7回、田村は中前打を放つ(撮影・佐々木彰尚)

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 「練習試合、侍ジャパン5−0広島」(5日、SOKKENスタジアム)

 広島・田村俊介外野手(21)が5日、“侍撃ち”で打撃改良の成果を示した。野球日本代表「侍ジャパン」との練習試合に「3番・一塁」でフル出場し、清水から中前打。今秋は選球眼向上に注力しており、それを快音につなげてアピールした。一塁守備も首脳陣から合格点を与えられ、来季の定位置獲りを目指して鍛錬を積んでいく。

 しぶとく中前に抜けた打球は、今秋のレベルアップに向けた推進力となる。確かな手応えをつかんだ田村が、侍戦士たちを相手にした実戦の場で存在感を発揮。「けっこう、いい感じかなと思う部分もあった。もっともっと伸ばしていきたい」と納得顔を見せた。

 七回先頭。今季リーグ3位の39ホールドポイントを挙げた中日・清水のカーブをはじき返し「うまく対応できたし、反応で手が出せた」と中身の濃い快音を振り返った。

 今季は自身初の開幕スタメンをつかむも、2度の2軍降格。自己最多37試合に出場するも、打率・198で5打点と1軍で結果を残す厳しさを肌で感じた。その経験を踏まえ、今秋は新たな取り組みに着手している。

 それは打つポイントを投手側の「前」ではなく体の近くに寄せる点。狙い球を直球に絞ると、低めの変化球を振らされてしまう傾向があったと自己分析。「なるべくボールを見る時間を長くしていくこと」に注力し、この日も実践した。安打は1本だけだったが、それ以上に本人が自信を深めた打席が二度あった。

 二ゴロに倒れた初回はフルカウントからの5球目。さらに七回終了後に行われたタイブレークの練習では、2死一、三塁から四球を選んだ。2球で追い込まれながら際どいコースを見極め、ファウルで粘りながら出塁に成功。「きょうは3ボールも2回ありましたし、選球眼としては良くなってきているかな、というのはある」。打力向上へのプロセスは、確実に良化の兆しを示している。

 本職は外野ながら、フェニックス・リーグからは高校時代に経験のある一塁にも挑戦。タイブレークの練習では無死一、二塁で古賀の犠打を素早く処理して三塁封殺。「1軍に一日でも多くいるためには、できた方がいい。ファーストもしっかりアピールしていきたい」と意気込み、新井監督も「動きは合格点。ファーストにいても違和感はない」と評価を与えた。

 3月には侍ジャパン強化試合のメンバーとして選出されており、この日は井端監督の元へあいさつ。見据えるのは来季のレギュラー奪取で「全部の試合に出て自分が打って流れを持って来られる、そういう選手になりたい」と田村。攻守にわたるアピールを続け、飛躍への土台を固めていく。