2025年の年間ランキング記事を振り返ります。【2025年健康部門2位】に輝いたのはこちらの記事でした。

「老眼かな?」と思ってメガネを新調したのに、眼鏡をかけてもよく見えない、目を休めてもスッキリしない。こういった悩みを抱えている人は、必ずしも老眼(加齢現象)だけが原因とは限りません。「緑内障」という目の病気も、初期症状として見え方がぼやける、物が二重に見えるといった症状が現れることがあります。緑内障は、放置すると失明の危険性もあるため、早めに眼科を受診することが大切。そこで、真鍋眼科院長で眼科医、緑内障専門医・真鍋佑介先生に緑内障予防になる「目を守る秘訣」を聞きました。

※ 記事の初出は2025年2月。価格や年齢など、記事の内容は執筆時の状況です。

一生目が見えるために、大切な目を守る4つの秘訣

目は私たちの知覚する情報の8割を担っていると言われ、目から入る情報が生活の質を大きく左右すると真鍋先生は言います。

「現代社会では、パソコンやスマートフォンの長時間使用、不規則な生活習慣など、目に負担をかける要因が増え、さまざまな眼疾患(がんしっかん)のリスクが高まっています。それにもかかわらず、眼科へ行かない人が多いのです。ものもらいやはやり目など、感染性の炎症であれば自覚症状があるのですが、そのほかの眼疾患は気づかないまま進行してしまうことが多いです」(以下、すべて真鍋先生)

そこで真鍋先生に、目の健康を守るために心がけてほしいことを4つ教えてくれました。

●1:定期的に眼科検診へ。早期発見・早期治療が、失明を防ぐ

「目になにの異常もなかったとしても、40歳を過ぎたら1年に1回は眼科検診を受けるようにしてください。

「40歳は、加齢によって目に不具合が出始める節目です。すでに強度近視の人や血縁者に緑内障患者がいる人は、年齢に関係なく早めに眼科検診を受けることを推奨します。緑内障をはじめ、眼疾患にかかる可能性が高いからです」

●2:目に良い食事習慣を。日々の食事から変えていく

「体は食べたものからつくられます。目はとくにビタミン、ミネラル、カロテノイド、脂質(DHA、EPA)の影響を受けます。目は光(紫外線)の刺激を受けやすく、また酸化ストレスに非常に敏感です」

●3:適度な運動・睡眠を。血流を促進し、自律神経を整える

「目は血管や血液の状態、ストレスに敏感です。適度な運動は全身の血行を促進し、目に必要な酸素や栄養素を届けやすくします。さらに、血糖値を下げる効果、眼圧を下げる効果、抗酸化酵素の働きを高める効果なども期待できます。睡眠も、目の疲労回復やストレスの低減に関わります」

●4:適切な治療に取り組むため、目薬や手術について知る

「現在では眼疾患に対する治療法が発展してきました。目薬や手術も日々進化しています。それらを、医師の助言に従って、適切に施していくことが大事です」

「緑内障」は早期発見が大事!日々進化する眼疾患の検査方法

眼科での検診を受けると、視力検査や眼圧検査のほかにも、目の内部を詳しく観察する検査を行います。

1つは「細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査」。

「暗くした室内で光を目に当てて、眼球の中を観察するものです。角膜、前房(ぜんぼう)、虹彩、水晶体、硝子体の状態を見ることができるので、炎症が起こっていないか、濁っていないかなどをチェックしていきます」

もう1つは「眼底(がんてい)検査」。

「こちらは目の“底”となる部分を見ていきます。網膜や、脳につながる視神経の束(視神経乳頭(にゅうとう))やカメラのフィルムに該当する網膜、その中でとくに大切な黄斑部(おうはんぶ)、血管の状態を見る検査です。視神経が弱くなっていないか、黄斑の構造は正常か、血管が狭くなっていたり、出血していないかなど様々な観察を行います」

