日本橋"5つ星ホテル"「550円朝食」に呆然とする朝

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日本橋にある5つ星ホテル・マンダリンオリエンタル東京。お得なモーニングセットは550円からとなっています(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんの連載第99回は、「マンダリンオリエンタル東京」をご紹介します。

ファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップ。飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが朝メニュー、いわゆる「モーニング」です。

なんと当コラム「チェーン店最強のモーニングを探して」が、次回でついに連載100回を迎えます。普段はなるべく身近だったり、お得だったりするモーニングメニューを紹介しているのですが、今月はちょっとスペシャルに、ホテルのモーニングをめぐります。

今週は日本橋にある5つ星ホテル「マンダリンオリエンタル東京」の朝食をご紹介します。「さぞやお高いんでしょうね」と思われた方もおられるかもしれませんが、実はさにあらず。意外や意外、モーニングセットが500円台からという、超お手頃価格なんです。

実はお手頃価格!? マンダリンオリエンタル東京のモーニング

「マンダリンオリエンタル東京」の1階、路面沿いにある「ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ」はベーカリー兼オープンカフェといった雰囲気のセルフオーダースタイルの店舗です。

【画像17枚】「日本橋の超一等地なのに最安550円から」「味もボリューム感も最高!」…。マンダリンオリエンタル東京の超得モーニングはこんな感じ

平日は朝8時30分から10時30分、土日祝日は朝9時30分から10時30分までモーニングセットを販売しています。


日本橋の三井本館横、大通り沿いのテラス席で朝食を(筆者撮影)

価格別にABC3種類のセットがあり、各セットとドリンクからそれぞれ1品を選んでオーダーします。


モーニングセットのメニュー表。結構、種類が豊富です(筆者撮影)

・Aセット:クロワッサン/パンオショコラ/マフィン/スライスバナナブレッド/マドレーヌ
イートイン税込550円 テイクアウト税込540円

・Bセット:ハムチーズクロワッサン/シュークリーム/パネットーネ
イートイン税込880円 テイクアウト税込864円

・Cセット:おにぎり弁当/ガストロノミコサンドウィッチ/クロックムッシュ
イートイン税込1320円 テイクアウト税込1296円

セットドリンクは以下の6種類です。

・コーヒー
・紅茶
・マンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティー
・フレッシュオレンジジュース
・フレッシュグレープフルーツジュース
・ベジタブルジュース

5つ星の味をお得に味わえるうえに、ほどよくカジュアルで利用しやすいこともあり大人気で、筆者が利用した日曜の朝9時40分頃には、オーダーカウンターに10人ほどの行列ができていました。

マンダリンオリエンタル東京モーニングAセット 特大クロワッサンとホットコーヒー

「マンダリンオリエンタル東京」名物の特大クロワッサンにホットコーヒーを組み合わせた、モーニングAセットは、税込550円。


マンダリンオリエンタル東京モーニングAセット 特大クロワッサンとホットコーヒー550円(筆者撮影)

コーヒーを単品で購入すると、それだけで税込550円です。そこに単品価格税込385円のクロワッサンがついているので、本来935円のセットを約40%オフで食べられているという計算になります。


ボリューム抜群、特大サイズのクロワッサン(筆者撮影)

1.5個分ぐらいは軽くありそうな手の平サイズのどでかいクロワッサンは、シンプルなパンゆえに、素材の良さが際立ちます。サイズは大きいけど大味じゃない、繊細なおいしさです。

外は卵黄でツヤツヤに輝き、中は気泡たっぷりでふわふわ。パンの外側を舌でなでるとツルン、かじりつくとザクっとした皮の歯応えが楽しい。生地は小麦の甘味とバターの塩気のバランスが良く、ふわもちの食感、バターの香りは控えめで、上品な味に仕上がっています。


クロワッサンの断面。気泡がたっぷりでやわらかくもっちりした食感(筆者撮影)

コーヒーは酸味も苦味も控えめでマイルドな味わい。「香り高い」と表現するのがぴったりな、一流ホテルならではの華やかなコーヒーを、紙コップでカジュアルにいただきます。

マンダリンオリエンタル東京モーニングBセット 秋味パネットーネとマンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティー

税込880円のモーニングBセットは、4分の1カットサイズのパネットーネと、マンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティーの組み合わせでいただきました。


マンダリンオリエンタル東京モーニングBセット パネットーネとマンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティー880円(筆者撮影)

パネットーネはイタリアの菓子パンで、発酵生地にドライフルーツを練り込んだもの。クリスマスの時期に輸入食品店やコストコでホールで販売しているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。


パネットーネは4分の1カットでボリュームもたっぷり(筆者撮影)

「マンダリンオリエンタル東京」では、パネットーネを通年販売しています。季節ごとの味わいに仕上げられており、今回食べたパネットーネの中には、ナッツやレーズンに混じってマロングラッセが入っていました。

深まる秋を感じるパネットーネは、おいしさはもちろんのこと、気持ちも豊かにしてくれます。ふんわりと甘いパネットーネのてっぺんには、しっとり甘いクッキー生地がかかっていて、底にはみっしりとドライフルーツが沈んでいました。


パネットーネの断面。ドライフルーツは底にたっぷり沈んでいました(筆者撮影)

