記事のポイント
インフルエンサーのデジ・パーキンス氏が育てたスキンケアブランドがセフォラに進出した。
D2Cで5年間かけて丁寧に成長させたブランドが、SNSとコミュニティ支援を武器に拡大している。
多様性が問われるなか、ラテン系創業者として小売展開に挑む姿勢が注目を集めている。


インフルエンサー界において、デジ・パーキンス氏はパイオニア的な存在である。彼女は、偶然バイラル化したメイク動画をきっかけにYouTubeでキャリアをスタートさせた。

2020年には、手頃な価格帯のサングラスブランド「デジ(Dezi)」を立ち上げ、翌年にはスキンケアブランド「デジスキン(Dezi Skin)」を発表。最初の製品はビタミンCセラム「クラロ・ケ・C(Claro Que C)」で、メキシコ産のプラム果実、アサイーベリー、タマリンド、マンゴー、サワーソップ、グアバ、アボカドといった天然素材を含む独自ブレンド「デジ・ユース・ジュース(Dezi Youth Juice)」が配合されていた。

セフォラでのローンチと主力製品



それから5年後、パーキンス氏は同ブランドをセフォラ(Sephora)でローンチする。まずはオンライン限定での展開となる。

Glossyの取材に対して、パーキンス氏は「セフォラでの発売は長年の目標だった」と語りつつ、「ブランドをD2Cでじっくり育て、セフォラのような小売パートナーに対応できるよう準備する必要があった」と説明。

「ブランドを成長させ、創業者としての自分を確立するための時間が必要だった。すべてのできごとには、そのタイミングがある」と振り返った。

セフォラでの取り扱い製品は、ブランドの主力となる5アイテムで構成されており、これらを組み合わせることでシンプルなスキンケアルーティンを完結できる。

ラインアップは、2種のクレンザー「キャンバス・ジェントル・デトックス・クレンジングジェル(Canvas Gentle Detox Cleansing Gel)」と、「スキン・ソー・バーム・メイクアップ・メルティング・クレンジングバーム(Skin So Balm Makeup-Melting Cleansing Balm)」。後者はアルアー(Allure)誌のベスト・オブ・ビューティを受賞し、ブランドのD2Cサイトではすでに完売となっている。

そのほかには、「クラロ・ケ・C ビタミンCグロウセラム(Claro Que C Vitamin C Glow Serum)」「アグア・フレスカ・サースト・クエンチング・ジェルクリーム・モイスチャライザー(Agua Fresca Thirst Quenching Gel-Creme Moisturizer)」、そしてパーキンス氏のお気に入りでもある「ピンクネクター・スクワラン・オイルセラムドロップス(Pink Nectar Squalane Oil Serum Drops)」が含まれる。

「急がない」姿勢がブランドの信頼を築く



「パーキンス氏は、いわゆる金儲け目当てのインフルエンサーではない。彼女はブランドを自分から切り離す意識を持っており、決して急がない」と語るのは、インディ系ビューティブランドのインキュベーターであるマジック・ダスク(Magic Dusk)を運営するダニエル・キヨイ氏だ。

マジック・ダスクは、デジスキンのほか、ヘアケアブランド「メイン・アイビー(Mane Ivy)」やメイクアップブランド「オーリック・コスメティクス(Auric Cosmetics)」などの開発も手がけている。

「すべてに時間をかけており、製品開発も例外ではない。完璧になるまで彼女はリリースしない。すべてのパッケージがカスタム仕様で、サプライチェーンも正直かなり複雑だ」とキヨイ氏は述べる。

キヨイ氏は、この忍耐力こそがパーキンス氏の成功をあと押ししている要因だと考えている。「多くのインフルエンサーは、派手なローンチを望んでしまう。5年かけてブランドを築き、小売展開にいたる例はまれだ。たいていは急ぎすぎて失敗する。話題にはなっても、ブランドとして持続的な成長が見込めず、セフォラの期待にも応えられない」と指摘する。

デジスキンは、セフォラでのローンチ後、8月5日にクリエイターやブランドの熱心な支持者を対象とした小規模イベントを開催予定である。マーケティング施策は、ブランドおよびパーキンス氏本人のSNSチャネルを中心に展開される。

現在、ブランドのインスタグラムフォロワー数は13万3000人、TikTokフォロワーは8800人。一方、パーキンス氏本人のインスタグラムフォロワーは420万人、TikTokでは63万人を超えている。さらに、インスタグラムのブロードキャストチャネルを活用して、ローンチに関する最新情報も発信する計画である。

クリエイターブランドの成功と失敗の分岐点



パーキンス氏は、セフォラにおけるラテン系創業者のひとりとして、同社の厳選されたブランドの仲間入りを果たすこととなった。その顔ぶれには、レア・アン・シルバ氏によるビューティブレンダー(Beautyblender)、ババ・リベラ氏のセレモニア(Ceremonia)、そしてセレーナ・ゴメスのレア・ビューティー(Rare Beauty)などが含まれる。

一方で、クリエイター主導のブランドはセフォラにおいて苦戦してきた歴史もある。アディソン・レイ氏のアイテム・ビューティ(Item Beauty)や、ハイラム・ヤーブロ氏のセルフレス・バイ・ハイラム(Selfless by Hyram)は、かつてセフォラで展開されていたが、現在は販売終了となっている。前者はすでに事業を終了し、後者は自社のECサイトのみでの販売に移行している。

そのような状況のなか、マーリアナ・ヒューイット氏とローレン・アイアランド氏による「サマーフライデーズ(Summer Fridays)」、パトリック・スター氏の「ワンサイズ・ビューティ(One/Size Beauty)」などは、成功事例として際立っている。

今回のセフォラでのローンチは、ビューティブランドにとって経済的に厳しいタイミングでもある。最近では、ブラックオーナーによるメイクアップブランド「アミ・コレ(Ami Colé)」が閉鎖を発表し、業界における多様性の持続可能性に疑問が投げかけられている。

実店舗展開に向けた声と透明性の重要性



こうした背景を踏まえ、パーキンス氏は、セフォラの実店舗でデジスキンを展開するためにはコミュニティの支援が不可欠だと訴えている。「自分たちのような存在をもっと見たいなら、それを応援することが必要だと、いつもコミュニティに伝えている」と語る。

セフォラのオンラインよりも自社のD2Cサイトで販売したほうが利益率は高いが、それでもセフォラで売上を出すことが重要だと考えている。「それは、リテーラーに対して『顧客が求めているのはこれだ』という明確なメッセージになる。長期的には、それが実店舗展開につながる道を開く。その声をもっと届けていきたい」と述べた。

また、パーキンス氏は、いまやブランドと顧客とのあいだには透明性が不可欠な時代になったとも指摘する。「もはや、物事の仕組みを黙っている時代ではない。『応援したいなら、こういう形でしてほしい』としっかり伝えなければならない」と語った。

そして彼女は、自身のフォロワーがそのメッセージに応えてくれると信じている。「私のコミュニティは、どのフェーズ、どの変化、どの新しい挑戦にも、いつもついてきてくれるもっとも心強い存在だ」。

2020年のブランド立ち上げ以来、デジスキンは毎年成長を続けており、2025年現在では前年比55%の成長を記録している。ブランドは今後も慎重にリテール展開を拡大していく方針であると、広報担当者は述べている。

[原文:Exclusive: Dezi Skin is the latest influencer-founded brand to hit Sephora]

Sara Spruch-Feiner(翻訳、編集:藏西隆介)