乃木坂46 梅澤美波 卒業へ 桜井玲香・秋元真夏から続くキャプテン像を背負い、“孤独”の先に見つけた誇り
乃木坂46 梅澤美波がグループからの卒業を発表した。4月発売の41stシングル『最後に階段を駆け上がったのはいつだ?』をもって乃木坂46としての活動を終え、5月21日に東京ドームで行われる『乃木坂46 14th YEAR BIRTHDAY LIVE』で卒業コンサートを開催する。
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■後輩の成長を見届けた決断、世代交代の渦中で足元を整えた功績
「大切な後輩たちの姿を眺めながら、みんながより自信と欲を持ち始めてくれたなと思った今、卒業を決めました」と綴ったその一文からは、寂しさよりも、次へと想いを託す決意が伝わってくる(※1)。振り返れば、梅澤がキャプテンに就任した2023年当時、乃木坂46は世代交代の途中にあった。梅澤はその渦中で、先輩たちから受け取ったバトンを落とさずに握り直し、グループの足元を整える役割を担ってきた。その間に、5期生や6期生は経験を重ね、いまやグループの中心を担う存在へと育っている。そうした成長の背景に、梅澤美波というキャプテンの存在が大きかったことは疑いようがない。だからこそ今回の彼女の卒業は、ひとつの大きな区切りであると同時に、次の世代が真に前に出るタイミングがきたことを告げるものでもある。
乃木坂46のキャプテンは、常にグループの精神的支柱であり続けてきた。初代キャプテンの桜井玲香は、結成初期の不安定な時期の中でも、包み込むような存在感でグループをまとめ上げた。完璧ではないからこそ愛されるリーダー像は、“乃木坂46らしさ”と呼ばれる柔らかな空気を形づくる土壌に。2019年にバトンを受け取った秋元真夏は、最後の1期生として世代交代の荒波の中に立ち続けた。自らが前に出るだけでなく、後輩の背中を押し、時に矢面に立つ。『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』での卒業コンサートで見せた笑顔と涙は、責任を全うした者の表情だったとあらためて思う。歴代キャプテンはいずれも声高に引っ張るというよりも、隣に立ち、支え、さまざまな場面で覚悟を示してきた。その姿勢が、乃木坂46というグループの在り方そのものを象徴してきたと考える。
そのバトンを受け取ったのが、3代目キャプテンの梅澤だ。2023年2月、副キャプテンから正式にキャプテンへ就任。秋元の右腕としてグループを支えてきたぶん、役割の重さも最初から痛いほどわかっていたのだろう。2nd写真集『透明な覚悟』(光文社)では、就任当時を振り返り、「正直言うと、キャプテンをやることになった当初は本当に不安でした。乃木坂が好きだという自信はめっちゃありましたけど、『かといって私にキャプテンが務まるのか?』というプレッシャーがすごくて」と胸の内を明かしている。「乃木坂46が好きだ」と断言できるからこそ、そこでつまずくわけにはいかない。そんな気持ちが、重圧として彼女にのしかかっていた。
■言葉の重みと向き合った日々、最後に見せた「今の自分が好き」という光
ライブ前の円陣で何を伝えるか、リハーサルでどんな言葉をかけるか。梅澤は、自分の一言がメンバーの気持ちをよくも悪くも動かすかもしれないということを、ずっと意識していた。『透明な覚悟』でも、「私の言葉で気分が上がる子もいるかもしれない、変わらない子もいるかもしれない。下がっちゃう子もいるかもしれない」と語っていたように、言葉の重さに敏感になっていった過程を明かしている。
その緊張感がピークに達したのが、『乃木坂46 12th YEAR BIRTHDAY LIVE』の頃だった。「このライブが失敗したら、それは私が失敗したからだ」と、キャプテンの責任を自分ひとりで抱え込んでしまうこともあったという。それでも本番では、そうした不安や葛藤を表に出すことなく、ステージの上では強くいることを選び、“頼れる”キャプテンであり続けた。
そうした葛藤を経て、梅澤が口にしたのが、「キャプテンになって得ることができた最大の強さは、自分が孤独であることを引き受けられるようになったこと」という言葉だ。メンバーに支えられているのは確かでも、キャプテンの重圧や判断の怖さは、結局その立場にいる本人が引き受けるしかない。そこから逃げずに受け止めたことで、梅澤の中でキャプテンという役割がようやく地に足のついたものになっていったのだろう。そんな梅澤が「キャプテンになる前の自分よりは、キャプテンになった今の自分のほうが好きです」と言ったのを聞いたとき、正直ほっとした自分がいた。おそらく乃木坂46のファンもそうだろう。あれだけ悩んで、抱え込んで、それでも立ち続けた時間が、最後にはしっかりと本人の中で報われている。そう思わせてくれる言葉だった。
桜井が築いた優しさがあり、秋元が守り抜いた愛がある。そのバトンを受け取った梅澤は、先輩たちが繋いできたリーダー像を受け継ぎながら、責任を持って言葉と背中でグループを支えてきた。後輩たちはその姿を間近で見ながら、“キャプテン”という役割の重さだけでなく、背負い方や向き合い方まで受け取ってきたはずだ。その姿勢は、これからの乃木坂46がどんな形に変わっていこうとも、簡単には失われないだろう。乃木坂46はここから、また新しい局面へ進んでいくが、梅澤がキャプテンとして積み重ねてきたものは、これからのグループを支える土台になっていくのだと思う。
※1:https://www.nogizaka46.com/s/n46/diary/detail/104407?ima=0519&cd=MEMBER
(文=川崎龍也)
