『全領域異常解決室』ついに小夢がヒルコと接触 藤原竜也の流れるようなアクションも
ヒルコの真実へと迫った雨野小夢(広瀬アリス)の前に再び事件が起こった。今回の事件は、東京・大手町のビジネス街での連続飛び降り自殺。ヒルコから犯行声明には「堕落したビジネスマンたちへの天罰として縊鬼という妖怪に憑りつかせて自殺に追い込んだ」と書かれており、興玉雅(藤原竜也)と小夢は事件解決に協力することになる。『全領域異常解決室』(フジテレビ系)第4話では、小夢がついにヒルコと接触した。
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『小豆棚』『太平御覧』『聊斎志異』といった中国の古書に記載があるほど、古来から人間と密接な関わりを持ってきた妖怪・縊鬼。それは日本でも言い伝えられており、憑りついた人間の精神をむしばみ自殺に追い込むと恐れられてきた妖怪だ。「神隠し」「シャドーマン」「キツネツキ」というこれまでのヒルコの一連の事件の危険性を鑑みて、内閣は国家安全治安維持法に基づき、第二等級の異常事態に引き上げることを決めた。それはヒルコの影響が国民にも広がり始め、若年層を中心にカルト的な人気を博していること、そして自殺者の4人は家的なビジネスに関わっており、連続殺害テロである可能性も加味してのものだった。
興玉と小夢は監視カメラに映った映像から、4人目の自殺者である香取吉信(吉田宗洋)の妻・柘植朝日(橋本マナミ)に接触する。元モデルで、現在はテレビのコメンテーターとしても活躍している柘植。彼女に事件の真相を聞いてみると、亡くなる数日前に香取が「縊鬼に会ってしまった」と発言していることが明らかに。その後の調査の結果、自殺者の全員が同様の発言をしていることが分かり、縊鬼の存在の真実味が増していく。
だが、そこに待ったをかけたのが興玉だ。柘植から聞いたキッチンカーを訪れた興玉と小夢。何の変哲もない普通のキッチンカーのようにも見えるが、何かがおかしい。興玉がじっと目を凝らしてみると、キッチンカーで働いているマイカ・バーナル(Melanie)が金銭のやり取りと同時に何かを受け取っているようだ。さらにマイカのとなりには豊玉妃花(福本莉子)の存在も確認できた。そうこうしているうちに、5人目の自殺者が出てしまう事態に。
これまでの自殺者の共通点は同じ大学出身であるということ。5人目の自殺者からコカインが検出されたことで、薬物中毒による自殺の可能性が高くなってきた。さらに自殺した5人が異業種交流会を開いていた会員制のクラブ「VERITAS」が薬物の取引場所になっている可能性があることから、警察は調査に乗り出すが、事件の証拠は見つからない。
興玉は柘植が夫の薬物使用を隠蔽しているのではないかと疑う。すると、テレビの生放送で柘植は、自殺者は縊鬼によるものではなく、違法薬物の関与が原因の死であることを告白。自分に火の粉が降りかかる前に、先手を打っておこうという魂胆なのだろう。「まったく人間というやつは……」という柘植の言葉にも表れているように、この世界でもっとも醜いのは妖怪などではなく、人間なのかもしれない。
生放送の裏ではマイカが何者かに誘拐されてしまう。ここではデリバリースタッフの芹田正彦(迫田孝也)が大活躍。マイカを連れ去った車を追跡し、興玉たちに場所を知らせるという重要な役割をまっとうした。第1話でも興玉のアクションシーンが炸裂していたが、今回もド派手なアクションでマイカを連れ去った男たちを返り討ちにしていく。藤原竜也の流れるようなアクションに惚れ惚れした方も多かっただろう。
2年前、パン屋で働くための資金を集めるためにバーでバイトをしていたマイカ。そこで自殺者の一人と出会い、パン屋を開くための援助を受けていたが、彼らは薬物の取り引きをするためにマイカを利用していたのだ。しかし、香取だけはマイカを助けようとしていた。妻である柘植からDV被害に遭っていた香取は、愛するマイカと一緒に彼女の母国に逃げる計画を立てていた。薬物が原因ではないとするならば、なぜ香取が自殺しなければなかったのか。それは柘植が夫に送った「あとで話しましょう」というメッセージにあった。柘植が夫のマイカへの愛を知った際に動揺していたことからも、DVはきっと愛が行き過ぎたがゆえものなのではないかと思う。いびつではあっても、愛は愛なのだ。妖艶でクールな佇まいの橋本マナミが我を忘れて取り乱すシーンは見応えがあった。
今回の事件はマイカが販売していたパンから検出された麦角アルカロイドが原因であることが明らかとなったが、マイカはその事実を否定する。となれば、怪しいのは妃花だ。小夢は急いで豊玉神社へと向かうと、そこには妃花の姿が。
「あなたの目の前に神がいると言われたら信じる?」
自らを神であると自認する妃花。警察署へ連行しようとする小夢に、妃花は現実のものとは思えない特殊な力を使って抵抗する。苦しむ小夢に妃花は何かを伝えていたが、口の動きから察するに「ヒルコだよ」と言っていたのではないか。仮に妃花がヒルコであるとするならば、なぜ事件を引き起こしているのか。その裏には全決を存続したいと目論む宇喜之民生(小日向文世)の存在があるに違いない。
(文=川崎龍也)