飲んで驚いたのが、マンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティーです。紅茶だと予想して注文したのですが、紅茶にしては妙に色が薄く黄色っぽいので、おそるおそる飲んでみると、口の中に華やかな香りが広がりました。

調べたところ、最高級ウーロン茶をロンガンとベルガモットで香りづけしたものだそう。ウーロン茶のさっぱりとした味わいと、ベルガモットの柑橘系の爽やかなフレーバーは、唯一無二の味です。

マンダリンオリエンタル東京モーニングCセット ガストロノミコサンドウィッチとフレッシュグレープフルーツジュース

マンダリンオリエンタル東京のモーニングセットで唯一1000円をオーバーするのがCセットです。


マンダリンオリエンタル東京モーニングCセット ガストロノミコサンドウィッチとフレッシュグレープフルーツジュース1320円(筆者撮影)

税込1320円で、ガストロノミコサンドウィッチとフレッシュグレープフルーツジュースを組み合わせました。


全種類違う味のサンドウィッチは、具材も個性的です(筆者撮影)

断面も美しい、全種類違う味のサンドウィッチ

最初はおにぎり弁当を注文したのですが、なんとすでに売り切れており、仕方なくサンドウィッチにしたのですが、これがすごかった。ランチボックスに入った5切れのサンドウィッチのすべてが違う味だったのです。

食材も味の組み合わせも凝っていて、断面もカラフルで美しいのです。「こんな手の込んだサンドウィッチ食べたの初めて」と大興奮してしまいました。


薄切りした生マッシュルームたっぷりのたまごサンド(筆者撮影)

かぼちゃとそぼろのサンドは、秋ならではのほっくりした優しい味。たまごサンドはトリュフオイルで味付け。サイドには薄切りの生マッシュルームがたっぷり入っていて、シャキシャキコリッとした食感と芳醇なきのこの香りでいただきます。

パプリカとズッキーニに、輪切りのオリーブが入ったサンドは、大人のサラダ味。パプリカとズッキーニは焼かれており、甘味と旨味がしっかり感じられました。


パプリカとズッキーニのサンドほか、カラフルで美しいサンドウィッチが詰まっていました(筆者撮影)

ツナとレッドオニオンのサンドウィッチは、レッドオニオンがピクルスになっていて小技が効いています。辛味は控えめかつ酸味がプラスされ食べやすい。そして、ツナそのものがおいしい。

ロースハムとクリームチーズのサンドは、まろやかで濃厚なクリームチーズと、塩気控えめで肉の旨味がぎゅっとつまったロースハムの優しいコントラストがお見事です。


ハロウィンシーズンにぴったりの、かぼちゃとそぼろのサンド(筆者撮影)

フレッシュグレープフルーツジュースは、冠にフレッシュとついているだけあり、小さな種が入っていたり、底のほうに果肉が沈んでいたり、薄皮の風味まで感じられるみずみずしい味わい。濃縮還元のジュースにはない爽やかな果実を感じさせるジュースです。

「まるでグレープフルーツをそのまましぼったようだなぁ」と思いながら飲みました。

財布に優しい6つ星ホテルの極上モーニングセット

歴史的名建築と、それを模した石造りのビルが建ち並ぶ、美しい街日本橋のど真ん中、国の重要文化財である三井本館の隣に「マンダリンオリエンタル東京」はあります。


テラス席から見える景色。レトロな石造りのビルが建ち並ぶ(筆者撮影)

当記事を読んで、「マンダリンオリエンタル? そんなホテルチェーンあったっけ?」と思った方もいるかもしれません。

マンダリン・オリエンタルホテルグループは、世界各国に高級ホテルを展開しているのですが、実は日本には「マンダリンオリエンタル東京」1店舗のみ。しかも、2006年には史上初の6つ星の称号を獲得しています。宿泊料金は大人2名で1泊15万円以上。


上:ホットコーヒー、左:フレッシュグレープフルーツジュース、右:マンダリンオリエンタルオリジナルブレンドティー(筆者撮影)

筆者はホテルの格とかはよくわかっていないのですが、とにかくすごいありがたみです。そんなありがたい「マンダリンオリエンタル東京」で、500円台で朝ごはんが食べられる、しかも下手したらカフェ併設のパン屋さんのモーニングセットよりも安いぐらいの価格帯。

とにかくすごいお得感ということで、「マンダリンオリエンタル東京」のモーニングセットは大人気です。日曜日の朝、オーダーカウンターには行列ができ、テラス席のテーブルはあっという間に埋まっていきます。


紙皿と紙コップだけど贅沢。味もロケーションもお値段以上の満足度でした(筆者撮影)

年齢層はさまざまですが、おしゃれした女性客が多めで、見事に日本橋の街の景色に溶け込んでいます。

「この後三越本店や高島屋でお買い物するんだろうなぁ。ステキな休日だなぁ」とか、ぽつりと交じるインバウンドっぽい外国人ファミリーを見て「マンダリンオリエンタルに宿泊しているセレブなのかしら?」とか、おいしい食事を頬張りながら想像たくましくなる朝です。

【画像を拡大して見る】マンダリンオリエンタル東京の超得モーニングはこんな感じ

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)