公明党の提出原案に強く反発した熊谷俊人千葉県知事(写真・共同通信)

写真拡大

 10月30日、千葉県知事の熊谷俊人氏がXを更新した。

《いったい何回目の給付なのか。市町村職員に多大な負荷をかけるのは止めて頂きたい》

 この投稿で引用されているのは、「石破首相の総合経済対策、公明党の提言原案が判明…物価高克服へ給付金支給を求める」という10月30日に読売新聞オンラインで配信された記事だ。公明党は、低所得世帯や年金生活者を対象に1世帯当たり10万円を支給する案を政府に提出するという。

 熊谷知事は続けて

《国の都合で何度も配りたいなら、市町村から住民データを時限的に集め、国で一元的にするべきと以前から主張していますが、全く検討されていません》

《低所得者への現金給付について、同じ事務にも関わらず市町村を集めて説明会を行い、市町村毎に事務フローを整理し、民間事業者に委託発注する、この無駄と負担をまだ続けるのでしょうか》

《DXや最高裁判例に詳しくない大臣や国会議員が、国で一元的に仕事をしたくない役人に、最高裁判例を引き合いにした、できない理由を説明され、それを鵜呑みにしている状況です。10万円配る度に事務費に巨額の税金が使われています。 今後も選挙の前に現金を給付するのでしょうから、いい加減、市町村を巻き込まず国の責任で事務をして頂きたいと思います》

 と連続投稿。何度も繰り返される「無駄と負担」に対し、苛立ちを顕わにしている。

「コロナ禍における給付金事業では、多額の事務費用がかさんだことが指摘されています。2022年8月の東京新聞の記事によれば、おもな10事業にかかった事務費は6756億円。このうち2980億円は民間委託された分で、事務が多重下請けになったものもあり、費用が膨張したということです。

 また、自治体職員の負担も問題です。全ての国民が対象となった2020年の特別定額給付金事業では、窓口となった市区町村の事務負担が過大となった結果、多くの自治体で手続きの遅延が起きたことを覚えている人も多いはずです」(社会部記者)

 この熊谷知事の投稿に対し、Xでは

《これはほんとその通り。全市町村職員の気持ちを代弁してくれている。特に給付金担当者は涙ものでしょ》

《本当にこれ。職員の負担もそうだし、一時的な給付金で物価高が状況が好転する訳ではない。抜本的な経済政策を》

 など、賛同する意見が多数。また、「マイナンバーを活用すべし」という声も多い。実業家の堀江貴文氏は、Xで熊谷知事の投稿を引用し

《マイナンバーでポイント付与で解決するんですけどね。実際、保険証と連携させたりした時にポイント配られてるし。これなら全くコストかかんないっす》

 との意見を投稿している。

「コロナ禍の中小企業の持続化給付金では、不正受給が多発しました。こうした問題もデジタル化することでチェックが可能になります。また、デジタル化が進めば、本当に支援を必要とする人に迅速な給付が可能になると指摘する専門家も多くいます」(同前)

“DXに詳しくない大臣や国会議員”には、よく考えて欲しい話だ。