ヘイリー・ビーバーに続け エレウォン 発・ブランド認知を変えるスムージー・コラボ戦略

記事のポイント
エレウォン発のスムージーコラボが全米に拡大し、ブランド認知施策として定着している。
カウボーイ・コロストラムなど新興ブランドが、限定ドリンク施策で売上と認知を大幅に伸ばしている。
メイクアップ・バイ・マリオのラテ施策に見られるように、美容と飲料の融合が新たな体験型マーケティングを生んでいる。
ヘイリー・ビーバーのスムージーがエレウォン(Erewhon)の有名なトニックバーで発売されてから、すでに3年以上が経過している。
数え切れないほど多くのインフルエンサーやセレブリティ、モデルたちも同様にコラボを行っており、もちろんエレウォンをはじめ、プレスド・ジュースリー(Pressed Juicery)、ジュース・プレス(Juice Press)、バターフィールド・マーケット(Butterfield Market)、サンライフ・オーガニクス(SunLife Organics)など多くの店舗がこの流れに参加している。
そして10月23日、メイクアップ・バイ・マリオ(Makeup By Mario)が、ロサンゼルスのダイアログ・カフェ(Dialog Café)2店舗で「マリオズ・シュールスキン・ラテ(Mario’s SurrealSkin Latte)」を発表した。
この記事のためにGlossyが話を聞いたブランドの多くは、このトレンドがやや飽和状態にあることを認めながらも、すべてが参加意欲を示していた。
カウボーイ・コロストラム、スムージー投資で急成長
ウェルネス系ブランドのなかには、カウボーイ・コロストラム(Cowboy Colostrum)のように、スムージーや飲料、そして最近ではプロテインボウルとのコラボレーションを通じて成長を遂げている企業もある。
カウボーイ・コロストラムは2024年1月にローンチし、そのわずか1カ月後には、ソフィア・リッチー・グレンジ氏のスウィート・チェリー・スムージー(Sweet Cherry Smoothie)がエレウォンで採用された。
エレウォンでは、ブランドがスムージーの原材料リストに載るために費用を支払う仕組みになっており、カウボーイ・コロストラムの共同創業者ジェシー・シェンフェルド氏は、その投資を「これまででもっとも価値のあるマーケティング支出だった」と語った。
非公開情報筋によると、エレウォンはスムージー参加費としておよそ4万ドル(約600万円)を請求しており、参加ブランドはエレウォンの店舗で販売されている商品である必要がある。
リッチー・グレンジ氏のスムージーは、2024年2月19日から3月19日までの販売期間中に1万5000杯以上を売り上げた。同期間中、カウボーイ・コロストラムは約700件弱の注文を受け、前月比で120%の増加を記録した。
さらに3月19日から4月19日の期間にも、同様に120%成長した。「我々の初期の勢いの大部分はエレウォンのおかげといわざるを得ない」とシェンフェルド氏は語った。
ピュラ・ビダとのコラボで3万杯を販売、夏限定から定番化へ
2025年の夏、カウボーイ・コロストラムはプラ・ビダ(Pura Vida)と協業し、「ストロベリー・マッチャ(Strawberry Matcha)」を展開した。このドリンクは、同社が運営する全36店舗で販売された。
当初は6月限定の予定だったが、「販売が爆発的だった」とシェンフェルド氏は述べた。
「1週間以内に、プラ・ビダは夏のあいだメニューに残すことを決定した。最終的に3万杯以上のストロベリー・マッチャが販売された」と語った。
プレスド・ジュースリーとの新展開、リアル店舗で存在感を強化
現在、カウボーイ・コロストラムはプレスド・ジュースリーと提携し、「カウボーイ・コロストラム・ボウル(Cowboy Colostrum Bowl)」を通じて、さらに高い認知度を得ようとしている。
このブランドは、全米10州で100店舗以上を展開する同ジュースチェーンのウィンドウデカール(窓用ステッカー)でも紹介される予定だ。
「実際の店舗に存在するということが、人々に『このブランドは単なるインスタグラム上で宣伝されているものではない』と理解させてくれる」と共同創業者のステフ・ストイコス氏は述べた。
「そこに実際に人間がいて、運営していると感じられるのだ」と語った。
アブソープション・カンパニー、サンライフとのコラボでSNS効果を実感
アブソープション・カンパニー(The Absorption Company)は、特定のウェルネス効果(睡眠、リラックス、エネルギーなど)を目的とした粉末サプリメントを販売するブランドであり、最近ではスムージーショップのサンライフ・オーガニクスと共に、3月に初登場した「カーム・ダウン・スムージー(Calm Down Smoothie)」を再発売した。
同社のマーケティング担当バイスプレジデント、グレース・ヴェリル氏によると、3月当時と現在では目標がやや異なるという。当時は顧客獲得が主目的だったが、現在はブランド認知の向上が狙いだという。
同ブランドの共同創業者4名のうち2名は、俳優のイアン・サマーホルダー(インスタグラムフォロワー2530万人、「ロスト」および「ヴァンパイア・ダイアリーズ」で知られる)と妻で女優のニッキー・リード(同390万人、「トワイライト」シリーズで知られる)である。
10月6日、サマーホルダーはサンライフのUSC店舗でイベントを開催し、350人以上の顧客が来店して「カーム・ダウン・スムージー」を試飲した。
これらのコラボレーションにおいて、消費者にとっての魅力のひとつは、SNSで共有できる点にあるのはいうまでもない。
