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被相続人が所有していた不動産、自動車は、相続人への名義変更の手続きが必要です。また預貯金も解約ではなく名義変更することが可能です。しかし、名義変更に必要となる書類は多く、手続き自体もかなり煩雑です。具体的な手順について見ていきましょう。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。

親が所有していた不動産を相続することになったが…

不動産の名義変更を行う場合は、相続登記が必要になります。建物と土地の所有権を被相続人から相続人に移転させるための登記です。

不動産の登記は、法務局でおこないます。所有権を移転させる場合、通常は「所有権を渡す人」と「受け取る人」が共同で申請しなければいけないのですが、相続の場合は所有権を渡す人はすでに亡くなっていますから、所有権を受け取る相続人が単独で申請することができます。

遺言がなければ、遺産分割協議書を作成しなければなりません。相続人全員で実印を押すことになるので、全員の印鑑証明書も必要です。

また戸籍謄本と住民票も用意してください。住民票は相続登記しようとする不動産を相続する人だけで問題ありません。相続関係説明図も作っておく必要があります。そして土地または建物の登記簿謄本と固定資産税評価証明書が必要です。

不動産の名義変更の必要書類 

〈いずれか準備すべきもの〉

●遺言書ありなら…遺言書

●遺言書なしなら…遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書

〈必ず提出するもの〉

●被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

●被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

●すべての相続人の戸籍謄本

●不動産を相続する相続人の戸籍謄本

●土地または建物の登記簿謄本(登記事項証明書)

●固定資産評価証明書

●登記申請書

〈司法書士に依頼する場合に必要となるもの〉

●司法書士に委任する場合は委任状

相続登記が完了すると、登記完了証と、登記識別情報通知書がもらえます。

親の愛車の名義変更はどうすれば…?

不動産のほかに自動車の名義変更をする場合には、新たに所有者となる相続人の住所地を管轄する運輸支局で手続きしますが、自動車保管場所証明書を取得してから1ヵ月以内に手続きしなければなりません。

廃車にするにしても、いったん相続による名義変更が必要になります。

必ず必要になるのが遺産分割協議書です。相続人全員で実印を押すことになりますので、全員の印鑑証明書を揃えなければなりません。あとは戸籍謄本と住民票です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と住民票の除票、そして、すべての相続人の戸籍謄本です。

また自動車関連の書類としては自動車検査証、保管場所証明書が必要です。あと、運輸支局のホームページから申請依頼書をダウンロードして記入してください。

自動車の名義変更の必要書類 

●自動車検査証

●相続人の自動車保管場所証明書

●申請依頼書

●手数料納付書(検査登録印紙を添付)

●自動車税申告書

●代理人に委任する場合は委任状

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)