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コンセプトカーとの違い

注目のEV、新型『BMW iX3』が発表されました。『ノイエ・クラッセ』(新しいクラスの意味)と名付けられていたコンセプトカーをティザーとしていた様に、BMWとして大変重要なクルマだということが伺えます。ソフトウェアなどが大幅に進化しているようですが、デザインもこれまでのBMWとは異なるアプローチがあります。

【画像】小さくなったキドニーグリル!新型BMW iX3と文中に登場する関連モデルたち 全24枚

新型iX3のデザインは、2024年に発表された『ビジョン・ノイエ・クラッセX』というコンセプトカーを忠実に再現されていますが、実はドア断面に大きな違いがあります。


新型BMW iX3(上)とコンセプトカー『ビジョン・ノイエ・クラッセX』(下)。    BMW

コンセプトカーのデザインは、ドア面に前後フェンダーが乗っている構成になっているのですが、それを表現するため下部のキャラクター線をドア断面のピーク(上面から見て最も車体外側)にしており、窓の下にショルダーらしいボリュームはありません。

ただ、フロントとリアまわりのピークは通常のSUVらしくランプあたりの高いところにあるので、ドア面だけピークが下というこのチグハグさがどうも気になっていたんです。

それが市販版のiX3では、ショルダー部分にしっかりとしたピークがあります。もしかしたらドアハンドルのスペースなど設計的にこうしないといけなかったのかもしれませんが、これで前後との辻褄があい、より一体感のあるデザインになりました。

しかし逆にいうと普通のSUVデザインになったわけで、私としてはコンセプトカーのドア断面を生かして前後のボリュームをドアに合わせたらどうなったのかと想像してしまいます(ちなみに似たような構成ですと、KIAのEV3あたりが統一感あるデザインになっています)。

いずれにしても一般的なカーデザインにとってのドア断面は、前後の立体を繋ぐ重要な役目があり、繋がって見えないと一体感に欠け魅力がなくなります。

面白いボリュームの顔まわりだが

新型iX3の顔まわりは、1961年に発表されたノイエ・クラッセのように小型で縦長のキドニーグリルと、そこから横に伸びてヘッドランプを包括するグラフィックで構成されています。さらにサイドシルエットでもBMWの伝統にならって明確に逆スラントになっており、その下のバンパーと合わせて造形的に面白いバランスをしていると思います。

みなさんご承知のとおり、キドニーグリルは近年大型化の一途でした。元々迫力を出すのに不利なデザインだと思っていましたが、メルセデスやアウディなどがどんどん大きくなる中、市場の要望も踏まえそうせざるを得なかったのでしょう。


コンセプトのデザインが忠実に再現されている中で、ドア断面が異なることに注目。    BMW

その反動からか、iX3のキドニーグリルはこれまでと比べると大変ミニマルなデザインになっています。一般的にグリルのデザインというのは、特にプレミアムブランドでは顔の統一感において重要になってきますが、ここまで車種によって大きさのバリエーションがあるのはBMWだけかもしれません。

BMWの次世代EVは全てこのデザインになるのか、それともセダン版のコンセプトカー『ビジョン・ノイエ・クラッセ』のように、グリルとランプを一体にしてくるのか、注目されます。

さて、全体的な印象はクリーンで好感が持てるものですが、ややもっさりとしたプロポーション自体がBMWらしくなく、この顔まわりが活かされていない気がしています。写真で見る限りですが顔まわりが高すぎるのか、ボディとのボリューム感が異なるように思えるんですね。逆スラントのデザインがボディにやや繋がって見えてない印象を持ちました。

デザインの統一性のなさは転換点か

どうも現在のBMWデザインは、ディレクションに2面性があるように思います。ひとつは新型『X3』や少量生産車であるクーペ『スカイトップ』のように、シンプルかつ大胆な造形をしているデザインです。

私は新型X3を見て、久しぶりに良いデザインのBMWだなと思いました。プロポーションに個性があり、また大胆な立体構成でBMWには珍しくリフレクションの変化を活用したサイドの立体だったり。丸い印象は好みが分かれるところではありますが、『意図が伝わる』デザインだと思います。


本文では触れなかったが、インテリアの方がシンプルかつ大胆な造形をしている。このノリでエクステリアをデザインしたらどうなったか?    BMW

もうひとつは5シリーズや2シリーズなどのように、プロポーションよりディテールの大胆さや複雑さに目がいくデザインです。こちらは伝統的なBMWのデザインとは異なり、ディテールが目立つので意図を感じづらいんですね。今回のiX3はシンプルではありますが、私は後者の方だと思うんです。

理由は、全体のデザインにおいてやはり意図が見えづらいからです。逆スラントのフロントありきだとすれば、もっとそれを活かすデザインがある気がします。最近BMWではデザインディレクターの交代があったので2面性はその影響かもしれませんが、今後デザインの方向性はどのようになっていくのでしょうか。

個人的にBMWのEVで印象に残ったクルマは『i3』です。コンパクトでしかも背が高いパッケージにも関わらず、抜群のプロポーションと個性がありました。このクルマが発売されたのは2013年と、すでに12年経ってますが、今でも街中で見ると思わず目を追ってしまいます。

当時はデザインが奇抜だと言われていましたが、今見てもよく出来たデザインだと思うんですね。iX3が12年後どのように見えるのかが気になるところです。