この2つの検査は目の状態をチェックするのに欠かせないものです。これに加えて、網膜の状態をより詳しく検査する方法があります。

「『OCT検査(光干渉断層(ひかりかんしょうだんそう)検査)』という、網膜に近赤外線を照射して、その反射から網膜の断層図を作成する検査です」

「検査では、細かな網膜の状態を映し出すことができます。この検査によって、まだ視野欠損が始まる前の段階である「前視野(ぜんしや)緑内障」という初期段階の緑内障を見つけられるようになりました。無治療だと平均6年ほどで視野異常がでるとされているため、診断された時点で治療を始めることが多いです」

「緑内障」と「白内障」はまったく別の病気

「緑内障」は、文字だけで見れば白内障と似たものだと勘違いしがちですが、まったく別の病気です。

白内障は水晶体が濁ってくる病気であるのに対し、緑内障はその水晶体を通った光が当たる部分、網膜にある視神経に障害が起きる病気だと、真鍋先生は解説します。

「その主な危険因子は『眼圧(がんあつ)』です。眼球の前方部、水晶体と角膜の間には『房水(ぼうすい)』という液体が流れていて、眼球内の圧力を調整しています。眼圧は健康診断でも測定するもので、正常値は10〜21mmHgの範囲と言われています。

この房水の流れがなんらかの原因で阻害されて眼圧が上昇すると、目の奥にある視神経が圧迫されて傷ついてしまいます。すると視神経の傷ついたところは光を処理できなくなり、視野が欠けていってしまうのです」

ところが、緑内障の視野欠損は初期だと自覚症状がほとんどありません。多くの緑内障は、視野の周辺部から徐々に狭まっていく傾向があり、中心部は比較的最後まで残ります。このため視野が狭まっていることに気づきにくく、緑内障を放置してしまい、症状が進行し、眼科を訪れたときには末期…ということが多いのです。

「緑内障」は日本での中途失明原因第1位。でもきちんと治療しすれば大丈夫

現在、日本人の中途失明原因1位がこの緑内障です。中途失明に至った人の4人に1人は緑内障が原因なのです。

「痛くもかゆくもなく、自覚症状も出にくいので、緑内障はなかなか早期発見・早期治療ができません。視野障害が進み、視野の欠損が中央部に及んでから初めて『見え方がおかしい』『視力が落ちたかも?』と感じ始めます。

緑内障は視神経が障害を受ける病気なので、現代の医療では回復させる手段がありません。緑内障が末期になると、治療効果が限定的になるため、予後が悪くなる傾向があります。しかし、早期発見し、きちんと治療をすれば、99%失明することはありません」

緑内障のほとんどは、10年以上をかけてゆっくりと進行していきます。早期発見し、治療を継続できれば、視神経へのダメージを減らし、緑内障を食い止めることができます。

「先に緑内障の危険因子は『眼圧』だと言いましたが、日本人の約7割は眼圧が正常値なのにもかかわらず緑内障になってしまう『正常眼圧緑内障』です。健康診断でも眼圧を測定されることがあると思いますが、眼圧が正常値であれば緑内障ではないとはまったく言えませんのでご注意ください」

定期的な眼科通院と毎日の目薬が重要

定期健診のなかで、法律で定められた目の検査は、視力検査だけ。視力検査だけでは目の状態はなにもわかりません。

眼科ではOCTという精密機械があり、非常に早い段階で緑内障を見つけることができます。早期に緑内障を発見し治療を開始すれば、視野欠損を自覚することなく過ごせている方も少なくありません。

「大切なのは、定期的に眼科へ通院し、毎日目薬をさすこと(点眼)。しかしこの点眼治療を途中でやめてしまう人が多いのが実情です。点眼治療を開始して、3カ月で3割が脱落。1年で4割が脱落。2年経つと治療を続けている人は半分になってしまいます。

点眼をやめてしまうと、もちろん緑内障の進行は早まってしまいます。点眼は毎日行う必要がありますし、目薬はさし心地のよいものではありません。それに、緑内障は治療の効果を感じにくく、視野欠損がひどくなければ自覚症状もありません」

緑内障となってしまった人は、点眼治療を習慣にすることをオススメします。