年末年始に実家へ帰省し、「ものが多いな…」と感じた方も多いのではないでしょうか。つい「片づけない?」「捨てたら?」と声をかけたくなりますが、それが親とのケンカの火種になることも。ライフオーガナイザーの尾花美奈子さんも、実家の片づけに悩んだひとりです。今回は、両親の機嫌を損ねずに手放しが進んだ、実家片づけの“最初の一歩”を教えてもらいました。

実家片づけで最初につまずくのは、「もったいない」の壁

私が実家の片づけを始めるきっかけとなったのは、父の他界後、母が自分の生前整理を意識し始めたことでした。父の遺品整理を進める中で、母自身も自分の持ちものや、長年かけて家に入ってきたたくさんのものの存在が気になり始めたようです。

【写真】きれいに片づいた尾花さんの実家

ただ母は、「片づけたい」という気持ちはあるものの、高齢で体力的に片づけを進めるのは難しい状況でした。

一方で、片づけたい気持ちにブレーキをかけていたのが「もったいない」という思いです。「まだ使えるかもしれない」「いつか必要になるかもしれない」と考えると、簡単には手放せないのです。

母の世代にとって、ものを大切に使いきることは当たり前で、美徳でもあります。その価値観を否定せずに、どう向き合って進めていくか。実家の片づけは、その難しさを抱えながらスタートしました。

親がものを手放しやすい声かけは、「持って帰っていい?」

そこで私が意識したのは、母が「もったいない」と感じにくそうなものから手をつけること。どれもこれも、まったく使われていなかったものです。

・未使用の食器や重複しているカトラリー

・大量に保管されていた便箋や封筒

・1度使われた包装紙やリボン

・ボタンや糸

・テレフォンカード

そして、声のかけ方を工夫しました。「捨てれば?」「使っていないでしょ?」ではなく、「これ、持って帰っていい?」と聞くようにしたのです。ポイントは、「すぐに捨てるわけではない」という姿勢を示すこと。片付けにおいては、「ものよりも所有者の気持ちを優先」させるべきと思います。

持ち帰ったあとに実際に使ったものもあれば、どうにも使いみちがなく処分したものもありますが、一度実家から離したことで判断しやすくなったと思います。

実家の片づけは「今を生きる親の気持ち」を第一に考えて

実家の片づけで最初に手放したものは、どれも小さなものばかりでした。家全体の物量から見れば、1%にも満たないかもしれません。それらを手放したからといって、見た目や量が劇的に変わるわけでもありません。

それでも、子どもの立場としては、将来訪れるかもしれない「実家じまい」を思い浮かべ、少しでも減らしておいてほしいと考えてしまいます。

けれど、その考えを優先しすぎるのはタブーだと感じました。というのも、あくまで私はサポート役であり、主役は「今そこに住まう人」、つまり母です。

母の気持ちが穏やかであること、転倒などのリスクが減って安全に暮らせることが最優先。未来の自分の都合を、今を生きる親の気持ちよりも優先させてはいけないと、自分に言い聞かせています。

母の世代は「物を活かしきることが美徳」の世代。だからこそ、ほんの少しでもものを手放せたなら、それは十分がんばっている証だと思います。

実家の片づけを通して、自分自身の持ちものや価値観も見直していきたいと感じました。