シェンフェルド氏は「ヘイリー・ビーバーのスムージーの場合、購入する理由の半分は『それを試してみた、行ってみた』とSNSで投稿するためである」と語った。
これらのコラボレーションが期間限定であることも、店舗への集客を促す要因だと、サンライフ・オーガニクスのオペレーション兼ブランドマネージャーであるユアン・フランコ氏は述べた。
「我々はそれぞれのコラボを『10月末までの限定販売』として宣伝している」と彼は説明した。
コラボの成果とマーケティング指標の変化
ヴェリル氏によると、3月にはアブソープション・カンパニーのSNSエンゲージメントが25%増加し、SNSインプレッションは11%増、さらに「カーム」サプリメントの新規顧客への販売が6%増加したという。これらはいずれも前月比の数値である。
また、ブランドのECサイトへのオーガニックトラフィックやクリック数、コンバージョン率も上昇した。3月に販売されたスムージーにはブランドのWebサイトへ誘導するQRコードが付いていた(10月版には付いていない)。
ヴェリル氏によると、このQRコード経由で購入した顧客は、ほかのチャネル経由の顧客よりもライフタイムバリュー(LTV)が高かったという。
同社はサンライフに対してコラボ料を支払っておらず、むしろ相互利益のあるパートナーシップである。サンライフ側は、サマーホルダー氏とリード氏がスムージーを宣伝してくれる恩恵を受けている。
一方、フランコ氏は、コラボ先のブランドには共同マーケティングへの積極的な姿勢を求めているという。
「インスタグラムでのコラボ投稿は非常に重要である。これが進行条件のようなものである。我々はまだSNSでのプレゼンスを高めようとしているので、新しい層にサンライフを知ってもらうよい方法である」と述べた。
サンライフのインスタグラムフォロワー数は9万7000人、アブソープション・カンパニーは23万2000人を抱えている。
これまでのところ、フランコ氏によるとアブソープション・カンパニーはサンライフ史上2番目に成功したコラボであり、もっとも成功したのはジュエリーブランド「ケンドラ・スコット(Kendra Scott)」とのコラボだったという。
メイクアップ・バイ・マリオ、ラテで『飲めるコスメ』を提案
前述のメイクアップ・バイ・マリオのラテについては、同ブランドが9月4日に発売した「シュールスキン・ナチュラル・フィニッシュ・ファンデーション(SurrealSkin Natural Finish Foundation)」をプロモーションする目的で企画されたものである。
「この製品は、あなたのお気に入りのラテと同じカラースキームを持っている」と、同ブランドのCMO、オスカー・チャブロウスキー氏は語った。
「我々はクラフトマンシップ(職人技)を信じている。アート性を信じている。処方技術を信じている。我々は化粧品の処方に心血を注いでいるし、ダイアログ・カフェも同じようにコーヒーや料理のレシピに心を注いでいる」と述べた。
さらに、ニューヨークを拠点とするブランドとして、このパートナーシップはメイクアップ・バイ・マリオがロサンゼルスのコミュニティにより深く関与する機会にもなった。
このラテにはバイタル・プロテインズ・スキン・コンプレックス(Vital Proteins Skin Complex)が使用されており、コラーゲンペプチドとビタミンCが配合されている。これにより、ファンデーションと飲料のあいだに「スキンケア成分」という共通点が生まれている。
期間限定で、ダイアログ・カフェの顧客は7ドル(約1100円)のラテを購入すると、メイクアップ・バイ・マリオの「ソフト・ポップ・ブラッシュ・スティック(Soft Pop Blush Stick)」のミニサイズ(16ドル=約2500円相当)を受け取ることができる。
メイクアップ・バイ・マリオは、この施策を通じてダイアログ・カフェの顧客をセフォラ(Sephora)に誘導し、新しいファンデーションのシェードマッチ(色合わせ)を体験してもらうことを狙っている。
セフォラのセンチュリー・シティ、ビバリー・ドライブ、アメリカーナ、ザ・グローブの各店舗で新ファンデーションを購入した顧客には、さらに特典が用意されている。
このパートナーシップの成功を測定するために、メイクアップ・バイ・マリオはアーンドメディア価値(EMV)およびセフォラ店舗でシェードマッチを行った人数を指標として分析する予定である。
ラテとのコラボは、ブランドをライフスタイル領域へと広げる効果もあると、同ブランドのグローバルマーケティング担当シニアディレクター、ジェナ・フランケル氏は述べた。
「ダイアログ・カフェは、トレンドに敏感でアクティブな顧客を自然に引き寄せる。つまり、このパートナーシップを通じてメイクアップ・バイ・マリオは健康的なバランスを求める顧客層のなかに入っていけるのだ」と彼女は語った。
なお、ダイアログ・カフェの2号店はロサンゼルスのエクイノックス内にある。
コラボブームは継続、次なる体験マーケティングを模索
こうしたコラボレーションの流れは、今後も衰える気配がない。しかし、マーケターたちはすでに次の一手を考えている。
「スムージーの次に来るものが必ずある。そして、その『次』を見つけ出すのは我々である」とヴェリル氏は語った。
「人々に次にどんな体験をしてもらいたいのか、それをどう実現し、我々のブランドミッションを前に進めるのか。そして同時に、どうやって注目を集めるのか。それを考えている」と述べた。
[原文:The smoothie (and bowl and coffee) collab has caught on far beyond Erewhon]
Sara Spruch-Feiner(翻訳、編集:藏西隆介)
