【アニメ大先生】夏になるとなぜサマーウォーズが恋しくなるのか
本コラム『アニメ大先生』は、「人生で大切なことはすべてアニメが教えてくれる」をテーマに、アニメを通じて得られる学びや気づきを綴る連載である。
記念すべき第1回は、アニメ愛にあふれる人気アナウンサー・森 遥香氏が登場する。森氏が語る「アニメ大先生」からの教えとは――。
まさかの、アニメージュプラスでアニメコラムを執筆させていただくことになりました。
学生時代、友人と雑誌のページを捲るたびに学校の廊下で奇声を上げていた一介のオタクが。同窓会でもネタにされてしまったくらい周りには奇怪に思われていたようなので、その時の羞恥心がやっと供養された気持ちです。
コラム1作目は何をとり挙げようか迷ったのですが、この季節ならではの現象について考えてみることにしました。
地上波で再放送される都度、SNS上での盛り上がりも夏の風物詩になりつつあるサマーウォーズ。終盤の健二の名セリフ「よろしくお願いしまぁぁぁす!」は「バルス」並みに叫ばれるし、理一の「ちょっと言えないとこ」発言はラブマシーンのごとく私たちの心を乗っ取り、タイムライン上のあちこちから悲鳴が聞こえる。
そんなお祭りのごときインターネットの一体感からなのか、はたまた作品から漂う古き良き夏休みの空気感からなのか、夏になるとなぜか無性にサマーウォーズが恋しくなる。きっとそれは私だけではないはずだ。
2009年8月1日に公開されてから今なお、繰り返し見ても飽きないのは、様々な魅力が織り交ぜられていることはもちろん、見るたびに新しい気づきがあるからかもしれない。
例えば、昔は直美(万助の長女)の「私は自分の意思で独身を選択しているのよ!」の一言にこれほど激しく共感することもなかった。初めて映画を見たのは大学生の時だったから、それはそうである。
いい大人になってしまった今見返すと、大家族で集まった時に感じる少しの居心地の悪さや煩わしさを含めて、細田守監督は血の通った家族の絆をリアルにありのままを描いていた。陣内家の人々は理一や侘助などの例外を除いて、ほとんどが普通の人で、いたってありふれた大家族なのである。それがまた一段と郷愁を呼び起こす。
実際、私も子供の頃は、夏休みの一時を父方の旧家で過ごしていた。お盆と正月にしか会わない万助や万作のようなおじさんはいたし、テレビはずっと甲子園がついていたし、正直、母の手伝いや親戚の子供たちのお守りは面倒だと思うこともあった。
でも、そう言えば、みんなで縁側に座ってぬるいスイカの種を飛ばしたり、手持ち花火を振り回して怒られたり。世界の危機を救わなくとも、特別な夏を過ごしていたんじゃないかと、サマーウォーズは思い出させてくれた。
栄おばあちゃんのような曽祖母が亡くなってからは、寂しいことに親戚一同で集まることもなくなってしまった。
あの夏はもう二度とやって来ない。分かっているからこそ、私や、もしかすると多くの人にとってノスタルジックな存在になってしまったサマーウォーズが恋しくなるのかもしれない。陣内家は私たちに残された帰省先なのだ。
今を必死に生きていると、日常の中で子供の頃を思い出す暇はほぼない。けれど、サマーウォーズは見る人に「普通の家族と普通に過ごしたなんてことない夏」を愛おしいと気づかせてくれる作品だと私は思う。
公開からちょうど16年後にあたる今夜、金曜ロードショーで再放送される予定だ。あなたが思い出す夏は、どんなありふれた特別な夏だろうか。
【関連写真】陣内家モデルの真田三代になりきる森さんをチェック!
外部サイト
関連情報(BiZ PAGE+)
-
アクスタ,
アクリルキーホルダー,
カンバッジ,
声優
