘆き。親の「学費は心配するな」から一転、まさかの事態で〈奨学金肩代わり〉終了のお知らせ
大学進学時、父親から「学費は何とかする」という話をされ、自分名義で約400万円の奨学金を借りたTさん(28歳)。約束通り、就職後は父親が返済を肩代わりしていましたが、突然倒れたことで事態は一変します。親の援助が途絶え、残額約300万円を急遽自分で返済することに。貯金に回していたお金は返済に消え、将来への不安を抱えることになった20代男性の事例を紹介します。
「学費は心配するな」奨学金の返済を親が肩代わりも…
「大学に入るとき、親父から『学費は何とかするから心配するな』といわれていました。だから、自分が400万円もの借金を抱えているという実感はまったくなかったんです」
都内のメーカーで営業職として働くTさん(28歳)。年収は約400万円です。Tさんは一人暮らしの生活費をやりくりしながら、将来の結婚やいざというときのために、毎月少しずつ貯金をする堅実な生活を送っていました。
Tさんは私立大学に進学した際、自分名義で約400万円の奨学金を借りていました。しかし、約束通り卒業後は父親が毎月約2万円の返済を肩代わりしてくれていたため、Tさん自身が奨学金を意識することはほとんどありませんでした。
ところが半年前、実家の父親が突然倒れたとTさんのもとに連絡が入りました。幸い命に別状はなかったものの、後遺症が残り、仕事への復帰は難しい状態になってしまったのです。
「母から電話がかかってきて、『お父さんが働けなくなったから、これからは奨学金を自分で払ってほしい』といわれました」
もちろん父親が心配なのが一番でしたが、「これから毎月2万円を自分が払うのか」という不安も頭をよぎったそうです。
貯金に回していた2万円は奨学金返済に
Tさんの奨学金の残額は約300万円。返済期間はまだ10年以上残っています。親からの援助が途絶えた今、自分の収入から毎月2万円を返済していくことになりました。
「急に毎月2万円の出費が増えるのは正直きついです。これまでは貯金もできていたんですが、今は奨学金の返済でカツカツですね」
将来的に結婚を考えているTさんにとって、300万円の借金を抱えたままパートナーを探すことにも、少し引け目を感じるようになってしまったといいます。
「親を責めるつもりはありません。でも、もし最初から自分が払うとわかっていれば、もっと学費の安い国公立大学を目指すとか、学生時代から返済のための貯金をしておくとか、違う選択ができたのになって。少しだけ考えてしまうんです」
親の思いやりから始まった奨学金の肩代わりは、予期せぬトラブルによって、結果的にTさんの生活に負担を強いることになってしまいました。
奨学金を親が肩代わりする場合、気をつけたい「贈与税」リスク
奨学金を借りているのは学生本人であっても、卒業後に親が返済の全額または一部を肩代わりしているケースは一定数存在します。日本学生支援機構(JASSO)の調査でも、返還を延滞している人のなかには「親等が返還すると思っていた(59.2%)」と回答する人が多く、当初から親が負担する前提になっている家庭も少なくありません。
子どもの負担を減らしたいという親心は素晴らしいものですが、親子間で奨学金の返済資金をやりとりする際には注意すべき点があります。それが「贈与税」の問題です。奨学金の返済義務はあくまで契約者である「子ども本人」にあるため、親が肩代わりする行為は贈与とみなされる可能性があります。
毎月数万円ずつの援助であれば通常は課税されませんが、「退職金で300万円を一括返済する」など、年間110万円の基礎控除枠を超える大金を一度に援助した場合は、贈与税の申告・納税が必要になるケースがあるため注意が必要です。
Tさんのように親の急病などで返済が難しくなるリスクも含め、親が奨学金を援助する場合は、万が一の事態を想定して親子でしっかり話し合い、正しい知識を持っておくことが大切です。
[参考資料]
日本学生支援機構(JASSO)「令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」
